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蒼穹のフリューゲル5

翌朝
端末の
アラームで
起床した

昨日
ナーシャから
格納ベッドの
使い方を教えて
もらった


おはよう
ございます

エノクです


中学時代を
通信ですっ飛ばし
私一人きり

生まれて
初めての
制服に着替えた

初めての友達
初めての談笑
友達100人‥

エノク
「出来るかしら?」
「フリューゲル」

以下
フリュと命名
相棒の
端末

私の自前
コミュニケーション
アプリ

フリュ
「おはようございます!」
「お呼びですか?」
エノク
「 」
「まぁ、良いわ」
フリュ
「ふりゅ?」
エノク
「さ、初日よ
初登校ね」
フリュ
「随分早起きでしたね」
エノク
「長い髪乾かすからよ」
フリュ
「なるほど!」

部屋の玄関を開け
学校へと向かう

エノク
「あ、ナーシャ?」
ナーシャ
「エノク!」

丁度良い
タイミングで
ナーシャと
鉢合わせする

頭には
ヘッドホンを
使っている

ナーシャ
「一人歩きの時は
音楽聞いて行くのよ」
エノク
「なるほど」
「どんな音楽?」
ナーシャ
「コレコレ!」
エノク
「え、これカチューシャ」
ナーシャ
「付けてみて」

赤いカチューシャを
装着する

エノク
「 」
「ええ⁈
何これ⁈」

驚いた

一見ただの
カチューシャから
響く音楽が
私の脳髄から
骨格に
至るまで
響く

共振によって
打ち付ける
重低音
細部まで
鮮明に響く
中高音

エノク
「凄い!」
ナーシャ
「気に入った?」
エノク
「ええ、ずっと
付けていたいわ」
ナーシャ
「あげるわ、エノク」
エノク
「 」

今、何と?

エノク
「え、でもこれは
ナーシャの
カチューシャでしょ⁈」
ナーシャ
「私には合わなくてさ」
「この共振サラウンドは
私向きじゃ無いって」
エノク
「良いの?私が
もらっても」

ナーシャ曰く
この深紅の
カチューシャは
骨振動共振の
強烈な
サラウンドの
効果があり
付ける者は
人を選ぶと言う

私には
充分満足する
代物だ

これを
頂けるなんて

エノク
「ありがとうナーシャ」
「この時期耳を
出そうか考えてたの」
ナーシャ
「意外にヘビーサウンド
だけど気に入って
もらえて良かった笑」

気に入った
レベルどころ
では無い

二度と
体験出来ない
であろう
このカチューシャは
死んでも
離れ難い
代物

大事に使わせて
頂きます



私達は
そんな会話で
学校へと
向かった

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