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第284回、ルッキズムについて考えてみた


ルッキズムについて語るのは、非常に難しく、また危険な事でもあります。
何が美しいと思うかの美の基準は、人によってそれぞれだし、また外見的な美しさに価値を見出すのは、人間の内面性を見ない低俗な行為の様な流れに社会全体がなりつつあるからです。

しかしそんな社会の風潮に抗うが如く、自分はあえて言おうと思います。
ルッキズムって、そんなにいけない事なのだろうか?と言う事を。

※ここで言うルッキズムとは、顔の容姿のみを示す物でなく、身体を含めた外見全体の事と定義します。

もちろん就職活動で、見た目を重視して採用する様な会社はクソである。
と言いたい所ですが、これもまた仕事の内容によりけりだとは思います。
見た目が人間の全てではないですが、見た目が重要視される仕事があるのも事実だからです。

アイドルやグラビア(性別に関わらず)は、その最たる物だと思います。
あれは別に人間としての優位性を、讃えている訳ではありません。見た目の美しさを商品にしているのです。いわば見た目が商業製品なのです。
その世界でルッキズムを悪と言うのなら、あらゆる製品のデザインの美しさを否定しなければならなくなるでしょう。

車はただ走れれば、いいのか?
もちろんそう思う人もいるでしょうが、車が好きな人達は、機能性と共に、車のデザイン、つまりは外見も含めて好きな人も多いのです。
そしてそれは、人としておかしな事でも何でもありません。

なのに人間だけを内面のみで評価をして、見た目を気にしないなんて事が、果たして当たり前の事だと言えるでしょうか?

自分はディズニープリンセスの中で、ラプンツェルとエルサが大好きです。
もちろん作品の内容が好きな事も前提としてありますが、見た目の要素もかなりあります。自分は白人至上主義ではありませんが、白人で金髪と言うのは美しさの価値基準として、かなりの要素を占めているのは事実です。

しかし白人で金髪ならばなんでもいい訳ではないですし、別に白人の金髪でなくても、魅力的に感じられるディズニーヒロインは多数います。

なんなら人間でなくても、構わないのです。
自分はズートピアのヒロインの、ウサギの警察官のジュディ・ホップスも、外見的な部分を含めて、とても魅力を感じています。

いずれにしても好みのタイプはどうであれ、外見を含めてヒロインに魅力を感じられるかは、商業界においてはとても重要な事だと思っています。


勘のいい人は何となく、自分が言おうとしている事がわかるかと思いますが黒人をヒロインにした(正確には黒人と白人のハーフ)ウィッシュの主人公アーシャは、はたして外見を含めた魅力的なキャラクターに仕上げる気が、ディズニーにはあったのだろうかと言う疑問が、自分にはあるのです。

自分は別にヒロインが黒人である事に、不満がある訳ではありません。
ヒロインが何人種であろうとも、その人種内において魅力的な外見の追求をする気がディズニーにあったのかという事に、疑問を感じているのです。

自分は黒人に対する美的感覚がないので、断定する事は出来ませんが、多分ディズニーは、アーシャの見た目を魅力的にする事に、否定的だったのではないかと思っています。
昨今のディズニーは、人間の価値は見た目ではなく、見た目が美しくなくても、誰もが物語のヒロインになれると言いたいのだと思われるからです。

その心持ちは、人として正しいのです。決して間違ってはいないのです。
しかしディズニーは、自分がヒロインキャラクターという商品をビジネスにしている事を、自覚してないのではないかと思わずにはいられないのです。

自分はどこにでもいる少女の物語を見る為に、お金を支払って劇場に映画を観に行っている訳ではありません。お金を払う以上は、見た目を含めて観に行くだけの価値があったと思える特別な満足感を得たくて観に行くのです。

逆に言えば、例え黒人でなくても、金髪の白人キャラであっても、見た目に魅力を感じられないのであれば、当然今回同様に憤慨をする事になります。

誰もがアイドルになれる時代だとはいえ、何処にでもいる少女が行う程度のショーならば、ネット配信か地下劇場でしていればいいのです。
少なくとも、ディズニーという大舞台で主役を演じるヒロインが、何処にでもいる程度の少女であっては、お金を払う側としては満足出来ないのです。

外見が魅力的ではないヒロインの映画を作りたいのであれば、白人の少女で行えばいいのだし、魅力的でないヒロインを作る為に、見た目を黒人にしたのであれば、それはもう黒人蔑視であるとさえ自分は思っています。

魅力的なキャラクターを商品にする事に、後ろめたさを感じているのなら、ディズニーは、今すぐキャラクタービジネスから手を引くべきだと、自分は思わずにいられません。

ただ一つ物語の主役を務める、ヒロイン達が配慮をする事があるとすれば、自分達が全ての人にとって人生のお手本となる、頂点の人間ではない事を、お金と引き換えに観客に一時の夢を与えている、ショーガールである事を、自覚するだけでいいのだと思います。


※アーシャは見た目を含めて十分に魅力的なヒロインだと思われる人がいましたら、自分の美的感覚が乏しい事を、お詫びさせていただきます。

今回「第277回、創作に大切な事は何かを語ってみた」で自分が言っている事と、反する主張をしている部分がある事も、重ねてお詫びを致します。

人種は多種多様あれど、見た目の美しさを売りにする事は、決してやましい事ではありません。
ヒロインを魅力的に描く事に罪悪感があるのなら、もうそのビジネスから手を引くべきなのです。
ディズニーは、ヒロインの見た目の美しさを追求しつつ内面の美しさを描いていけばいいのです。

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