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蒼穹のフリューゲル10


エノクです

私の新しい
日常は
目覚めから
始まる

エノク
「ご飯炊いたから
もう大丈夫」
フリュ
「おはようございます♪」
「夢でも見てました?」
エノク
「ん⁈」


慌てて
炊飯器を見る
良かった
夢じゃなかった

エノク
「脅かさないで」
フリュ
「開口一番が
それだったので^_^」

カーテンの設置
ダンボールも
大体空にした

朝食後
支度を終え
制服に着替え
出る準備も
できる

エノク
「さてと」
フリュ
「張り切って
行きましょう」
エノク
「ん!」

部屋を出る
エレベーターから
エントランスへ

まばらな
通学
学生の姿を見て
丁度良い
頃合いだと
駅のホームに
向かった

私の日課は
フリュの定期的な
メンテナンス

と言うか
ただの
ウイルスチェック

オノラン線の
モノレールを
待つ間
パパっと
済ませておく

その筈だった

背後に騒ぐ
中等部だろうか
ホームの真ん中で
バスケットボールを
取り合っている


ドリブルして
跳ねるボールが
ホームに
叩き付ける
音がする

ホームから
滑り込む
快速列車

やんちゃな子
そう思っていたら
こちらに向かって
来たと気付いた時

ドンと
ぶつかっ

え?


一瞬

押し出された私

快速列車が
跳ねた

宙を舞った私が
全身を捻り
四肢が衝撃で
曲がる

天井に当たり
落ちた先の
レールに
叩き付けられる

岸壁の裂け目から
奈落へと落ちた


落ちる
速度が時速
400kmを
超える前に
全身の血管を
一斉に
アンカーとして
打ち込む
岸壁に刺さる血管



落下を
これで防いだ

次に
鈍い痛みへと
変わる前に
ひん曲がった
全身の四肢を
元の姿へと
集中と信念で
イメージする

折れて
捻じ曲がる
手足の関節が
バキバキと
復元されて行く

首も復元
されると
ここでようやく
声が出せる
様になる

エノク
「‥フリュ‥大丈夫?」
フリュ
「は、はい!だ
大丈夫です‼︎」


ポケットからの
端末の感触がある

跳ねられた
ベクトルとは
逆に収納していた


良かった
落ちなくて‥

鈍い痛みは
頭部と腕に
集中する

流血は
避けられ
なかった

その辺は
間に合わなかったが
出血は霧と
なって私の
体へと還元
されて行く

血管を
格納しながら
身体を引き上げ
岸壁を裂け目に向かい
次々に打ち込んでは
格納し引き上げて
駅の真下に
戻って来た

通過した
快速列車が奥で
緊急停止して
いるのが見える

悪い夢を
見た後の気分

ホームは
悲鳴を上げる女子
騒然と
騒ぎになっている

ようやく
ホームへと
身体を引き上げ
着地しふらっと
よろける

駅長が駆け寄る

「G-bartの要請は⁈」
エノク
「私は内包者です
大丈夫‥」

とは言え
腕の動きがない

そこへ
現場を目撃
していたのか
ゼンキが寄って来た

エノク
「腕が変ね‥」
ゼンキ
「曲げてみろ。
ちゃんと動くか?」
エノク
「 」

曲げてみた



混乱して
慌てて元に
戻そうとするが
上手くいかない

粉砕骨折で
手の骨格が
イメージしづらい

「G-bartを呼んだ方が」
エノク
「いいえ、フリュ
手の骨格画像調べて」
フリュ
「あ、あい!」

画像で
良く理解した

骨格は
複雑だ

バキバキ
復元され
戻った

エノク
「はあ‥」
ゼンキ
「とんだ災難だったな」
エノク
「本当、私が不死身で
良かったわ‥」
「次の電車いつ来るの?」
ゼンキ
「もう良いってよ」
駅長
「り、了解した!」
エノク
「はあ‥」

ようやく
通学出来る

私を突き出した
張本人の事など
どうでも良い

私はゼンキと
ホームへと
滑り込む
列車に乗った

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