見出し画像

ひとりの思い。詩。続きはない。

代わる代わる回ってゆく日々。

「私たちの存在は、こんなにも近いのに遠いね。」
そう、僕の姉は云う。

鏡の中に映る自分の体に対して。

「でも、一生を支えあえるよ。」

僕は彼女と同じ声で答える。

彼女の中に僕はいる。僕の中に彼女がいる。
どうしてそんなふうに生まれてしまったのだろう。

一人の肉体に二人の姉弟。

ある日は、彼女に触れてみたいと思った。
ただ、頬に触れるだけでよかった。

周りの人と人が手を繋ぎあうように、
僕も彼女の手を、握ってみたかった。
ただ、そんな簡単なことも僕らには出来ない。

「僕は家族として大切に思っているよ。
私はきみを愛しているよ。」
そんな言葉も、同じ声で発せられる。

この病を美しいとは思わない。
とても残酷すぎるから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?