2022年中小企業診断士1次試験を解いてみたメモ:経済学・経済政策編

2022年中小企業診断士1次試験、私は去年受かっていて今年保険受験するつもりがなかったので実際には受けていない。公開されている「A 経済学・経済政策」の問題にトライしてみたところ76点だったので、解答の際にどのようなことを考えていたのかを記してみた。

なお、以下は自分がどう考えて解答を導き出したかを書いたものなので、書いてあることが正しいとは限らない(つまり私が勘違いしている可能性がある)点には留意いただきたい。

解答手順

第1問

ジニ係数。名前しか知らん。

なので、問題を解読しよう。
「改善度」なる語が出てくる。所得再分配によってジニ係数が改善するのか。ふむ。
「所得再分配政策による所得格差の改善」ともある。つまり「ジニ係数=所得格差の指標」で、再分配によってそれが改善されるということか。
再分配後の方が係数の値が小さいので、係数が大きいほど格差が大きいということになる。なるほど。

a:白い棒グラフが2002以降上昇している。マルだな。
b:三角マークの折れ線が2011以上高水準。マルだな。
c:グレーの棒グラフはほぼフラット。格差拡大とは読み取れない。
ということで、ア。

第2問

成長率の構成比。
2020年の値が特徴的で、早い話コロナでどうなったかが聞かれていて、公需・個人消費・設備投資のうち、成長キープ・大幅低下・小幅低下、なのはどれかという問い。

成長キープは公需だろう。なので個人消費と設備投資、どちらの方が落ち込みが激しかったかというのが分かれ目。
私は設備投資と思いイにしたが、正解はアらしい。くそー。

第3問

GDPに含まれる含まれない的なやつ。去年勉強したなあ。だいぶ忘れているよ。
ア:価値を産出しているので、含まれるのでは。
イ:国内であれば国籍関係ないのでは。
ウ:それっぽくもあるが、ちょっと自信がない。
エ:中古で買った場合は含まれない的な話があったような気がする。
オ:うーん、そうだったような気もするけど、それがひっかけだったような記憶もあって自信に欠ける。
ウとオで悩んでウにしたらオが正解。くそー。

第4問

絶対所得仮説。
要はその時の所得の多寡だけで行動が決まるってことだよね。
将来どうだとか、貯蓄がどうだとか、他の事情がどうとか、そういうのは無視。
というわけでア。

第5問

貯蓄が増える→家計から出ていくお金減る→ぐるぐる回るお金減る
ということで乗数は減るでしょう。エ。

第6問

グラフ問題も結構苦手。
a:ADの式で Y の係数が c なので正しい。
b:投資支出と政府支出は式の上では同じ扱いになっているので、GDP増加も同じでしょう。
c:いやいや、C0 + I + G ではなかろうか。
というわけで、設問1はウ。

Y = (C0 + I + G) / (1-c) と、Y を YF-Y0 だけ増やしたい、というのが解答の出発点。この場合、G を (1-c) (YF - Y0) だけ増やせば良い。

グラフを見ると、45度線との関係で YF-Y0 = ADF - AD1 だし、設問1の傾き云々の議論から、c (YF-Y0) は ADF - AD0 になる。なので差し引きして、G の増加分は AD0 - AD1 。答えはエ。

第7問

縦棒グラフ嫌い。

設問1:
まず、利子率低下は貨幣需要を増加させるはず。なのでイウをカット。
物価水準の上昇が総需要の増加になるというのはしっくりこない。のでアを除外。
物価水準が上がると労働需要は増えるかもしれないが、総供給に関しては物価上昇と相殺して動かないんでは?と根拠なく思う。エも除外。
かなり苦し紛れだが、オが答え。

設問2:
政府支出の増加で需要が喚起され、物価も上昇するのでは。とアイをカット。
エも、名目GDPならわかるけど、実質GDPは相殺されて動かない気がする。
こちらも苦労してウ。

第8問

景気循環。
ア:山から山でしょう。さすがに。
イ:実質GDPで測りたい。個人的には。
ウ:設備投資はやや長い周期だった気がする。
エ:そりゃそうだろう感強過ぎて不安になる。
答えはエ。

第9問

将来円高予想で現在も円高に進むのはわかるけど、その逆はちょっと説明できない。利子率低下で円の価値が上がる理由も説明できない。
ということで、a,c のア。

第10問

自然失業率。名前だけは覚えている。
問題文を読むと、どうやらインフレ率と関係があるっぽい。失業とインフレ、どうつながるんだ??

消去法でいく。
c:短期ではトレードオフにない、ということは短期ではインフレ率と失業率が連動した動きにならないということで、だとすると a,b どちらもバツになる。選択肢をみると a,b どちらかはマルだから、c はバツということになる。
d:c がバツなので、解答群からしてマル。

あとは a か b か。エイヤで b つまり解答はエとしたが、正解はイだった。

この問題については反省すべき。仮に b が正しく、
「現実の失業率>自然失業率 → 現実のインフレ率>期待インフレ率」
だとすると、逆に、
「現実の失業率<自然失業率 → 現実のインフレ率<期待インフレ率」
だから、つまり、
「現実の失業率=自然失業率 → 現実のインフレ率=期待インフレ率」
つまり a も正しくなってしまう(厳密には矢印の向きが逆だが気にしない)。
なので、この問題では、「a,b 両方が正しい」か「a が正しく b は誤り」にしかなりえず、解答群との関係で「 a が正しく b は誤り」なのだ。

第11問

需要曲線。グラフ系の中ではまだ仲良くできそうな部類。
a:限界価値…ってなんだっけ?
b:支払意思額とはなんぞや?知らぬ。だが b は違うな。P0 が A に近い場合、価格は高いところに行くのに、支払意思額とやらが 0 に近づいてしまう。バツ。
c:価格 P0 と数量 Q0 を掛け算してあげればこの四角形になる。マル。
ということで、唯一 b がバツで c がマルのイが答え。ラッキー。

今思ったが、支払額が実際に支払う額だとすれば、支払意思額は「支払ってもええで」という額の総和かな。だとすると b の数値は AEP0 でなくて AOQ0E か。

第12問

供給曲線。
a:限界=微分だという記憶に基づくと、限界費用は、1数量あたりの価格に相当するか。だとするとマル。
b:生産者が最低限回収する必要がある、ということは生産に要した額だよね。んー、供給曲線って生産に要した額わかるの? 保留。
c:そもそも P0,Q0 が何かの基準になるのかすら明示されていないのでマルになりえまい。
ということで、a マル c バツ。イとウが残る。
エイヤでウとしたが、イだった。

こちらも今思ったが、需要曲線と供給曲線の交点で価格が決まる的な話と合わせて考えると、供給曲線は「ギリギリ切り詰めてこの価格以下にできない」つまり「最低限回収する必要がある」ラインだと思うことができるか。

その場合、要回収の費用の合計は、数量と費用に従って増加していくのだが、それはOE0Q0 の三角形になるのか、OP0E0Q0 の四角形になるのか。

数量が増えるに従ってじわじわと費用が増えていく。数量が増加しながらその時の費用分チャリンチャリンと積みあがっていくならば、三角形になるだろう。

最終的な数量でそれまでの単位数量あたりの費用も決まるのであれば、四角形になるだろう。

今回の場合はどっちか。
供給曲線は、今回の問題では直線状になっているが、実際には需要が伸びて生産を増やすことになって、投資して費用がかかって…と、階段状の固定費に変動費が乗っかるような形になるはず。

なので、上記三角形四角形でいえば三角形が自然に思える。

第13問

代替材。補完材。
代替材は、ユーザからすればあっちでもこっちでもよい、というもの。
補完材は、あっちを使うにはこっちも必要、というもの。
…と思った(=記憶と語義からそんな感じかなと思うことにした)。

a, c:代替材なので、A が安くなれば、B を使っていた人も A に流れてくる。なので B の需要曲線は左(同じ価格なら数量が減る方向)に動く。
b, d:C が安くなれば C を使う人が増え、それにつられて補完材の関係にある D の需要が増える。なので D の需要曲線は右(同じ価格なら数量が増える方向)に動く。
ということで、b,c のウだな。

第14問

価格弾力性。どっちかの変化率に対して、もう一方の変化率が何倍になるか、という数値…だったはず。

ただ、「AのB弾力性」と言ったとき、AとBのどっちの変化率が分母になるかはわからん。(Bかな?)

しかしこの問題の場合は、B 点では明らかに価格と需要が対称なので値は 1 になる。そして A 点では 1 にならない。だからウが答え。

4 だけじゃなくて 1/4 が混ざっていたら悩んだだろうなあ…。

第15問

ん。第12問で考えたことにちょっと近い話かも。

a:生産量が 0 でも発生するコストだから、固定費用だな。
b:費用関数上のある点において、平均費用は原点からその点に引いた直線の傾き。限界費用は微分。平均費用最小ということは、原点から引いた直線をできるだけ傾きが緩やかな方に引っ張って、ギリギリ費用曲線にくっついている状態。なので、その場合はギリギリくっついている箇所での傾き(微分)が平均費用と同じになる。ということでマル。
c:んなこたーない。総費用は増加するが平均費用は一定値に近づくイメージだ。
ということで設問1はイ。

設問2
「価格」は1個あたりの収入で、グラフに現れるのは総収入の微分。今回総収入曲線が直線なので、その傾きが価格に相当する。
限界費用は、設問1同様、総費用曲線の微分。
a,c:Q1 の点では限界費用の方が小さく、生産を増やす(=Q1 から少しだけ右の箇所を見る)と、TR と TC の差(=利潤)が広がっている。Q2 の点では限界費用の方が大きく、生産を減らす(=Q2 から少しだけ左の箇所を見る)と、TR と TC の差が広がっている。なのでどちらもマル。
b:利潤最大化は、生産を増やしても減らしても(=Q0 から少し右も少し左も)、TR と TC のが縮まっていることからわかる。最適生産というのは利潤最大化と同義ではなかろうか。マル。
ということで全部マルのア。

第16問

設問1
等費用線。総費用が一定になる直線。総費用が変化すると、直線が移動する。
a:こういう問題は、事例を極端にすればいい。例えば賃金がほぼゼロになったらどうだろうか。労働力をアホみたいに投入しても費用がかからないということになるから、横軸上の切片は右に飛んでいくだろう。つまり傾きは緩やかになる。バツ。
b:みたまんま。これも逆に費用がほぼ 0 だったらグラフはどこへ行く?などと考えてみてもヒントになるだろう。
c:労働力 = 0 の場合の値を指すので、マル。
ということで、エ。

なに?オだと?
c は正しくないと?
確かに C0, C1 といった値は、資本のみを投入しようが労働量のみを投入しようが、双方投入しようが C0, C1 等になるわけだが…。

設問2
a:最適投入、つまり総費用が最小化された状態。等算出曲線上を点が動いているのをイメージしつつ、それぞれの瞬間で等費用線がどこにあるかをイメージする。すると、A→E で等費用線は原点に近づき、E→B で再び原点から離れていく。マル。

b:もう、何がなにやらですよ。技術的限界代替率?要素価格比率?どっちも意味わからん。しょうがないので解釈する。まず要素価格比率。これはたぶん資本と労働の投入額の比率だ。どっちを分母にするのが良いかわからんが、資本を労働力で除したとして、ほぼゼロだ。原点からBに引いた直線の傾き。技術的限界代替率?うーん、代替率…何かを何かで置き換える比率か。まあ資本と労働力の置き換えだよね。限界ってことは微分か。じゃあ、等産出量曲線の微分かな。単純微分だとマイナスなので明らかにバツ。代替だから符号反転するとしても、曲線の勾配のほうが緩くみえるな。やっぱりバツか。

c:言葉の意味はよくわからんが、要素価格=資本か労働力の価格、要素価格1単位あたり=資本か労働力かをちょこっと動かした場合、限界生産物=ちょこっと動かした時の生産物の変動、均等化=資本を動かしても、労働力を動かしても変化量が同じ、的な意味か。この図だと資本と労働力の切片が同じ値になっているから、E 点での傾きは常に1。なので均等化されていると言えるだろう。マル。

というわけで、イ。一応正解だが、たぶん僥倖。

第17問

完全競争と不完全競争。かすかに記憶がある。

a:売り手多数か少数か。マルのはず。
b:プライステイカー。覚えてるよ。自分で価格を決められず、市場の価格を受け入れるしかない、って意味だったよね。後半もその通り。マル。
c:いやこれはなんか違う気がする。不完全競争だと、プレミア乗っける的なコントロールができるんじゃ?自信ないけどバツ。

ぬぬ。正正誤の選択肢がないぞ。しょうがないので c をマルにしたアで。

…エだと…。a バツなのか…。これはしたり。
(色々調べ中)
そうか、独占市場と独占的競争市場を混同してたか…。すまん。

第18問

機会費用…。よくわからんが、a と b が両立しないのはわかる。
そしてたぶん a だ。おにぎり 1 個の時間はサンドイッチ何個相当か?

絶対優位と比較優位。違いがわからん。ただ、どうみても A さんの方が B さんより仕事早いので、c はバツでしょう。

比較優位はよくわからんので d は保留。

a が正しくて a,b が矛盾するという時点でイだな。

第19問

見たことないタイプの問題だ。なので理論を推測する系の解釈。
まず資本総量は OI .. OII で一定のようだ。
資本のレンタル料?使用料みたいなものか。
資本の限界生産物は逓減する、ということは、限界生産物が両国でイコールになるところが均衡点 E ということなのだろう。
その時レンタル料も一致するのかな。 r*I = r*II なのだろうか。

ともあれ、
a:上記の通りでマルであろう。
b:うーん、この問題では資本の量などについてはグラフで読み取れるが、労働力や賃金について何の示唆もないのが苦しいな。
c:レンタル料は(いつぞやの供給曲線のように)個々の資本ごとに決まるのではなく全体で決まるのではなかろうか。その場合、総和は四角形で表現されるはず。バツくさい。
d:これはもうさっぱり分からない。EFG 増えるというのは、おそらく EFCD 増えて EGCD 減るということだろう。F 点 G 点が E 点に移動する図をイメージすると、ありえなくはない。マルということにする。
ということで、a,d のウ。

第20問

ア:A「環境保護」は表の上段。その場合 B は経済成長を選んだほうが利得が大きい。
イ:いや、アの通り、抜け駆けしたほうが利得上がる。
ウ:いやいや、経済成長を選んだほうが確実に有利(B がどちらを選んだとしても、A は経済成長を選ぶ方が良い)
エ:ナッシュ均衡って、どちらにとっても局所最適ってことだよね。この例はどちらも局所最適になっていない(移った方が移った者にとって有利)。
なのでア。

第21問

逆選択。名前は知ってる。意味はだいぶ忘れてる。
ア:逆選択は選択前の話では?バツ。
イ:なんとなくあってそう。
ウ:同様。
なのでウ。

総括

まとめると、

  • ちゃんとわかってて正答:4, 5, 6-1, 6-2, 8, 9, 13, 15-1, 15-2, 20

  • 消去法で正答:7-1, 7-2, 18, 21

  • 推論で正答:1, 11, 14, 16-2, 19

  • 誤答:2, 3, 10, 12, 16-1, 17

でした

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?