手記4

頑なな感情には着いていけない。この前の懇談会で彼が言ったのには意味があった。少しも動揺を見せずにするすると語るその姿はトカゲの尻尾切りのように見え、私にとっては近ごろの楽しみのひとつでもあった。見様見真似で彼の振りをしてみるもよし、録画し見返しながら浸るもよし、首ったけという言葉は私のこの状態を見て作られたのだと思うほどであった。

路上で座り込んだ奥方を安物の傘達がお笑いになるがそれもそのはず。煙が立ちこめる中で沐浴を始めた志願者を取り囲むのは砂粒である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?