何故黒馬バドレックスはレッドカードを持たされてしまったのか? 【PJSC2024 ゲーム部門 SVダブル 構築記事】
挨拶
はじめまして、ばりーと申します。ポケモンSVでは「しごとちゅう」という名前でプレイしています。
この度は、PJCS2024決勝 ゲーム部門に出場して参りました。
使用構築は「レッドカード黒馬バドレックス+眼鏡ガラルマタドガス」。間違いなくこの世で私しか使ったことがない並びであり、おそらく今後誰にも使われることはないでしょう。
結果は1-2で33位。トップ48表記でも良いところを上位合わせとしているところに、公式の優しさが垣間見えますね。
1日目の本配信 LOSERS 2回戦 において、私しごとちゅう vs ミガワリさん の対戦が配信されました。初日の配信卓は完全にランダムですので、これはめちゃめちゃラッキー!!
試合はミガワリさんが勝利し、私はここで敗退決定。インタビューは勝利者のみですので、私は何も語ることはなく退場。このまま特に何も発信する予定はなく、そのまま私のPJCSは終了するつもりでした。
しかし、後から放送を見返していたところ、実況の田口尚平アナウンサーが「後でどっかで記事でも書いてくれると……笑」と興味を持ってくださっている!!浮かれ気分でnoteアカウントを取得、構築記事を残すことに致しました。
検索しやすいように構築記事と書きましたが、あまり構築の詳細について記載はしません。下記のテーマでそれぞれ書いていきます。
PJCSでやりたかったこと
レッドカードによるゲームプラン
配信卓の試合の補足説明
個別ポケモン解説(超簡易)
本題:なぜレッドカードを採用することにしたのか?
統括
PJSCでやりたかったこと
結論から言うと、PJCSではマタドガスを軸にした構築を使用したかったというのが全ての中心テーマでした。
SVのレギュF,Gはいわゆる群雄割拠であり、多種多様なポケモンが活躍できる環境だと思っています。個人的にはとても好きな環境。ただそれ故、今流行しているアーキタイプに加えて当日初見で相手にすることになるまだ見ぬポケモンたちまで全対応できるような構築はとても見つからないのでは、という予感がありました。
そこから、まだ見ぬポケモンに対してまとめてメタを貼れるのはかがくへんかガスではないかという仮説を立て、PJCSではマタドガスを使いこなせるようになろうというテーマを立てて取り組むことにしました。
これは、JCSの2回目の予選が終了し、最終予選に向けて方針を決めていく中で生まれたテーマでした。ただ、最終予選までに構築が纏まらずに一旦諦めてうえすと雪の力を借りることに。その後インターネット本戦に向けて研究を進めるも纏まらずに再度うえすと雪を使用。決勝でもマタドガスor雪の葛藤がありましたが、カイオーガ・コライドンのいる環境に雪を通すのは難しいだろうと判断し、マタドガス軸を採用することに決めました。
(↓はうえすと雪についてのリンク)
レッドカードによるゲームプラン
初手:黒バド+マタドガス 裏:カイリュー+カイナorイワオ が基本選出。
黒バドが最初に動くことを想定し、以下の流れになることが基本形(理想形)となります。
1.アスビで表2匹が削れる
2.黒バドが攻撃を受け、レッドカードが発動
3.マタドガスのマジシャで削る
4.黒バド守る/マタドガスのマジシャで蓄積し、アスビ圏内に入れる
範囲技とレッドカードでダメージを分散して蓄積することで、裏のタイマン性能の高いポケモンで縛りやすくすることを目指しています。
ピンポイントなところだと、寿司のプランを崩せることもあります。マタドガスがいても寿司は選出されるのですが、裏から引っ張ってきたシャリタツを落とせたら儲けものです(マジシャでは落ちないのですが、大きく削っておくとかなり有利になります)。
そもそも黒バド構築には初手から黒バドに強いポケモンが出てくるので、基本的に不利対面から始まるものだと思っています。普通はそこで引くプランを取るか黒バドを裏に回すかなのですが、レッドカードで強引に不利対面を解除するという発想もあるのかな?と考えました。特にテラパゴスなんかは、不利対面なのに引き先がありませんしね。
配信卓の試合の補足説明
何故悪テラ?→黒バドミラーを始めとしたゴースト技にも対応するため +アスビが通らないノーマルとしてリキキリン・イエッサンと対面することが多いので、そこにテラス悪の波動を打てることを重視しました。
ワイガ警戒は?→ルナアーラ単体でエース運用できるようにしてるんじゃないかな……?と、ワイガ無い気がしたので賭けました。 フェアリーテラスは予想していたのでアスビ+ヘド爆と迷いましたが、水の線もある気がしたこと+マジシャでこだわる方が基本的に強かったのでそちらに賭けました。普通にワイガ打たれて配信卓に塩試合垂れ流すことになるかもしれなかったので、死ぬほど怖がりながら技選択しました。
最後守ればよかったのでは?→一番素直な動きが熱風水流/守るドレパンで(水流がどっち向きでも)自分の勝ち、それを読んでオバヒ水流をカイナに重ねられたら自分の負け、のじゃんけんだと思っていました。なので試合直後はじゃんけん負けだと思っていました……が、後々ミガワリさんに話を聞いたところ「オバヒ見せたからそれがちらつくと思っていた、7:3くらいで守らないと思った」と仰っていたのを聞いて、この7:3は10:0の差があるなと感じましたね。
最後ドレパン?→襷じゃない+急所に賭けてかみなりパンチ打てばいいじゃんね 一個前で心が折れているのが見て取れます。負け方一つ取っても、悪いところが出ているシーンだと思います。
個別ポケモン解説(超簡易)
マタドガス、黒馬バドレックスはそれなりに記載しますが、その他は超簡易的な説明とします。
マタドガス
こだわりメガネ
一番普通のマタドガスは、守る挑発鬼火マジシャ(原種ならヘド爆)だと思います。HB or HD/オボン or シュカ もしくは鬼火のためにフォーカスレンズとか。いずれにしても、補助をメインにするポケモンだと思います。
ただ、それだと特殊アタッカーを前に出された上で放置されるとかなり辛いです。場に出続けていた方が強い特性のはずなのに放置されたら弱いという、矛盾した状態になってしまいます。
なので、放置されてもダメージ蓄積に関わることができる眼鏡マジシャ型を検討。Cに振り切ると馬鹿にならない圧をかけられるのですが、そこまで耐久を削ると場持ちが悪くなります。チョッキにするとダメージ蓄積が少なすぎる。そこで、最終的にはHD振りベースにしながら眼鏡を持たせるという中間案を採用することにしました。
これはこれで、場に出続けていた方が強い特性のはずなのに守れないという矛盾があるのですが、試行錯誤した上でここが着地点かなという結論になりました。
基本的にはマジシャを押し続けているのが一番よく、ヘド爆ですら限られた局面でしか打ちません。叩き落とされることがちょくちょくあったので、こだわりながらも守るを入れていました。
カイオーガ・ミライドン相手には積極的に草テラスを切ります。
黒馬バドレックス
レッドカード
マタドガスにはいたずらごころを止められるという強力な能力があるのですが、素早さが低いため結局襷エルフーン/トルネロスに追い風は打たれてしまいます。火力アップした黒バドを出していても、横が守って襷追い風すれば良いだけです。黒バド以外の挑発役を用意するか、セグレイブ等のスカーフつららばりで襷貫通して落とすことを目指すか、追い風は打たせちゃっていい構築にするか……等いろいろ試していましたが、バドレックス自身が挑発を持っておくことが一番安定した初手になるという結論になりました。
また、とにかくミラーの眼鏡アストラルビットで試合が終わってしまうのを一番避けたかったため、悪ゴースト両方半減できる悪を採用。前述の通り、リキキリンやイエッサンと対面することが多かったため、悪の波動を持たせました。
以下、本旨からズレるので超簡潔に書きます。
テツノカイナ
とつげきチョッキ
黒バドが苦手なテラパゴスに強い、白バドトリルに対抗できるというのが採用意図になります。
カイリュー
こだわりハチマキ
黒バドドガスでダメージ蓄積した後の縛り役です。
テツノイワオ
こだわりスカーフ
この指無しの黒バドにイージーウィンできる可能性を用意しました。パワフルエッジとカイリューのテラス神速を重ねることも視野に入れています。
イエッサン
ゴツゴツメット
よくある黒バドを完封する可能性を用意しました。
ここが一番後悔している枠で、横浜で黒バドに瞬殺される夢を見すぎて対策寄せすぎちゃったな……と思っています。白バド対策の枠にできたらよかった。
本題:なぜレッドカードを採用することにしたのか?
ここまでで、構築は何がしたいのかということを説明してきました。
ここからは本題として、なぜそれを決勝に持っていく構築に採用したのか?ということを書いていきます。
マタドガスを研究していく中で、マタドガスはずっと場に出続けているのが最も強い。逆に言うと、臨機応変にサイクル戦をすることは苦手である(というか、複雑になる)ということが分かってきました。ではマタドガスが引かなければいいかというとそうでもなく、マタドガス自身に圧がないので、横のポケモンも引いているとどうしてもダメージレースに負ける。マタドガスが放置されやすいこともあり、引き先に集中が通ってしまうことも多々ありました。
なので、こちらは最低限のポケモン交換で済ませたい。だけど、相手は当然普通のサイクル戦で対応してくる。前述しましたが、黒バドの前には黒バドに強いポケモンが出てくるはずで、本来であれば自分が引いて対応するところを、レッドカードで帰ってもらって不利対面を解除することで誤魔化すことを考えました。
……という理屈は全部後付けで、きっかけはパーティ登録2~3日前の深夜2時に道具欄を眺めていたらたまたま目に入ったことでした。少し回してみて、これはちょっと面白そうだな~と思ったので採用を検討することにしました。
マタドガスを軸として2か月以上研究していたのですが、最後の最後まで構築は全く纏まらなかったんですね。普通に公開されているレンタルのギガスドガスの方がよっぽど強かった。
実況のRefuさんが指摘していた通り、恐らくレッドカードはオープンBO3では通用しないと思っています。ただ、BO1に限定すれば少しは通用するかもしれない。
残り少ない時間の中、オープンBO3で通じる構築を最後まで考える、強そうな人のレンタルチームを借りる、BO1ならある程度会話になる構築を使う……という択の中で、最後を選んだという経緯です。構築・プレイングに全く自信がない中で、不確定要素を持ち込みたかったという側面も、多分にあります。
方針が決まった後は、「ごく普通のパーティをごく普通の動かし方をしているだけで負ける、ということを避ける」のを最優先に構築を組みました。初手黒バドドガス ドガスはマジシャ トルネエルフワイガ持ちには挑発 オーガとミライドンに対面したらドガスが草テラ、黒バドピッピは悪テラスアスビ、黒バドドーブルは悪テラス挑発、黒バドコジョンドはイワオドガスで出してスカーフゴーストテラバ。それくらいの単純なケースだけ用意して、それ以外はカイリューテツノカイナの単体性能でなんとかしよう、という目論見です。
白バドにはトリラーの隣に挑発を打ちながらカイリューのテラス神速を打ち続けるプランにしていました。めちゃめちゃ浅いプランであり、よほど噛み合いが良くないと勝てない。ただ、最低限試合として成立するだろうとは考えていました。
結論、レッドカードを採用した理由は、最後まで構築が完成しない中・全く自分自身を信じられない中で、最後に見えた可能性がレッドカードだったからでした。
統括
PJCSの決勝、それはもう強いトレーナーばかりが参加しています。
Day2の配信卓、異次元のプレイングをする人ばかりで圧倒されました。
そんな試合ばかり見ていると、「自分には到底到達できない領域だ」「別世界の人たちだ」と、逆に諦めの感情が沸いてしまう人もいるのではないでしょうか。
Day2で勝利できるような人たちは、もしかしたらそうなのかもしれません。
でも、少なくともDay1には、2か月以上かけても構築1つ完成できない人もいます。そしてそんな人でも、なんとか強者に噛みつくことができるのが、ポケモンというゲームの楽しいところ・素晴らしいところだと思っています。
PJCS、とても楽しい場所でした。憧れる価値のある場所です。
「でも、自分なんかじゃ……」と思わないでください。大丈夫!諦めないで!
全対応なんかできなくていい!1ネタだけ用意できれば、ポケモンバトルは十分楽しめますから!!
おまけ:TN「しごとちゅう」について
誤解しないように言っておきますが、仕事中にポケモンはしていません。ちゃんと業務終了後にやっています。
配信のコメントを見ていると、スーツ姿の自分を見て「アオキかな?」と反応してくれる人がたくさんいました。とても嬉しいですね。
ですが、自分はそこらへんにいるモブのサラリーマンをイメージしています。トレーナーカードにも映している人。
自分は普通のサラリーマンです。要するに、普通のサラリーマンでもポケモン楽しんでるぞ!ということを言いたくて、このTNを使っています。
大人になったらポケモンやめなきゃいけないのかな?って思っている人がいたら、そんなことないよって思ってもらいたいものですね。
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