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すいとんのお善哉

わたしはばあばのすいとんのお善哉が好き。
すいとんには、田舎くさいとか貧乏くさいとか偽の餅みたいなイメージがあるかもしれない。
でも、わたしはばあばが
「お善哉だよ」とニコニコして出してくれる、お餅ではない、このすいとんのお善哉が好きなのだ。

昔はお餅がなかったんだよと、お嬢様だったばあばが言っていた。
歯医者の娘だったばあばは、その辺の子たちより美味しいものを食べていただろう。
それに、軍人さんからもらったチョコレートもお餅も家にあっただろと思っていたけど、もしかしたら、極貧生活もあったかもしれない。

お餅ではないすいとんのお善哉は、どうしても「おいしいものを食べさせたい」の最骨頂にあるのでは、と感じている。

ばあばは、わたしに「何か食べさせたい」「太らせたい」と常日頃考えている。
美味しいと言ったものはいつも買い与え、作り、頻繁に食卓に並んだ。
「この子はこれが好きだから」そう言うらしい。

"食べさせること"
これがばあばにとって最上級の愛なのだ。
拒食気味だったころのわたしには苦痛でしかなかったが、コンビニ弁当ばかりの今では常にばあばのお料理が恋しい。

"食べさせたい"
この願望は母性本能にあると思う。
痩せすぎる元カレに「何食べたい?」と聞き、
「カルボナーラ」と言われれば、パスタとレトルトカルボナーラは常にストックしていた。

女性は常に尽くしがちだと思う。

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