見出し画像

mystery gem6

ジェシカさんの
お下がりを着て
町に出る

冷静に
考えて

空から落ちた
人間が無事な
筈は無い

首元も石が
隠れているから
大丈夫そう

表には出せない
石だから

男性は全員
仕事ですか?

ジェシカ
「トマリはみんな
とは違う仕事よ」
カナ
「一体何を?」
ジェシカ
「ちょっと覗いて
見ましょう」


邪魔で
無ければ

ジェシカさんと
歩く

ジェシカ
「国も城も?」
カナ
「有るのは塔の一角です
従者は歳を重ねて
今では剣も振れません」

それでも
私達は
生きている

ジェシカ
「辛く無い?」
カナ
「 」
「そんな暇も無かった」

明るく
振る舞い
強く生きる

弱音の一つも
必要だけど

寄り添う
誰かの事を
考えた

表向きは
跡取り

けど本当は
孤独を恐れてた

その筈を
どっかの
愚かな人に
連れ出され
此処に居る


16歳の

カナ
「これが外の世界‥」
「みんな逞しい」
ジェシカ
「 」

あんなに語る
ジェシカさんも
流石に
言葉を失う

騒音が
聞こえる

炭鉱の一角に
動かない
掘削機がある

掘削機に
貼り付く
トマリの姿を
見た

カナ
「トマリ?」
ジェシカ
「集中すると
ああなのよ
機械とべったりね」
「恋人みたい」
カナ
「集中‥」
「初めて見たわ
こんな機械」

多脚
汚れる鉄の体
動かない
鉄塊に
張り付く
トマリ

その
眼差しを見る

真っ直ぐで
真剣な
ベクトル

カナ
「‥向き合ってる」


トマリ
「 」
「?」

じっと見る
私に
トマリが
気付いた

トマリ
「うわ⁈」
「痛っ‼︎」


慌てて
驚き
頭を打つ

私は呆気に
取られ
目を丸くする

後ろで
ジェシカさんが
クスッと笑う

現れた
煤だらけの
逞しい男性が
穴の中から
歩いて来る

私達を見ると
無言で
トマリを見る


大きな身体で
デカい声を
上げる


「トマリ‼︎」
トマリ
「はいっ!」

「いつまでやってる
少し休みやがれ」
トマリ
「あ、お疲れ様です」

男は
私達を見て
また穴の中へ
歩く

私も笑顔になる




休むトマリに
私は
ジェシカさんに
話した事を
一通り説明した

トマリ
「お姫様‥」
カナ
「国はとっくに無いの」
「このままじゃ孤独」
トマリ
「君はどうするの?」
カナ
「夜の空飛ぶ船に
連れてかれて」
「戻れなく
なっちゃったわ」

だから
途方に暮れる

どうしたら
良いのでしょう?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?