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VALORANT Masters 2とLCQでメタはどう変化したか?Championsの活躍予想は?AIとデータを用いた比較

前回の記事ではフェイド登場後のメタ変化をみてみました。

あれからMasters 2、LCQと大きな大会が続きましたが、そこでのメタがどのようになっているかを改めて見てみたいと思います。

まずはマップ・エージェントごとの勝率とピック率を見てみます。Masters 2は全試合のデータを使っており、LCQに関してはNA、EMEA、East Asiaのデータを使っています。

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目立つのはLCQでのフェイドの勝率の高さでしょうか。前回記事時点(3月)と比較すると、バインド、アイスボックスで運用したチームが勝利を得ているようです。ブリーズやアイスボックスなどの一見メタに変化が少なそうなマップでこそ、改めてデータを見ると面白い変化が観測できます。そのほかにもバインドのアストラなどは注目すべきところでしょうか。

アイスボックスのブリム、ブリーズのサイファー、あとは全体的にフェニックス・ヨルの運用など、強いプレイヤー・チームが使っていて謎のスタッツが出ている箇所もありますが、そこは異常値と見るべきでしょうか?

ここで注意したいのは、事実上の必須ピックとなったエージェントは両チームともに同一エージェントが必ず存在するので、勝率は50%近辺で安定するため勝率が情報としての意味を失います。例えば、アセントのフェイドなどは91.2%のピック率となっているため、勝率が50%近辺です。

そこで次に、もう少し情報を丸めて「各エージェントがどのぐらい勝利に貢献しているか」をざっくりと見ていきます。次のグラフは日本のStage 2のデータから、各エージェントのピックとラウンド数の差との関係を探ったものです。正の方向に高ければ高いほど、そのエージェントのピックが勝利に貢献していることになり、0だと無関係、負の方向に高いと敗北に繋がる傾向が高いことになります。

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この図も一つ前の図と同様に見るのは注意が必要で、必須級エージェントほどラウンド数差との関係が薄くなるため0に近い数値が出がちでです。一方で滅多に使われないエージェントは数値のばらつきが大きくなります。実際、サイファーやヨルなどは完全にその影響で極端な数値が出ており、チェンバーなどの必須級エージェントは0に近い数値が出ます。

すなわちこの図は、構成を考える上での価値はそこまで高くありません。そこで次のデータを見てみます。まず、グラフを作るモチベーションを少し変えて、「他のエージェントの成績を固定した場合に、あるエージェントの成果がどれだけ勝利に貢献するか?」という指標を考えることにしてみます。この指標であれば、仮に全チームが全マップでジェットをピックしているような極端な場合だとしても、成績は試合・チームごとに必ず異なるので、上で生じた問題は起きません。

基本的にあるプレイヤー(エージェント)の成績はそのプレイヤーだけの成績で決まるわけではありません。具体的には、デュエリストはサポートキャラよりも成績が高くなりがちですし、そういった傾向は勝ち試合だと特に顕著になります。本指標のようなエージェント間の依存関係を見ないと、エージェントの有益性を測るのは難しくなります。

以下のグラフは、実際に上のような指標を可視化してみたものです。作り方には前回の記事に詳細を書いていますが、このグラフは横軸に"そのエージェントのKASTが"勝利に貢献する度合いを表しています。すなわち、この数値が高いエージェントが活躍すると、他のエージェントと無関係に勝利に貢献し、低い場合はその逆になります。

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Masters 2ではフェイド・チェンバー・レイズを使うプレイヤーの働きが極めて重要であったことがわかります。LCQでは少し傾向が変わりますが、チェンバーの重要性がやはり高く、ブリーチ・KAY/Oの重要性が高くなっています。

この結果をどう解釈すればいいでしょうか?あり得ない話ではありますが、仮にチームメンバー5名全員が、個々人の平均的な実力は違う一方で、全エージェントが同じぐらいに得意な万能型プレイヤーだったとしましょう。その場合、一番平均的に上手なメンバーをチェンバー・フェイドに、次をKAY/Oに、次をブリーチに、、、と割り当てていくのが最適ということを示しています。

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こうした傾向がチャンピオンズでどのように変わるのかが楽しみですね。

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