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The blue sky of the outlook last


父からの電話の着信

どれ程長い時間かかったか。


下層からの通信が途絶え

すり鉢嵐の日に
タケと天魔重工の
巨大重機を使って
下層まで辿り着く

両親をルースから
救い出す為に

父から二度張り倒されてまで

けど、それで良い。

今こうして、同じ地に立ち
語り合う事が出来る

ガラキ
「留年か」
エノク
「ごめんなさい、タケも巻き込んだし」
ガラキ
「仕方あるまい」

パパ‥?
いつもより穏やかで
落ち着いた声。

説教やお叱りを
するまでもなく
淡々と私の声を
聞いてくれる。

こんな事初めて‥

エノク
「どうしたの?怒られる覚悟で電話出たのに」
ガラキ
「ラグラは変わった」
「我々も変わらねばならん」

良く‥わからない

パパにどう変わるのか
聞いてみる。

ガラキ
「お前の様に、変化を体現せねばな」
エノク
「私?変わんないわよ昔から」
ガラキ
「本質の事を言っているのでは無い」
「お前の調和たる成長だ」
エノク
「 」
ガラキ
「誇りに思うぞ」
「一度は死んだ身だ」
エノク
「パパ‥死んでないわ」
ガラキ
「簡単ではない。それをやってのけたお前達の成長が変えたのだ」
エノク
「パパ‥」
ガラキ
「娘に救われ、ルースは嵐に飲まれ消えた」
「第二の人生を共に歩む奇跡を」
「娘と体現できる」
エノク
「 」

これ以上の奇跡は無いと
父は落ち着いた口調で言う。

ガラキ
「嵐も乗り切った。何があったのか」
エノク
「ニュースでもあったけど、岩礁の数が減ってたって」
ガラキ
「まさか、上層を超えたと言うのか」
エノク
「え?宇宙って事?」
ガラキ
「可能性はあるな」

周りを見る

街は酷くやられてる。
復旧にはまだかかる筈

ガラキ
「タケ君と話をした」
エノク
「え⁈いつ来たの?」
ガラキ
「好きか?」
エノク
「///ん‥ん!」
ガラキ
「離すなよ」

離すものか

ガラキ
「咲くなら、今頃か‥」
エノク
「え?」
ガラキ
「いや、何でも」
エノク
「‥覚えてるわよ」
「また、見せてね」
ガラキ
「もはや、見れまい」

「サラに代わろう。私では会話も合わんだろう」
エノク
「パパ〜」

ママに代わる。

故郷は無いけど、
みんな生きている

後悔なんて無い
風が窓から入ってくる

今までよりも心地良い風が
私の髪を揺らす。

空は澄み切って
窓から見える筈の大陸は
もう見えない。

同じ風景を決して見せなく
なった新しいラグラを生きる
島の船は
私達を乗せてゆっくり漂う


この世界で

私達人類は

生きていく。






かつての嵐が発生した場所

飲み込まれ

粉砕された
ランドシップと
ルースの成れの果て

粉砕され
岩礁と混じる様に

浮遊する

草原と小さな花が風で
揺れている。

一つの植物に
三つの異なる
小さな花が咲く
世界でも珍しいルースの花


三筋の花

名前が確か‥

チョウワソウ

調和の象徴であると
幼い私に見せてくれた。

人間如きが摘み取って
良い花では無いと
パパは私に優しく伝えた。

あの頃の
パパの表情を再び見たくて
真面目に頑張って来た。

私は覚えている
枯れるまで風に揺れる

その花を見ていた記憶がある。


ラグラが誇る

その小さな花が
自然保護法に指定されるまで
しばらくは
かかったと思う。

ラグラは調和に向かい

変わる


そして、私達人類も

調和に向けて変わる。


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