弁理士試験論文式:答案開示請求
(2023/10/10追記)実際に開示請求を行った方から、特許庁で応対いただいた方からの情報をコメントいただきました。末尾コメント欄もご参照ください。(追記ここまで)
答案開示請求
各種資格試験を受けた時、特に不合格だった場合には、自分の答案のどこがどう良かった・悪かったのか、を知りたい受験生は少なくないと思う。その場合、いわゆる短答式・択一式試験であれば試験時に問題用紙の隅に自分の答えを書き記しておくことは容易だが、論文式・記述式試験だとそうもいかない。
そこで、各種資格試験では「再現答案」なるものが登場する。これは受験生が受験直後に記憶に基づいて自分が書いた答案を「再現」するものである。各受験機関はこれを集めて分析と採点をし、受験生はそれをみて手応えや改善点を知る…といった具合だ。だがやはり再現答案は実際の答案からは遠く、その差が残る以上、その後の分析についても、どうしても靄がかかった印象が拭えない。
やはり自分が書いた答案そのものを見てみたいではないか。採点が終わった答案なら見せてくれてもいいんじゃない? いや、見る権利があるはずだ。
…ということで登場するのが、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」である。本稿に係る部分でいえば、以下の部分を根拠として、自身の答案の開示を求めることができる。
手続の方法
手続の方法等については、特許庁が専用ページを用意して解説している。
その内容は細かく正確である(と思われる)が、「細かいことはいいから、とにかく開示してほしいんだよね」という向きにはいささか迂遠な説明にも見える。そこでここでは「簡略版 答案開示請求」をお送りする。言うまでもないが、内容の正確性は保証しかねるし、必ず特許庁のサイトを確認するなどして、誤った情報に基づいて開示請求して庁に迷惑がかからないようにしたい。
開示請求書を作る
まずは、下記リンクからダウンロードできる用紙にて、「保有個人情報開示請求書」を作成する。
https://www.jpo.go.jp/news/kokai/kojin-hogo/document/personal_block/kaizi01.pdf
なお、似た請求として「特定個人情報開示請求書」なるものもサイトには記載されているが、こちらはマイナンバーを含んだ個人情報を指すようで、今回の開示請求の対象には該当しない。
「保有個人情報開示請求書」のうち、「1.開示を請求する保有個人情報」の欄には以下のように記入すると良いだろう。
私が請求を行った際には、
「『必須』と追記してください」
「採点前の答案ということでよろしいですね」
と確認されたので、事前に記入しておくとスムーズと思われる。
開示請求の手数料
続いて、できあがった請求書を特許庁に持参することになる。請求書自体は持参あるいは郵送でOKなのだが、難関は請求手数料の支払いだ。
「特許庁の保有する個人情報の保護について」のページ(https://www.jpo.go.jp/news/kokai/kojin-hogo/personal_block.html)には、以下のような記載がある:
つまり、
300円必要。
持参による納付か、納付書による納付。印紙類はNG。
納付書による納付を行う場合は、要問合せ。
ということだ。面倒くさいことこの上ない。他の資格での開示請求は、収入印紙を貼って郵送すればOKだったので、この煩雑さは噴飯ものだ。省ではなく庁が管轄しているからだろうか。
なお、納付書による納付を行うべく問い合わせをしたことはないので分からないが、おそらく納付書を郵送してくれるのではないかと勝手に推測している(全く根拠がないので信用なさらぬよう)。
特許庁へ
というわけで、シンプルに請求書と300円を握りしめて特許庁へ行こう。
特許庁は、東京メトロ虎ノ門駅が最寄り駅。入口で守衛さんに書類書くよう言われる(弁理士バッジでフリーパスなのかなこれ)。そして、マドプロ窓口の電話から担当部署に電話すると、担当の方が来てくれるのだ。
あとは親切に説明してくれる(と思う)ので、大丈夫。
結果の通知
さて、開示請求を送ると、30日以内にその結果を通知するのが庁の義務となっている。私の場合はちょうど30日くらいで開示の決定通知が届いた。
答案の写しの交付
結果の通知、はまさに開示するか否かの決定が通知されるのみで、実際に中身を確認するにはもうひと手間必要になる。
交付の方法を指定する書面を送付することになる。
私は CD-ROM でのデータによる交付を指定した。
その後、CD-ROM にて届いた。このような物理メディアでの開示はいつまで続くのだろうか。(フロッピーでないだけマシか…)
答案の活用方法
答案の活用方法は、きっと人それぞれだろう。
合格しているなら、感慨にふけるもよし、後に続く人のための資料として供するもよし。不合格だったなら、やはり落としていた論点などを再確認するのが良いのだろう。
おわりに
最後まで読んでくださり感謝。
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