VALORANT Challengers JapanのIGZISTについて

本大会で無事メインステージ出場を果たしたIGZIST(以下、IGZ)は、1W-5Lといった非常に厳しい戦いを強いられた。今回は、そのいくつかの試合の内容についてみていきたい。

IGZ vs MRSH

IGZvsMurash Gaming(以下、MRSH)は、IGZにとって貴重な一勝を収めた試合となった。
しかしその内容は、決して満足できるものではなかった。

概要(ASCENT)

本試合でのIGZは、MRSHらしい特定の武器(ジャッジ・オーディン・オペレーター)を用いた戦法や、個人の判断に於けるドライ勝負に苦しめられる展開が目立った。
IGZアタッカーサイドでは、1R目からやや変則的なMRSHのBメインプッシュに崩されたり、メインへの異常なプレッシャーに悩まされる立ち上がりとなった。
しかし、前述した特定の武器は、特定のレンジでしか脅威ではないため、ミッドを主とした立ち回りでラウンドを取得すると(6R)、MRSHの味変プッシュに対しても先手で詰め待ちを行うなど(8R)、読み合いでも上に立つ修正力を見せた。
注目したいのはMRSH側TO終わりの11Rである。今回MRSHは散々狙われたミッドをギブしつつも、ミッドからサイトへのコネクタであるショートに対してはジャッジを配置していた。
対するIGZは素早いミッドBフェイクからショートA進行を取る。当然このジャッジケアが求められる場面だが、oitaN選手のKAY/Oウルトのみで突破しようとし、他に余っていたドローンなどのスキルを入れなかったためにmillion選手のジャッジが火を噴く結果となった。
今までの傾向からするとサイト内ジャッジのパターンしかなかったが、MRSH側のTO後ということもあり、もう少し被害を抑えられなかったのかという感想も拭えない。しかし、この局面は、「MRSHらしい」戦い方に対して、修正したとは言え後手に回っていたアタッカーサイド前半部分も含めると疑問が残る場面の1つではあっただろう。
ディフェンダーサイドでは、16R、MRSHのスポーン抜けA展開が尾を引いたり、MRSHらしいドライ勝負に揺さぶられる場面はあったが(16、17、18R)、そこに対してはカバー付きのkobra選手に当たらせるという選択や(19R)、ドライ進行を逆手に取ったオフアングルでのxui選手の勝負が刺さっていた(21R)。
最終的にはミッドはギブしてしまい、カウンタープレイをするというxui選手の解答が上手くハマってマッチポイントを取りきった。

疑問

以上に見てきたとおり、前半はアタッカーサイドでもディフェンダーサイドでもMRSHに先手を打たれていたIGZであったが、試合中の修正によってなんとか持ち直したことが印象としては強いマッチであった。
ここでやはり気になるのは、「なぜそもそも後手に回っていたのか」ということである。
言い換えれば、「MRSHらしい」と思わせる戦いに対して、なぜ事前対策がうまく出来なかったのか、また出来ていたとしてもなぜ試合中に生かせなかったのかということだ。
ここはもう少し検証が必要な部分ではあるが、IGZ戦のMRSHが、全く今までに見せなかった、あるいは傾向とは違った戦い方だったのか、と聞かれれば、恐らくノーと言えるのではないだろうか。
続くSUNSETでも、ファイトこそ勝っていたものの、読み合いでは負けていたため、biju選手のオーメンなどを筆頭としたカウンタープレイに悩まされる部分は見えており(kobra選手がよくエントリー後に孤立させられていた)、どうしても後手に回っている印象が拭えなかった。
インゲームでの指揮が劣っていたという意見を見かけたので、果たしてこの部分がIGL差なのか、はたまた事前準備だったのか、という部分も含めて、xui選手が離脱した試合も見ておきたい。

IGZvsVL

IGZvsVARREL(以下、VL)戦は、IGLであるxui選手が離脱し、代わりにyamada選手が出場し始めた一戦であり、IGLはイニシエーターを務めるoitaN選手が行っていた。

概要(LOTUS)

この試合は、VL側が一方的にラウンドを取得し続け、4-13というスコアでVLが勝利を収めた。
なぜそうなってしまったかと振り返ると、こう言ってはつまらないが、選手自身もインタビューで語っている通り、「ファイトに負けすぎてしまったから」という一点にありそうだ。
IGZがチェンバー1センチネル2コントローラーという構成に対して、VLはブリーチを入れた1コントローラー2イニシエーター構成であった。
【VLはこの2イニシエーター構成(・・・というかこの場合はヨルなのだが、実態はイニシエーター運用をしていた)をSengokuGaming(以下、SG)戦のBINDでも見せており、2イニシ構成はVLの2コンメタへの解答なのだろうと考える。】

疑問

ブリーチによってエリア取りに関しては非常に強く出られるVLに対して、ファイトで勝ち続ける他ないチェンバー構成を取った選択は、果たして正しかったのか、ということは当然疑問として残る。プロの世界といえど、フィジカルというものはやはり再現性に欠けると考えられるからだ。

VLvsSG,NTH

VLを下したSGのLOTUSはどうだったのかというと、やはり2コン編成のまま、重要なファイトで勝っていたという感想なのだが、その中でも、回数は少ないものの「オーディン」という解答を見せてはいた。ブリーチを含んだ強力なサイトセットに対して、チョークポイントが狭く、壁抜きが有効なLOTUSならではのオーディンを刺すことに成功していた。
一方、注目したいのは、同じく7-13でVLを下したNortheption(以下、NTH)のLOTUSだ。
NTHは、VLと同じくブリーチ入りの2イニシエーター構成を採用しており、加えてイニシエーターはフェイドではなくスカイ、デュエリストもレイズではなくジェットであった。
VLのブリーチを主とした強力なスキル群でのリテイクに対して、同じだけのスキルを吐けるだけでなく、ジェットならば前目に戦ってブリンク1つで安くスキルトレードを迫ることさえできた(3R)。
これこそVLの構成に対する解答であって、手札どころか、同じ勝負の舞台に上がるための「手」であるように思う。構成や戦術はある程度不変なことが担保されているが、フィジカルは日々のコンディションに左右されるだけでなく、戦術面の対策が出来てこそ光るものだからだ。

総括

vsMRSHで見られたような、相手の強みに対して後手に回っているような印象は、「印象」ではなく「事実」であったと考えられる。もう少し事前に共有できることがあったのではないかと思わずにはいられない。試合中の修正力は初の公式大会ながら、xui選手のIGLには光るものがあったと感じられ、また、チェンバー構成の中でもoitaN選手の指揮も最善を尽くしていたと思う。

あとがき

一生懸命試合は見ましたが、自分の浅さが露呈する内容になりました。試合の見方など、大量のデータを処理するのに慣れていなかったため、時間も丸1日かかってしまいました。とほほ・・・。
あと普通にチェンバーも噛み合いと調子がよければ全然刺さったと思います。ブリンクできますしね、そこは後々考えなおしました・・・。


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