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ラムダ団戦記~タオゼント計画①~

ラムダ団広報部82号です。我がラムダ団は表では大型量販店『ヨドバシラムダ』として営業しているのはご周知のとおりですが裏ではしっかり兵器の製造、販売、ハッピーターンの粉の密輸など悪の組織らしく活動しています。

さて、今回我らが大総統Vain様から「最新兵器タオゼントのなんかいい感じの記事書いといて」と命令が下りました。まぁぶっちゃけ自宅待機で私もやることが無かったのでテレワークの一環として今回は各地の戦線での記録を基にタオゼントの制作経緯等をいくつかの記事として書き記したいと思います。

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・九式改の活躍と衰退

タオゼントより前の主力戦車こと我がヨドバシラムダ謹製二足歩行重突撃戦車「九式改」は2号が取り仕切るラムダ団研究開発部主導のもと開発した兵器です。今後の兵器開発技術のノウハウを蓄積し戦闘データの収集を行う試験的な意味合いが強い兵器だったのですが、いざ戦線に投入してみると思いのほか大戦果を挙げてきたので前線では「もう全部あいつ1人でいいんじゃないかな」と兵士達がぼやいていました。

まあ投入してすぐの頃の話なのですが。

実際、火力と装甲に極振りした機体構成でしたので防御陣地を築き上げながらじりじりと前線を押し上げるのに適していましたし、何よりその巨体故にプレッシャーが凄まじかったと捕虜の一人は語ります。更に製造ラインも非常に優秀で、単純な構造故にパートのおばちゃん達でも組み立て出来てしまうので複雑な組立機械を導入せずとも大量生産が可能になりました。ガンプラかな?

と、ここまで書くといいとこづくめの傑作機のように思えますが、投入期間が長引くにつれいくつかの欠点が発覚しました。

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まず維持コストがバカ高いことが発覚しました。九式改の両腕に搭載されている「マキシマム超重機関銃」は弾薬を湯水の如くばらまくため弾薬の供給が間に合わない事態が各地で発生してしまいました。対応策として無駄撃ちはするなと大総統命令が発令されましたが巨体故に敵兵士から目の仇にされやすく、対抗のためにはどうしても弾薬の消費が激しくなってしまいます。そのため弾切れを起こし撃破されていく機体が投入からしばらく後に目立つようになってきました。

更に拡張性の無さが欠点として取り上げられます。戦線が広がるにつれ奇襲戦や遭遇戦が発生しやすい森林地帯や、機動力を活かした強襲戦が求められる山岳地帯では運用が難しいことが判明しました。九式改の武装は全て搭載兵器のため戦況に適した武装をその都度選択、換装することが最初から難しかったのです。(一部では火炎放射器を搭載した機体も存在した模様ですが記録が残っていないので真偽は不明です)

分かりやすく言うとモビルアーマーみたいなもんですね。

特に肉薄する敵兵士への対応が難しく、白兵戦を想定していないため接近してきた敵兵による近距離からの爆弾等による破壊工作やよじ登ってきた敵兵にケーブルを切られるなどで行動不能あるいは撃破される機体が増え、中には落とし穴にはまり行動不能になる事例もあったりと割と原始的な方法で対抗される事例が後を絶ちませんでした。

総じて九式改の特徴は

利点:火力と装甲に優れた移動要塞としての運用が可能。大量生産も可能。

欠点:弾薬の消費が激しく、拡張性がないため汎用性に欠ける。

以上の点により九式改は広域での運用よりも局地的な運用方法に切り替えを余儀なくされ(まあいきなり全戦線にぶち込んだ大総統のせいではあるものの)弾薬が豊富な防衛拠点の防衛任務等での運用が主となり、前線で徐々にその数を減らしていきました。ただし広大な平野が広がり塹壕戦が主となっているバーチャル西部戦線においては未だ多くの機体が現役で稼働しています。実際複雑な機器を積んでいないため整備性や信頼性は高く、一部の戦線のパイロット達には愛用し続けている者もいるほどです。

このバーチャル西部戦線はかなりの曲者で九式改の投入初期には一時優勢を保っていましたが敵勢力による抵抗が激しく、幾重にも貼られた塹壕と要塞により九式改をもってしても打開には至らず戦線が膠着してしまいました。そのため打開策として新たなる兵器開発計画が立ち上がったのです。

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・タオゼント計画発足

「次世代二足歩行汎用戦車開発計画」(後のタオゼント計画)はバーチャル西部戦線の打開及び全戦線で投入可能な汎用性を兼ね備えた次世代兵器開発計画として発足しました。開発を主導で行うのは九式改と同じくラムダ団研究開発部…かと思いきや。なんと開発主導に指名されたのが1号が率いるラムダ団戦闘部、つまり前線をよく知る兵士達主導のもと開発されることになりました。

これには研究開発部が猛抗議しましたがそもそも戦闘部の1号研究開発部の2号は有名になるほど仲が悪く「前線の現状をよく知る者」と「兵器開発を行う者」で致命的な乖離が起きてしまい、九式改の開発時にはいくら試験機とはいえ前線の声を全く取り入れないまま開発完了という事態となりました。しかしやることはしっかりやる2号の性格が幸いしてか九式改は仲が悪いはずの戦闘部でも一定の戦果を挙げていました。

しかし先にも述べた欠点が露呈してからはもっと現場の声を取り入れるべきと大総統が判断し、なんとか戦闘部と研究開発部共同で開発を行えないかと協議の場を開くものの1号のドタキャンで協議が開けず終了。ますます折り合いが悪くなってしまい技術に乏しいが現場の声をよく知る戦闘部技術はあるが現場をよく知らない研究開発部かで選択しなければならない事態に陥りました。我々下っ端からすればんなもんどうでもいいから一緒にいいもの作れやという気持ちですがそうは簡単にいかないようです。

そういった経緯もあり結局「タオゼント」は戦闘部主導のもと開発が開始されました。細かい開発経緯に関してはまた次号で皆様にお届けしましょう。


記事:ラムダ団広報部 82号

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