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休業補償が妥当な線に収まっているよう。

 COVID-19の流行とその感染を防ぐために勤労者の休業補償が広く国民の求める処となって政府が検討をして来ましたが、昨日に見た厚生労働省発の情報に拠ると、どうやら妥当な線に収まっているようです。

 当初は月の収入が半減とか年収が百万円とか、細かいところは憶えていませんがとにかく低所得に限定された、累進性の極めて高い補償の給付が決まり、それへの世論の猛反発が起きていました。まずはそれが何でかということについては後述します。

 しかし、その発表から一週間ほどが過ぎ、直近の厚生労働省の発表では、会社の休業補償を助成するとの新しい政策が決まっています。私はそれが現状で考えられる限りは最も無理のないことだと思います。
 その会社の休業補償への助成とは、中小企業には補償額の90%を、大企業にはその70%を、政府が各々の会社に給付するとのもの。

 私も基本としては累進制というものには否定的で、今般の休業補償に関しても所得制限が設けられるべきではないという意見は理解できます。
 しかしここで検討されている事柄は休業補償です。休業への補償なので、現に就業していない人はその対象にはなり得ません。
 全ての国民に一律に30万円やもっとということになると、休業という理由には当てはまらない人々をその対象に含むことになります。
 就業していない人や就業していても所得の著しく低い人はその経済事情が今般の緊急事態により変わる訳ではありません。初めからいつも苦しいので、彼らへの支援はいつもの問題であり今般の問題ではありません。なのでそれについては早かれ遅かれ別の課題として検討及び実行されるべきです。なるべく早いことが望ましいことはいうまでもありません。

 しかし一律に30万円とかもっとということになると、そもそもこの状況をしのぐためにどれだけの費用を要するか、そのためにはなんぼを給付することが望まれるか、分かりません。暮らしに要する費用の感覚はそれぞれ違うので、必要な給付額を見積もることは不可能です。故に、政府による休業補償を個人単位で支給することは無理ですし、それに関して納税者番号、いわゆるマイナンバーについての議論が出て来ているのもまるで無意味です。

 休業補償は就業していることが前提なので、その給付の対象は番号の付いている個人ではなく休業をさせる主体である会社とすることが適切です。

 私はそれにつき、休業補償を自力で行うことのできる会社には支給せずにそのできない会社には支給することが望ましいとの考えです。
 厚生労働省はその基準を中小企業と大企業の区別でそれぞれ90%と70%とすることに決めました。
 会社の財政状態ではなく規模で決めるということには疑問がありますが、大体は私の考えに近い政策になったといえます:個人単位ではなく会社単位。

 それにつき、給付を受けた会社がその職員への休業補償を支払わない虞があるのではないかとの批判が今日に出ていますが、ぶっちゃけ、そこまではどうにもならないというしかありません。そんなことをする会社があったならそれはそれで仕方がない。
 会社が政府の給付金をその目的の通りに遣わずに自己資金とした場合は普通に詐欺罪になります。それは少なくとも上場会社なら決算表による捕捉が可能です。非上場会社におけるそのような例の捕捉は難しいですが、政府の支給の記録と会社の職員の証言を虱潰しに突合わせれば可能でしょう。

 それを通し、まずは就業者への休業補償をそれなりに確保する。
 退職金の受給資格のある人なら、この際に思い切って退職及び転職をすることも考えられるでしょう。早かれ遅かれ今般のコロナショックはいつかは終わってそこから大なり小なり景気が上向くので、転職にはどちらかといえば有利な状況でしょう。

 返す刀で、生活保護世帯を含む非就業者への支援を別口で強化する。
 一つ考えられるのは、まずはコロナショック後の景気の回復により物価が上昇してマクロ経済スライドの事由が発生することで、まずはそれだけでもあれば少しは違います。
 それに加え、生活保護においては支給額の増加及び資産制限の撤廃や就業指導を受給者の任意とする、雇用保険においては求職実績の報告を撤廃するなどの制度そのものの改善が考えられます。

 「一律30万円、いやもっと!」という方々は、国民皆が就業中だと思っているような節があります。いや、そんなことはない、失業者や未就業者のことも分かっているというかもしれませんが、知っているだけで、実際の発想は国民皆労働、失業者0が当たり前だという感じ。
 先述のように、基本としては累進性のない一律課税・一律給付が望ましいです。しかし誰を対象とするかということによっては必ずしもあらゆる課税や給付が一律になる訳ではありません。

 その他、こんな時にお金の貸し借りをするべきではないという観点から、政府系金融機関による企業への重点融資については疑問がありますが、大体においては今度の政府による休業補償の政策は妥当なものと思えます。
 ただ、それが安倍政権の意向なのかというと、必ずしもそうはいえない面があり、それについて書けたら次以降の記事に書きます。

#COVID19 #休業補償

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