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蒼穹のフリューゲル20

エノクです

ディール先生が
その後の
経過を
心配して
くれたの
だろう

私に聞いて来る

エノク
「これから更生の
余地があるかは
分からない
ですけど‥」
ディール
「何処行くの?」

私は
無言で角の
席に座る
彼女の元に
向かう

ベクトルに応えて
ガタリと
反応を示し
完全に怯えきって
近寄らないでと
拒絶する

私は
にっこり
笑う

エノク
「どんな相手でも
挨拶くらいは
した方が良いと
思うのよ」
「だから、おはよう」
女子
「 」

固まっている

嗚呼
残念

先生の
元に戻る

エノク
「私じゃ更生は
手に負えない
みたいです」
ディール
「そう」

目を丸くする
先生
私は自分の
席に座る

ネグロ
ビオラ
ネネの
反応は無い

それでも
これ以上
彼女は
下手な真似を
する事は
出来なくなった

クラスから
孤立する
事になる

類は友を呼ぶ
その筈の
男子達からも
見捨てられた

角の席で
震える彼女

私の後ろの
席でマナが
聞いてきた

マナ
「で?どうなったの?」
エノク
「マウント取られる
どころか同類から
勝手に離れてったわ」
「喧嘩売る相手を
間違える程、勢力に
誤差もあった感じ」
マナ
「‥因果応報か」
エノク
「等価交換の代償よ」
「愛の無い環境で
育つと、ありがとうも
ごめんなさいも
言えない子になるわ」

唖然とするマナ



その様子を
見届けた
先生が
一つため息を
ついて
授業は
始まった



その後

しばらく
経ったある日を
堺に彼女は
姿を消した

私の知る
ところでは
無いのですが
先生曰く
転校したとの事

私の警告は
叶うどころか
学校まで離れる
結果となる

これは補足

古代湖で騒いだ
男子達の姿も
後に見なくなった

類は友を呼ぶ

調和が叶わない
彼らは散り散りに
学校から
姿を消して
しまったのは


言うまでも無く



授業が終わる

休み時間に
私を訪ねて
タケが来た

タケ
「エノク」
エノク
「タケ⁈」
マナ
「あら」


エノク
「あ、あははは」



廊下に出る

エノク
「予想とは違う
結果になったわ」
タケ
「良いさ、ありがとな」
「酷い目には
合わなかったか?」
エノク
「それが、転校したって」
タケ
「 」
「なあ、学校の中心部は
行ったか?」

そこで
不愉快な思いを
したのだと
説明した

察したタケは
次の提案をする

タケ
「屋上はどうだ?」
エノク
「まだ無いわね」
タケ
「行くか?」
エノク
「はい!」

タケが
微笑む

私は案内され
屋上に向かった



屋上

扉を開ける

ベンチのある
憩いの場

巨大な
ドーナツ型の
広い通路に
膨大な質量を持つ

タケ
「都市開発が唯一
できた古代湖に
学校があるんだ」
エノク
「溢れた水が学校から
流れてたのね!」
タケ
「ま、そう言う事だな」

風を感じる

タケが切り出す

タケ
「仲間には頼ら
なかったのか」
エノク
「頼る前に相手を
知る必要があったから」

結果
一対一での
話し合い
どころか
男子団体で
仕掛けて
来たので

こちらも
第三形態で
仕掛けさせて
もらったと
順を追って
説明した


タケ
「たまげたな」
「面白い話だ笑」
エノク
「けどおかげで
近寄り難い場所が
出来て残念かしら」
タケ
「そっか」

タケの端末が
突然鳴り出す

タケ
「な、兄貴からだ!」
エノク
「ん?お兄さん?」
フリュ
「出て差し上げて
下さいな」
タケ
「お、おう」


タケ
「あ、兄貴。どうした?」



「んん?声が
いつもと違うな」
タケ
「 」

お兄さんの
勘が鋭いせいか
勘繰られてしまう


「何も無ければ
カメラ回して見せろ」
タケ
「あ、あ〜」


タケが観念した

カメラを回し
私に向ける
お兄さんが
目を丸くした


エノク
「あ、あの」

「おお!こいつは!」
「タケ、お前
隅に置けねーな」


お兄さんが
大笑いする

良い笑い声が
聞こえる
私も微笑んた

エノク
「エノクです」



「兄のワットだ」
「行動には疎い弟だが
まあ、宜しくな」
エノク
「え、あ、はい!」


うっかり
返事をしてしまい
赤面する

お兄さんの
ワットが
笑いながら
通信を切った

タケ
「あ、兄貴⁈」
「‥ぶった斬られた
何だったんだ?」


エノク
「心配してくれてたのよ
きっと」
タケ
「 」
エノク
「私、兄弟や姉妹に
憧れるわ」
タケ
「一人っ子かエノク」
エノク
「ええ」

風が心地良い

休み時間の
チャイムが鳴り出し
私達は慌てて
教室へと戻った

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