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2020/11/12 経営財務 「正味現在価値 NPV」
今回は、うまく表現できる自信がなく何となく書かなかった(書けなかった)、少し前の経営財務授業「正味現在価値 NPV」について記載。
NPVは、Net Present Valueの略称。日本語では正味現在価値。
ゴルフにおける「Net」は、実際の打数「gloss」にハンデを引いて補正し、フェアな打数で比較するが、NPVも同じく、「補正」する。では、何を何のために補正するのか?
「未来のお金に時間の概念を加味して、現在の価値に補正する」のである。
表現が固い⁉
「来年の100万円は今日の何円なのかを測る」
少しNPVがイメージできただろうか。
正味の現在の価値にするから、「正味現在価値」。
「来年の100万円は、今日も100万円でしょ」と思った方は、このまま読み進めて欲しいし、口に出してツッコんだ方は、絶対に読み進めて欲しい。
例題。35年住宅ローンを組み、次の2種類の補助が受けれる場合、どちらを選択するか。
①即100万円一括補助
②ローン開始1年後・2年後・・5年間、毎年21万円を補助
経営財務授業を受ける前なら「5万円お得」と、②を選択しただろう。
今なら、これをNPV法で時間の概念を入れて補正して検討する。
時間の概念として、金利で割引くのである。
例えば、上記②は金利1%の場合、以下の計算で補正する。
・1年目の21万円補助
21÷(1+0.01)=20.8
・2年目
21÷(1+0.01)²=20.6
・3年目
21÷(1+0.01)³=20.4
・4年目
21÷(1+0.01)⁴=20.2
・5年目
21÷(1+0.01)⁵=20.0
・合計 102.0万円
「5年間合計105万円の現在における価値は102.0万円」と考える。
そうなると、受けるべき補助は②ですね。では金利2%では??
合計99.0万円。受けるべき補助は①という結論に。
このNPV法はプロジェクトへの投資判断にも活躍する。
・初期投資50億円
・年間10億円のキャッシュフローを生む
・3年後には事業を25億円で売却可
・資金は借入資本(有利子負債)、利子率5%
この事業に投資する?
キャッシュフローが10億円×3年+25億円=55億円
「3年後に5億円儲けれるからやる!」と思われた方はいませんね?
そう。現在価値に補正する。
・1年目
10÷(1+0.05)=9.5
・2年目
10÷(1+0.05)²=9.1
・3年目
35(3年後の25億円も割引きます)÷(1+0.05)³=30.2
・合計 48.8億円
投資は控えた方が良いか?
まだまだ。
節税効果として、法人税(40%とする)を加味した計算式は下記。
・1年目
10÷{1+[0.05×(1-0.4)]}=9.7
・2年目
10÷{1+[0.05×(1-0.4)]}²=9.4
・3年目
35÷{1+[0.05×(1-0.4)]}³=32.0
・合計 51.1億円
どうやら、投資しても良さそうである。
お金に時間の概念を入れることがポイント。
前述の「来年の100万円は、今日も100万円でしょ」と言った方。
昨今の超低金利・マイナス金利を勘案した上で言った方がいたなら、
最強である。