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蒼穹のフリューゲル36

対象を
ここまで
不愉快に思えた

こんなのは
初めてだわ‥


エノクです


エノク
「目的は何ですか」

「贄は何処かね」
エノク
「 」

ニタリ



男の晴れ上がる
口元が
吊り上がる

不愉快‥

エノク
「政界に帰って
頂けますか?」

「代償が必要だ」
「手ぶらじゃ
帰れんよ」
エノク
「消えて下さい」

この
タイミングで
校舎から
先生達が
来る

ディール
「エノク!」
アリサ
「お姉ちゃん⁈」
エノク
「⁈」

「 」

男から
触手が伸び
私を横切る
咄嗟に
血管を伸ばして
上空に跳ね上げる

男の引き攣った
笑いが
止まる

エノク
「渡さない」

「どうしてもかね」
エノク
「人の世界線に
土足で踏み込まないで」

「代償は必要だ」
「仕方ない」
エノク
「 」

その場にいた
全員が突如
上空に映る
モニターに
注目した

私は言葉を
失った

あれは‥

エノク
「‥やめて」

「相応の代償が必要だ」
「君はこの島の
出身だろう?」
エノク
「ごめんなさい」
「貴方を消すわ」

全力でオーラを纏い
血管を伸ばして
男を薙ぎ払う


手答えが無い

エノク
「半霊‥?」

「わざわざ実体を
持ち出す真似は
せんよ?」
「頂いた」


ポータルに
消えた

上空の
モニターを
残して

私は叫ぶ

エノク
「フリュ!ルースへ!
助けないと」
ディール
「エノク!」

先生が
私を
取り押さえる


ディール
「罠よ!貴女を
炙り出す気だわ」
エノク
「けどこのままじゃ」
「フリュ?何してるの‼︎」
フリュ
「ご両親に繋ぎました」
エノク
「 」

フリュが
初めて
意思に背き
私に推奨
させた
別の行動

コール音が
響く

続々と
下校する
生徒達が
誰もが
モニターに
注目した

「何あれ?」

「見ない‥島ね」

「誰が写してるの?」


繋がった
パパとママの顔

涙が溢れた

エノク
「パパ‥ママ」


ガラキ
「エノク学校は
終わったのか?」

パパ‥

サラ
「どうしたの?」

ママ‥

エノク
「逃げて!」
「政界が命を狙って」

光に包まれ

通話が
切れる

エノク
「 」

全員の
反応がモニターに
私も向き直る

目を向けた
誰もが
言葉を失った


ルースが

私の故郷が
粉砕する


パパとママが

嘘だ

その場にいた
みんなの前で

私は声にならない
叫びを上げて

膝を落とし
崩れ落ちた

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