Outer Wilds Echoes of the Eyeのある要素に思うこと

『Outer Wilds』3本目の記事です。
追加DLC『Echoes of the Eye』における重大なネタバレに関する記事です。未クリアの方は体験を大きく損なうことになりますので、くれぐれも閲覧をお控えください。
今回は、『バトルガレッガ』や『攻殻機動隊』の話題を含みます。(それと少しだけ『moon』)
『バトルガレッガ』ってどういうことー!?
『Outer Wilds』は実はシューティングゲームだった?

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「死にログイン」が好きであり、とんでもない抵抗感も抱いたというおはなし

今回は「死にログイン」がテーマです。
DLCをクリア済みの方は100%ご存知のように、本作の終盤に「死にログイン」というギミックが存在します。
「あ、ぽこたん死にインしたお!」
「よーし今日もどっか逝くかー^^」

やっぱり主人公に感情移入してプレイするので、やっぱり実行に移すには「うげえ…」ていう抵抗感がありました。
これまでにも拙いプレイのお陰で何度も死に追いやっているんですけどね^^;
しかしそれは必死に22分間の生を全うしようとしたうえでの出来事であったり、生きて新たな成果を得るためにチャレンジした結果であって、自らを殺めるのはやはり大きな隔たりがある行為だなと思いました。
その抵抗感こそがこのギミックの肝であり、なかなか大きな意味を持っていると思います。
主人公が前に進むために自ら死を選んだ瞬間、太陽を超新星爆発させようとしたNomaiと同じフィールドに立ったのだと思います。好奇心修羅

進むためにやられる、それは『バトルガレッガ』!

それはそうと、この「うげえ…」って感覚、過去にも感じたことがありました。
シューティングの名作、『バトルガレッガ』です。
シューティングゲームは基本的にノーミス&高得点でクリアすることこそが誉れとされてきた中、このゲームはその常識をぶち破ってきたんですね。

シューティングゲームの一般的な仕組みとして、自機のパワーアップやノーミスなどの状況に応じて難易度が上がる「ランク」という仕組みがあります。
『バトルガレッガ』はこのランクの上り幅が滅茶苦茶で、通常のプレイをしていくと、到底クリア不能な難易度になってしまうんです。
そこで編み出された攻略法が、「適度なタイミングでわざとミスする」というものです。
これにより、一旦ランクを下げ、クリアと高得点獲得に向けプレイを再開する。

私はこれがかなり馴染むことができませんでした。(※)
操作ミスではないのにミスをする、という部分は、まあそういうシステムだということで納得がいくんですが、そのゲーム内で頑張ってる主人公はどうなっちゃうんだろう、というところに思いが行っちゃうんですね。
何か大きな使命を持った主人公を、無事にラスボスの元に送り届けてあげたい、そんな思いがあって。

勿論下手くそだから普通にミスをしてやり直してたし、RPGで全滅してこれまでのことが無かったことになる、そんなことは何度も経験して特に気にせず楽しんできたのですが、いざ死を選択するのが自らの操作に委ねられたとき、大きな衝撃を受けたんです。
これまで他責にして目を瞑ってきた主人公の死をやけにリアリティを持って感じてしまったこと。2機目以降の自機は一体どういう存在なんだということ。

ところが、『Outer Wilds』では主人公の死がちゃんと設定として取り込まれています。死にログインをしても「魂」はVR世界で生きていて、22分後にしっかりとやり直すことができる。
「うげえ…」の感覚を味わわせながらもちゃんと納得させ、システム的にもストーリー的にも見事に昇華させた、DLCで踏み込んでくれて良かったと思うギミックです。

この手の仕組みって、えてして画面の前にいる「プレイヤー」を意識したメタ的なサプライズとして組み込まれることが多いと思うのですが(『moon』とか超有名インディーゲームのように)、あくまでもゲーム内の出来事として切り離して行ってくれたことがかえって新鮮だったと思います。

Hearthianはシカフクロウの夢を見るか?

そういえば、DLCのVR世界における主人公やシカ君の意識は、「魂」的なものとして現実世界からの一つながりの存在として扱っているんですね。
『攻殻機動隊』では「ゴースト」というキーワードが大きなテーマになっています。正直私には理解しきれない難解なものなのですが、タチコマがバトーを庇ったとき、素子が「ゴーストを得た」と語ったように、どんな高度なAIにも本来備わっていないもの、大雑把に言うとそれは「ゴースト=魂」であると思います。
電脳世界や現実世界で、AIがもはや人間と変わらないよう振る舞うようになったとき、人間と区別するものは何なのだろう、人間を人間足らしめるものは何なんだろう、そこに「魂」という存在があるのかもしれません。

『Outer Wilds』で主人公がVR世界に入ったとき、自分の思考を完全にコピーしただけの存在であれば、22分後に記憶は受け継がれないわけですし、現実世界で主人公が見ている「夢」とするならば、現実でとっくに死んでるシカ君はVR世界には存在していないことになるので、そこには「魂」があると考えられます。
(現実世界で火が消えると消滅するので、実際に魂が存在するのはVR世界ではなくて現実世界での遺物or焚火なのかもしれませんが、とりあえず肉体からは離れているのかな。)

「魂」的なものが示された…というのもあくまでも【個人的な解釈】ですが、そのことによって「意識的観測者」との違いとか、また、これまでエンディングで出会った仲間達はあくまでも主人公の意識下における投影かもしれない(本人たちではない)と考えていたものの、やっぱり本人たちでOK…ってコト!? 改めて考えることができたので、ほんとさらーっと深い要素をDLCで持ち込んできているなと思った次第です。

にしてもそれを実現するシカ君の技術すごすぎー!


本当は死にログインも関係する封印の仕組みがいかにもゲーム然としているなという視点で書きたいこともあるのですがそちらはまた次回書いてみます。
では失礼します。

※あくまでも心理的に馴染みにくかっただけで、『バトルガレッガ』自体は素晴らしいゲームでした!

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