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耳触りの良いおんがくばかりが流れてく


耳触りの良いおんがくばかりが流れてく
眼のまえを通り過ぎてゆく…
音のつぶにも成れずに為れずに
時の針にも為れず流れてく

たしかなもの探して
この手にしたくて
空(くう)にのばすその手を

差し伸べるべきは跡形も無い轍
決して手離してはいけないのです
燻る煙に想い掻き乱されて
決して振り返ってはいけないのです

あゝ、あゝ、君よ、
わたしに気付かないでくれ。
あゝ、あゝ、誰も、、

耳触りの良いおんがくばかりが流れてく
眼のまえを通り過ぎてゆく
音のつぶにも成れずに為れずに
時の針にも為れず炙れてく…

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