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ジョージ所長の欧州日記 イタリア/ミラノ編

こんにちは。欧州日記②は、イタリア・ミラノより。今回インタビューしたのは、10年来の友人である小林もりみさん。

イタリアで、こだわりの食材等々を見つけ、日本に紹介するカーサ・モリミ代表。さらに、福島のこども達のイタリア保養を実現しているNPOオルト・デイ・ソーニ代表でもあり、UNISGイタリア食科学非常勤講師(日本の食文化)も務める。イタリアと日本をまたにかけて小さな体で大活躍中です。本当に久しぶりの再会でしたが、話はかなり盛り上がり、ランチのはずが、夕方のアペリティーボにまでと、長時間インタビュー(?)となりました。時々、インタビュー形式を交えてレポートします。

最初に感じたこと

イタリアに来て思うこととして、フェラーリやブルネロ・クチネリのような素晴らしく素敵な製品、ブランドが生まれるのは、どう考えても人生を楽しんでいるからだ、と感じている、というのが第一声。
週末には山の家に、夏は3週間、冬は2週間の休みで、旅行へ行ったり、実家へ遊びに行って家族が集合したり、本当によく遊んでいる。年末年始は日本の特権かと思いきや、12/25~1/7 まで多くのイタリア企業が休み。あれ?日本の年末年始より長いじゃないかぁ。


夏のミラノは愛人天国!?

前回の福田明美さんも指摘の通り、セカンドハウスを多くの人が持っていて(肌感覚的には20%くらいの人が持っている)、長い夏休み期間(イタリアでは6月初旬から9月中旬まで!)、家族はずっと山の家に、お父さんは3週間の休み以外は、週末ごとにオフィスから山の家に通う、というパターンも結構多い。そのためでしょうか?ミラノでは、夏になるとレストランには若くて綺麗な女性と一緒に食事を楽しむ紳士がだいぶ増えるそうです!!なーんと。なーんと。人生謳歌してますなぁ。

ちょっと違う仕事観

「ご飯に行こうよ」、という誘いに「あ、ごめん、仕事が忙しいから行けない」みたいな返事は、日本では非常に普通ですが、イタリア人にこれを言うと"仕事ができない人”と思われちゃうそうです。気をつけましょう。意外と言っては失礼ですが、イタリア的仕事観は「グダグダせずに”成果を出す”ことにFocusする」ということ。モリミさんも家で仕事をすることが多いこともあり、オン・オフの切り替えがなく、ズルズル行く傾向があるから、今年は変えようと真剣に思っている、ということでした。
で、モリミさんご自身はどのようなバカンスを過ごすのでしょうか?
イタリアに来ても日本人的働き方をし続けて来たモリミさんは、イタリア人的バカンスは過ごしたことがない、とおっしゃりつつ、医療を目的とするスパや、アーユルヴェーダ@インド、オーストリアのヨガキャンプ等、実はあちこち楽しく過ごしていました。その中から、Palatini Termeをご紹介します。https://palatini.it/en/)
モリミさんが行ったPalatini Termeは、ベニス近郊にあるスパ。かなり本格的なスパで、きちんとしたメディカルチェックに基づく施術で、1週間毎日マッサージ、カイロプラティック、温泉療法、デトックス、といろんなメニュー。食事も、本当に体の良い食材を使い、1週間はベジタリアン。欲しければワインも飲めるけど、何しろ1週間こうやって過ごすことで、本当に元気になったということ。気になるお値段ですが、滞在費は10万円程度。その他の施術は人それぞれですが、医療費20万円と合わせて、総額30万円くらい(1週間)だったとのこと。それでも、本当に価値のある投資だったということですよ。Palatiniのような医療系スパよりも、よりリラックス系を好む方々向けに、最近は「ビューティーファーム」が人気だそうです。こういうの、日本にもあると良いですよね。

NPOオルト・デイ・ソーニの活動とミラノ市の保養施設


NPOオルト・ディ・ソーニは、毎年夏に福島県の子供たちをイタリアの海で過ごさせる活動で、昨年で8回目だったそうです。ミラノ市がリグーリアという海沿いで運営している保養施設で1ヶ月間過ごし、海で泳ぎ、砂浜で遊び、みんなで元気な一夏を過ごす、という活動です。子供たちは、スマホ・ゲームなしのデジタルデトックス状態。そしてそして、何よりも大事なのは健康面での回復です。福島県は、やはりまだ放射能の影響がゼロではない。子供たちは、1ヶ月間元気に過ごし、真っ黒に日焼けして、たくましく一段成長するだけでなく、多くの子のセシウム濃度(体内)が半減、これがゼロになる子もいる、ということです。海、砂浜、太陽、そして、ゆっくりと流れる時間は、デトックス効果が高いのだそうです。素晴らしいですね。

ミラノ市が運営している施設は、だいたい200名くらいが宿泊できるもので、3食付き、いろいろなアクティビティ付きで、なんと1ヶ月の費用がたったの 176ユーロ/1人(約2万円)!! イタリアのみならず、ヨーロッパ各国は、主にアフリカからの移民が社会問題となっていて、お金がなくてバカンスが過ごせない子供達も多い。ミラノ市は「すべての子供たちがバカンスを過ごす権利がある」という理念のもと、この施設を運営しているということ。素晴らしい取り組みですね。行政かくあるべし。東京都も絶対にやるべきですね。
こちら、モリミさんが寄稿した記事です。素晴らしい内容なので、ぜひご一読ください。http://italiazuki.com/2019/08/01/リグーリア海岸沿いにある、小さなミラノ/?fbclid=IwAR2DCCPWGiSa6fmrMobCVy2-M8lBAyFegJs5mFgy0HGrGTR4HYR3RMbACHw


バカンスは昔に比べて短くなってきている?!


10年くらい前と今を比べると、かつては間違えなく3週間のバカンスを多くの人が取っていたが、最近2週間くらいになってきているという傾向はある。それでも、年間を通じていわゆる有給休暇の消化率は絶対に100%。合計20日間は休む。ミラノでは2015年にEXPOがあって、そのタイミングを境になんとなくそういう傾向になったような気がする。街の中心にある大聖堂(ドゥオモ)も、以前はいつでも無料で入れましたが、今は観光収入源なのか有料に。カルフールみたいなチェーン店が増えて、休みにならない店も増えて、その傾向を強めているだろうし、またどうしても経済情勢が少々よろしくない、ということも影響があるように感じる。バカンスでも、不景気だから家にいてペンキ仕事とかやっている、みたいな人も増加しているのは感じる。とはいえ、やはり8/5~20くらいは、全体的にお休みムードであることは間違えない。「みんな休みだから、働いても仕方ない」というムード。


日本も人気の旅先に


”日本の旅”はイタリアでも大ブーム中。お金があって、時間的余裕がないと難しいけど、意外とそういう人もけっこういる。観光地を見学したい、というよりも、「経験したい」という人が多いのも特徴。今のところ、なかなかうまく経験をパッケージして提供できていないのは実態と思う。こないだも、四国のお遍路をやったイタリア人の話しを聞く会なんていうのがあったけど、ものすごい人数が来て大盛況だった。だから、興味はある。でも、どうやって行けばいいのか、アクセスが分からない。その上、日本語は難しい言葉だし、日本人が英語が苦手というのも知っているので、コンシェルジュ的な役割の充実が期待されていると思う。また、前回の福田さんの指摘にもあったが、日本ではなかなか「ゆっくり時間を過ごす」ことのできる場所がなく、チェックアウト後の時間、ゆっくりと過ごす場所・環境の整備を進める必要を感じる。文化、ゆっくりした環境、スローな時間、そういったものがバカンスの重要な要素なのだろうと思う。
その他にも、本当にたくさんのイタリア人観、日本人観、文化の話し等々、とても楽しく尽きませんでした。生産性の議論は、効率化・コストカットではなく、付加価値付け勝負という議論。それが日本の現実だとすれば、バカンスでゆっくり自分をリチャーじ・リクリエイトして創造性をアップ。付加価値アップで新しい次元へ、ということですね!
今回は本当にありがとうございました。またお会いするのが楽しみです。(ジョージ)

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