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アンプシミュレータを使って、ジャズコからマーシャルの音を出す

※記事を一部、加筆修正しました(2021/7/21)

この記事では、アンプシミュレータを使って、ジャズコ(JC-120)からマーシャルの音を出すために、解決しないといけない事をまとめます。

ジャズコとマーシャルでは色々と特性が異なりますので、アンプシミュレータ(の機能)や補正技術を駆使して、その差を埋めなければなりません。

具体的には、ジャズコのリターンにアンプシミュレータを接続した上で、以下の4点を解決する必要があります。

1.マーシャルのプリアンプ&パワーアンプの特性を再現する

マーシャルのアンプ部分については、AxeやKemperといったアンプシミュレータを使って再現します。パワーアンプモデリングはオン(選べる場合)、内蔵のキャビネットシミュレータはオフにしてください。

(Axeなどの)モデリングによるアンプシミュレータの場合でも、トーン補正機能などによる実機を使った補正を行うと、さらにアンプの再現精度を高めることができます。

2.真空管アンプ特有のダイナミクスを付加する

ソリッドステートアンプは、スピーカーの制動能力(ダンピングファクター)が真空管アンプと比べて圧倒的に高いです。制動能力が高いと、スピーカーの特性に影響されることなく、入力される音声信号をより正確に増幅/再生することができます。

これに対して、真空管アンプはスピーカーの影響をかなり受けます。揺れやすい周波数などが余分に増幅されたりするんですが、それが特有の心地よいダイナミクスに繋がっていたりします。

ジャズコでマーシャルを再現するためには、この真空管アンプ特有のダイナミクスを擬似的に再現する必要があります(ちなみに、擬似的ではなくリアルに再現する方法もあります)

一部のアンプシミュレータ(Axe)には、この影響を擬似的に再現するアルゴリズムが入っています。

3.ジャズコのアンプ&キャビネットの特性をキャンセルする

マーシャルの音を再現するにあたって、ジャズコの特性は不要なのでキャンセルしなければいけません。

ジャズコのアンプ部分の特性については、少しだけハイが落ちて、低域にブーストがかかりますが、ほぼフラットです。ですので、無視しても大きな影響はありません。

キャビネット(スピーカー)の特性については、一般的なギターアンプに搭載されているCelestion等のスピーカーには無い帯域にピークがあり、これがジャズコ特有の癖に繋がっています。マーシャルっぽくするためには、まずこの癖をキャンセルする必要があります。

また、アンプから出る音の聞こえ方は、正面で聞く場合/斜めから聞く場合/足元で鳴らして聞く場合など、条件によって全く異なります。どんな条件で聞いても違和感がないように、指向性・反射・干渉を考慮しながら調整する必要があります。

4.マーシャルのキャビネットの特性を付加する

ジャズコの癖をキャンセルできたら、続いてマーシャルの特性を付加します。これに関しては、最近一般的になってきたキャビネットシミュレータ(IR)と同じ考え方です。

ただし、キャビネットシミュレータとは違い、ここで付加したいのは演奏時に耳で聞いている特性なので、普通とは違う特殊な方法/条件でIRを測定する必要があります。

作成した成果物の公開

第一弾のKemper用Rigを公開中です↓


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