見出し画像

アウトプットでインプット

2021/1/20 アグリフードシステム論 「バナナのバリューチェーン」

「バナナは昔、高級だった。」幼少のころ何度か聞かされたこの話。
何がどうなって、親しみのあるフルーツになったのか?
今回は、国内バナナシェア約65%を持つドールの取り組みからその一端を学んだ。

日本の果物輸入量トップはバナナ。
2018年は100万t越を輸入、2位パイナップルと比較して6倍以上!圧倒的!
その輸入バナナ、時折ニュース映像等で見かけるがなぜか「青色」。黄色く熟したバナナは害虫が着きやすく輸入できないそうである。
 そのため国内で「追熟加工」を行うのだが、この追熟は職人技。1963年の輸入自由化以降、小規模多数の施設で三者三様の追熟が需給調整もなく行われ、「バナナの叩き売り」と評されるまで価値を落とした。それを是正したのがドール。

まず、ドールは国内に下記3社を設立し効果的なバリューチェーンを構築した。
①1991年追熟加工を行うフレッシュシステム設立
 追熟を集約した他、13.5℃定温倉庫により「バナナの睡眠状態」を操り、
 通年栽培されるバナナと、国内のバナナ需要ピーク4~6月の需給を調整
②1998年営業・小売支援のケーアイフレッシュアクセス設立
③同年、産地から小売をITでつなぐイーサポートリンク設立
 ②③連携し、ITを活用した細やかな販売計画を立て廃棄ロス削減
極めつけは、競合するスミフルと提携し、物流・流通設備に約900億円をかけ、規模と範囲の経済をバナナに適用した。

物流について特筆ポイント1点。
ドールには「200km構想」という物流ノウハウがある。
経験からバナナが輸送による振動に耐えうる限界距離が200kmとし、国内200km圏内毎に加工センターを配置した。

スミフルとの提携について特筆ポイント1点。
スミフルはフィリピン高地に圃場を持つ。高地は寒暖差があるため、涼しい夜間は、昼間に作られたエネルギーを成長に使わず、デンプンにして蓄えられる。このデンプンは追熟加工によって糖度になる。この高い糖度が従来品や競合との差別化を生み、ブランドを築いた。近年では、同じく寒暖差があるエクアドル産も導入。

このように、高級フルーツバナナは、輸入自由化から叩き売りになり、ドールのバリューチェーン構築により、品質管理・需給調整とブランド化が行われ、今の親しみのあるフルーツとなった。

バナナは栄養面に優れる他に、焼いて良し、揚げて良しの最強食材であると聞いたことがある。
そんな大切なバナナ。
日本は、フィリピン産・エクアドル産が主流。実態を調べたことがないが、産地がしっかりと利益を享受し、フェアトレードがなされていて欲しいし、なされるべきだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?