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半霊半物少女8

包まれた光の
ポータルが消えて
私は外れた肩の痛みで
うずくまる。

へたり込み
苦し紛れに
自分の周囲を見る

知らない場所‥

ホール?

執務室?

わからない

痛い‥!

アンドロイドは
私の拘束を解くと
突き飛ばす。

倒れる私‥

涙が床に落ちる



それでも
苦し紛れに
状況を把握する

大きな窓から
見える街の展望から
かなりの高さと
推測できる

タケ‥

タケは大丈夫
だろうか?

倒れたまま肩を押さえる
再び水晶と共に
背を向け、宙に浮く男。

凝視‥

流石の私も睨む。

エノク
「‥そうやって、私から情報を制限させる気?」

「私はディズと申します」

ハッ‥
やっと名乗った

エノク
「今更‥」
ディズ
「気の強いお方だ」

背中越しに
肩を振るわせ笑う

何て奴‥
タケをあんな目に

ディズ
「もう片方外すのは可哀想かと思いましたがね」

外道‥

アンドロイドは
離れた場所で直立
次の指示に待機している。

エノク
「‥お願い、答えて」

ベクトルを緩め
苦し紛れに訴える

ディズ
「茨計画が失敗に終わっただけでなく」
「創造主によって嵐が収められるとは‥」
エノク
「 」

意味がわからない‥

黙って聞くだけ

時間を稼ぐ

ディズ
「己の偉業もご存知無いと?」

やっと下品な眼差し
ニタリと笑い
振り向いた。

肩を押さえ
半身を起こす。

エノク
「私の‥?」

タケと帰還しただけ

嵐の経過など知るものか

此処には私を拘束し
タケを投げ飛ばした
2体のアンドロイドが
待機している。

別に逃げ仰る様な
策など無いし‥

震える唇で堪える。

まだ涙は止まらない

鈍い痛みが肩を襲う

私はどうなるのだろう?

エノク
「どうする気」
「‥ですか?」

スッと降りて来た。
真摯に対応するしかない。

ディズ
「証言して頂きましょう」
エノク
「何を‥ですか?」

私の目前で床に着く。

見下ろし、また笑う



ディズ
「何があったかをです」
エノク
「‥気を失ってました」
ディズ
「痛みが足りませんか?」

アンドロイドが動き出す

やだ、怖い

迅速に回答する

エノク
「夢を見てました!」
「信じて下さい‥」

瞼を閉じ震える

タケ‥私



生きて
戻れるかしら‥



バルトロマイ
茨グループ本社

巨大なユニットは

巨大な格納ドックの中‥
傷を負ったタケが
必死にしがみつく。

タケ
「‥何処だ」
「くっ‥痛!」

格納されても
飛び降りる訳にはいかない。

ビルの屋上から
飛び降りる様なものだ。

周囲を見渡す
このままでは
力尽き落ちてしまう

ユニットをよじ登るか

足場を伝い降りるか‥

タケ
「待ってろ、降りるか‥」

絶壁のユニットから
ボルタリングの様に
少しずつ降りていくタケ

タケ
「待たねえぞ、エノク。今回ばかりは」

降りた後の経路を
確保しながら
タケは移動した。

怪我の痛みを堪え
壁から伸びるハシゴが上部に向かい真っ直ぐ伸びる。

タケ
「あそこしか無いな‥」

真下に伸びる
スタビライザーを伝い、
スルスルと降りるタケ。

宙に浮かぶ高さは‥
約3mから5m
屋根の上の高さ。

タケ
「行けるか?」

意を決して飛び降りる。

着地。

タケ
「っくぅ〜!」
「ててて‥」

着地の衝撃に耐え、
走り出すタケ。

何処へ続くのか
考えずハシゴを登る。

アンドロイドが
巡回している
可能性もある。

戦闘は不利だ
端末の音を消す。

画面のバックライトも消す。
登りきった上で
端末で連絡したタケ。

知ってる仲間全員に発信する。

エノクが拉致された。
広いドックに転送された。
今から助けに行く


‥と


瞬く間に学校が騒ぎ出す。

何処かもわからないまま‥

ディール
「なんて事‥」
ネネ
「エノク‥」
ビオラ
「デニッシが報復に来たと思う?」

屋上で巨大な機械が
出たってみんな
騒いでいたと
噂をするが、タケの所在も
皆目つかない。

時間だけが過ぎて行く‥

ディールだけでなく、
グレッゾにも内容は
伝わっている。

グレッゾ
「情報が少な過ぎる。聞けばエノクもタケも負傷したそうだ」
ディール
「だったら!」
グレッゾ
「落ち着け、まずはユリ・シーズ学長に連絡だ」



事態は一刻を争う。

デニッシ以来の緊張‥



迅速に足を運ぶ。

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