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裏切りの街

「ポツドール」私が大好きな劇団。
その主宰の三浦大輔さんが演出する「裏切りの街」を観てきた。(3/21なので随分時間経ってしまった!)

「裏切りの街」は初演も観ているので2回目。
初演の12年前と比べ、出会いがテレクラから出会い系サイトになっていたり、2人が共感し近づくキッカケが芸人(今回はランジャタイ)になっていたり、時代に合わせディティールは異なっていた。
初演では松尾スズキさんが演じられていた旦那が、とろサーモンの村田秀亮さんが演じられていて、スズキさんは底の知れなさみたいな不気味さがあったけれど、村田さんが演じる旦那はめちゃくちゃ優しいのにサイコパス味が出ていてとても良かった。

中野(主人公の家)高円寺(旦那と対峙する駅前)西荻窪(ラブホ)吉祥寺(女の家)※違ったらごめん。※と、中央線住みとしては、見慣れた場面が多く、初演より土地が際立っていて、中央線の汚らしさみたいなものが、舞台美術にも反映されているし、これはあそこの喫煙所の前かな?とか、ラブホがここなら歩いている道はあの道かな?とか想像するのも楽しかった。

ポツドールは後期「男の夢」からしか観に行っていないので、全てを知ってるつもりは無いけれども、人間的や知性的と云われるコト全般を揺るがす、動物的な人間たちが度々登場する。
というか、登場人物全員ソレな場合が多い。

そして、そんな動物的な人間たちを、ゲスい!とか、酷い!ありえない!など思わせてくれずに、最終なんだか愛らしく思えてしまう演出をする。

人間に対して、人生に対して、凄く冷めた目線で見ている物語が多いし、希望もなく、だいたいが褒められたものではないモノゴトが軸にお話は進行するけれど、最後は仕方ないよ、人間憎みきれないよ。なんだか愛らしい気持ちさえするよ!という気分になる。

ただ、その台詞の中には、格好を付けてる自分や、自分の欺瞞や嘘などをめくってくるものが多くて、傷付いて帰宅することも多々あり、
他人の事を愛らしいなんて思って、上から見てんじゃねーぞ。この思い上がり人間がッッ!とか自分を省みて割と毎回くらってしまう。
そして、またくらわれに舞台に足を運ぶ。

ガッツリ阿呆な癖に偉そうに人間様と思ってんじゃないよ!とドデカハンマーでガツンとやられて、ハッ!と気付いていたいのだ。気付いて居続けていたいのだ。
そして、人間クソでも愛らしいじゃんって酷い物語を観ても思って居続けたいのだ。

ポツドールまた復活しないかな。
ポツドールでがっつりくらわれにいきたいよ。

三浦先生の次回作は「そして僕は途方に暮れる」映画です。



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