見出し画像

蒼穹のフリューゲル64

意識が

昏倒して
どれだけ
経過したのか

時間を確認
出来る術も
無いまま
ゆっくり
目を開ける




エノクです

嗚呼‥

此処は病院か
隣に
横になる
タケを見る

あんなに
重かった

身体の
質量感が
嘘の様に
軽い

抉る様な
背中の鈍い
痛みも
吐き気も
無い



吐血

出血量

全て無い

ん?

タケが
気付いた

タケ
「 」
エノク
「タケ」
タケ
「んん‥」
「よ」
エノク
「見て」
「窓の外」
タケ
「嗚呼‥空が」
「固有結界じゃないな」
エノク
「ええ、青いわ‥」
「よいしょ‥え」

起き上がるも
ベッドから
ドスンと落ちる


力が入らない

何これ?
訳が分からない

自分の
体じゃ
無いみたい

タケが私を
助けようと
動かそうにも
動かない
苛立ちに
苦戦する姿に

私は
罪悪感を
覚えた

まるで私が
タケを
巻き込んで
しまったかの
様に

これでは
ナースコールも
呼べない

エノク
「誰か助けて!」

廊下から
通りすがる
看護婦が
気付いて
慌てて私を
ベッドに
戻してくれた

一体
どうなって
いるのだろう?

看護婦に
お礼を言う

主治医に
連絡を入れて
くれるそう
なのでしばらく
待ってほしいと
言われ
看護婦は
廊下に出て
行ってしまう



エノク
「ごめんなさい」
タケ
「どうした?」
エノク
「罠だと分かって
行くべきじゃ無かった」


タケ
「そう思うか?」
エノク
「え?」
タケ
「それじゃラグラは
取り戻せなかった」
「仲間を犠牲に
してまで総力戦に
持ち込みたかったのか?」


エノク
「 」
「いいえ」

私の選択は
間違って無かった

タケが
ニヤッと笑う

タケ
「気にすんな
必ず動くさ」


エノク
「タケ、ありがとう」
「私に何が
出来るかしら?」


タケ
「身体が動いたら
抱いて良いか?」
エノク
「 」
「ん///」

ラグラに
人類が
戻って来た

久しぶりの
青い空が
窓から見える

政界との
決着から
平和を手にし

私とタケが
再び歩ける様に
なるまで

約一週間は
かかったと
思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?