弁理士 論文式試験 攻略法

令和3年度の論文式試験を突破することができたので、攻略法のようなものを記録しておく。講座の受け売りの部分もあるが、自分にとって「こういうことじゃないか」と思う点をつらつらと書くことにする。

論文式試験であって、論文試験ではない

短答式試験に対して論文式試験である。論文試験ではない。
つまり論文を書いてその内容を評価する試験ではなく、論文を手段として用いる、あくまで法知識を問う試験だということだ。

短答式試験に「正解」があるように、論文式試験にも「正解」がある。それを書けるかどうかが評価の分かれ目であって、そうでなければ、論が斬新で高尚で立派で説得力があっても落ちるのである。

受かるダメ答案と、受からないダメ答案

私の特実の点数は137点だった。平均すると68点。圧倒的じゃないか。

しかし、中身は結構ダメで、たとえば特実第2問の拒絶理由を問う問題では、問題文から「おお、これは実施可能要件違反!」となにやら嬉しくなってしまい、終わってみればいわゆる時系列3点セットを完全に落としていた。論文講座であれば「論外」と評されるレベルのミスだ。

それでも68点ということは、全く致命傷にはなっていないとわかる。つまり、時系列セットのような「常識」を落とすとアウトといった「ドボン論点」があるわけでもなく、そういった論点に多めの点数が割り当てられているわけでもない、と考えられる。

逆に、他の得点ポイントをたくさん拾えていたのだろう。従って、細かい論点を丁寧に拾えれば合格につながると私は考える。避けるべきは、一つの論点について滔々と論じてしまい他の論点を拾えない、あるいは時間的・紙面的に書ききれない、という事態とも言えよう。

答練の結果を気にするな

これまでの経験からすると、答練・模試の成績は以下の3点から真に受けてはいけない。

まず、「優秀答案」や「成績分布」と自分を比較するのは意味がない。答練等では、模範解答・青本等を参考にしながら書いている受講者が少なからずいるようだ。通信型の答練では自宅で何かを見ながらの解答が可能だ。以前、別の資格の合格祝賀会等で予備校講師と話をする機会があったが、やはりそのような答案は多いとのこと。

次に、採点基準が本試験と同じである保証がない。先述の通り、答練であれば大幅減点を食らいそうな論点を落としたにも関わらず、本試験での点数は高かった。私の場合、答練を受講して答案を送った回数はそれなりになったが、60点以上の高得点になった答案は1枚あったかなかったかであり、それも制限時間を無視して青本カンニングしながら丁寧に書いた部類の答案。制限時間を守って書いたものは、30点台はごくごく当然のように返ってきた。

もう一つ、そもそも難易度が本試験と異なる。特に直前の模試。予備校的には「模試の点がよかったのに落ちたじゃないか!」と言われるよりは「模試では散々だったのに合格しました!」と言われる方がいいに決まっている。自然難易度は上がる。短答式の話ではあるが、直前模試で30点を切っていた私が、46点で合格できたという事実を添えておく。

では答練は何のためにある?

私が考えるに、答練は自分の脳(と腕?)を鍛える基礎練習。いわば筋トレだ。

決められた時間内に答案を作る。その繰り返しによって、「考える前に手が動く」論点を増やしていく。そうして、本試験において必ず出てくる「考え込む論点」に投入できる時間を増やすのだ。

本試験を受けるとわかるが、論文式試験では時間との勝負になる場合が多い。時間を費やさずに済むことに時間を費やさない。そのための基礎的なテクニックを身につけるのが答練の役割と考えている。

そのためには、青本等を参考にしながらの答案作成は否定しない。先述の通り、そのような答案の存在には言及したが、否定はしていない。笑

つまるところ

論文式試験は、書くべき論点を満遍なく、広く&やや浅く書いていけば突破できる、と私は考える。

そのためには、以下を重視したい:
・各種要件は丁寧に押さえる。しかし最後は法文集を見ながらで十分だろう(私がそうだった…があまり頼りすぎていると口述試験で焦る)。
・趣旨問題は、あまり長々書いてもしょうがないので、キーワードを押さえる。今年の問題でいえば「包括的で漏れのない権利取得」が好例と考える。
・時間の有効活用。頻出論点の記述に時間をかけないよう。

また、テクニックの類としては、以下を大事にしたい:
・時間内に書き切る練習。裏を返せば、120分書き続ける練習。
・ペン選び。個人的にはジェットストリームを推す。
・体調管理。特に試験中にトイレに行かずに済ます方法。前日の食事など。

(おまけ)答案構成の要否

要らない。時間の無駄。
答案構成を作らないと解けないということは、理解不足ということ。

ただ、事例問題で時系列図を書くのは有益。書いてみれば39や29の2は自明だったりすることも多い。また、答練等で、時間は気にせず内容重視で書き切りたい、という場合はアリかもしれない。

あくまで私見。

終わりに

読んでいただき感謝。

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