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ロードレースってこんな危ないの?

 これは昨夏より自転車ロードレースを見始めた自分の単純な疑問。 
落車というものがモタスポのクラッシュと同じくらい避けて通れないものだとは理解したけど、生身で乗る分大きな怪我が多いような気もします。 

この記事が素敵だったのでこれを読んで記事を書いています。


 クラッシュや落車は単独だと本人が痛い思いするだけですむけど、他を巻き込むと被害が大きくなるのは似ている気がします。 事故は仕方ないにしても、モータースポーツを見ている身からすると自転車レースの安全対策どうなっているんだ、とも思います。 が、両者の違いも考慮しないといけませんね。 例えばコースの違い。 モータースポーツはサーキットや市街地コースなどあらかじめ作ったコースを何周もするけど、自転車では市街地をずっと走ります。 モータースポーツではシケイン設けたりバリア設置したりしますけど、自転車レースだとすべてのコースに設置というのは難しいですね。 自転車レースでも、もちろんゴール付近にはあるし、崖とか危ないところに設置している場合もあります。 
 冬に今年のツールを見返していたんだけど、ダウンヒルでバリアが設けられているところがありました。その場所の名前はポルテ=ダスペ峠。 ファビオ・カサルテッリが落車して命を落としたところで慰霊碑が建っています。最近だと2018年のツール、第16ステージでフィリップ・ジルベールが崖から落ちて骨折していますが、その地点にバリアが置いてありました。
 また、スプリントゴールでの大クラッシュというと、2020年のツールド・ポローニュ第1ステージですが、これを受けて規則が変わり大きいレースだとバリアが丈夫なものになりました。 
 しかしそれはすべてのレース、すべてのコースにできるわけではありませんよね。バリアなしで観客がいる以上、昨年のツール第1ステージのような悲劇は起こりうるわけで。 モータースポーツで観客とドライバーが近い競技といえばWRCなのですが、昔は観客が巻き込まれて死亡、なんてこともあったみたいです。 まあこちらはときに崖下に落ちた車を一緒に引っ張り上げる妖精さんになることも知られているけど笑

 自分が自転車ロードレースを見ていて不思議に思ったのは、自転車や選手の装備といったものの安全対策はどうなっているんだろう?ということ。上にも書いたように、市街地を走るレースでも危険がないように工夫することはできるけど、乗る側はどうなんだ、という話です。ヘルメットはつけているけど、装備はほぼそれだけ。 落車しても擦り傷程度ならみんなそのまま走るけど、それゆえ時に痛々しい姿を見かけます。 昨年のツールのログリッチとかね。

 生身で二輪車に乗るという意味ではバイクのロードレースも似たようなものかもしれません。 もちろん転倒で大けがのリスクがあるので重たいレーシングスーツを着ています。 肘や膝には防具がついていて、今ではエアバッグが付いたものを着るのが規則。 真夏でももちろんこれを着るので、水を飲みながら走る人が多いです。 もちろんこれを自転車ロードレースでは採用できません。重たいし間違いなく熱中症で倒れます。 けれども接触して怪我するリスクもありそうだけど、膝や肘に防具をつけるだけでも違うのではないでしょうか。

 モータースポーツの安全対策は、ドライバーやライダーが亡くなるような大事故のたびに見直されてきた歴史があります。 NASCARのデール・アーンハートとかF1のジュール・ビアンキとか… インディーカーでも大事故が繰り返し起こって使わなくなったオーバルコースがありますしね。 それはバイクの方もなんだけど、バイクの方では残念ながら昨年死亡事故が起きています。 motoGPの下位カテゴリであるMoto3と、SBKの下位カテゴリであるSSP300で。 2019年のポローニュのような、本当に不運としかいえない事故だったそうです。 その日のレースの際の雰囲気は忘れることはできないけど、2019年のポローニュもこういう感じだったのでしょうね。 

 自分の贔屓チームの一つはクイックステップなのですが、ここは2020年に2つの悲劇を経験しています。 ご存じの方も多いと思いますが、ツールドポローニュのでのヤコブセンの落車事故とイル・ロンバルディアでのエヴェネプールの崖からの落下。 2020年版のイヤーブックを持っているのですが、その時の状況が文章で書かれています。 ルフェーブルさんはインタビューに対し「ここ10日で2回葬式をした気分だ」と言ったそう。 当時はこれからツールド・フランスが開幕する直前。 他のチームは待ってくれないし、なかなか大変な状況だったことは容易に想像がつきます。 
 幸い2人とも開幕から大暴れしていますが、一歩違えばこれは叶わなかったわけで。

 2019年にポローニュで亡くなったランブレヒトは将来が本当に嘱望されていたみたいですね。ツールド・ポローニュの公式サイトにはアーカイブページがあって、その当時のレースの写真が掲載されています。追悼ステージとなった第4ステージの写真は…
 今でもポーランドの事故地点には花が添えられています。 この年はF2でも事故で亡くなったドライバーがいるけど、彼もまたフランスのレース界を引っ張る人だろうと期待されていました。 
 どんな人であれ、レース中の事故で選手が亡くなるということほど悲しいことはありません。
しかしモータースポーツはマシンに合わせて安全対策も進んでいるのに、自転車は機材が進化しても安全対策が進んでいる途上、というように見えます。 下手したらもっとこれ酷いことになっていたんじゃ、という落車も何度か見かけました。 
 自転車ロードレースの落車はNASCARのクラッシュのように、さけては通れないものなのかも。それでも落車して大けがをする人が減るよう、UCIやレース主催者が工夫してくれたらなあと思う次第です。 レース中に亡くなるのは彼が最後であってほしい、そう願います。



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