不正競争防止法2条1項各号まとめ

不正競争防止法2条1項各号まとめです。項目ごとに完結したものにするため、内容に重複があります。

一号 混同惹起行為

一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

出所混同の防止が目的である。

一地方で周知であればよい(全国周知でなくてもよい)。

何らかの関係があると誤認のおそれ(広義の混同)があればよい。

商品等の同一類似は不要である。

図利加害目的があれば刑事罰の対象である。

適用除外
19条1項1号 普通名称の使用(葡萄の原産地名除く)
19条1項2号 自己の氏名を不正の目的なく使用(ただし混同防止請求できる)
19条1項3号 周知前から不正の目的なく使用(ただし混同防止請求できる)

損害の推定方法
5条1項 (侵害者の譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)

二号 著名表示冒用行為

二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為


フリーライド・ダイリューション・ポリューション防止が目的である。混同性は不要である。

全国周知が必要である。

商品等の同一類似は不要である。

図利加害目的があれば刑事罰の対象である。

適用除外
19条1項1号 普通名称の使用(葡萄の原産地名除く)
19条1項2号 自己の氏名を不正の目的なく使用(ただし混同防止請求できる)
19条1項4号 著名になる前から不正の目的なく使用、又はその者から承継

損害の推定方法
5条1項 (侵害者の譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)


三号 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為

三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為


形態とは「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感(2条4項)」である。

機能に不可欠な形態、ありふれた形態除く。

電気通信回線による提供は含まない。

図利加害目的があれば刑事罰の対象である。

適用除外
19条1項5号 国内販売開始から3年経過している、又は譲受時に善意無重過失である。

損害の推定方法
5条1項 (譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)

四~九号 営業秘密

四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。次号から第九号まで、第十九条第一項第六号、第二十一条及び附則第四条第一号において同じ。)
五 その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
六 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
七 営業秘密を保有する事業者(以下「営業秘密保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
八 その営業秘密について営業秘密不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
九 その取得した後にその営業秘密について営業秘密不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について営業秘密不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為


図利加害目的があれば刑事罰の対象である。

不正の手段の介在を知らなくても、重過失があれば不正競争になり得る。
ただし七号は図利加害目的が必要である。

適用除外
19条1項6号 取得時善意無重過失で取引で取得しその権原範囲内で使用

損害の推定方法
5条1項 技術上の情報である場合のみ、(譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 技術上の情報である場合のみ、ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)

十号 営業秘密の使用により生じたものの譲渡等

十 第四号から前号までに掲げる行為(技術上の秘密(営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)を使用する行為に限る。以下この号において「不正使用行為」という。)により生じた物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為(当該物を譲り受けた者(その譲り受けた時に当該物が不正使用行為により生じた物であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)が当該物を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を除く。)


図利加害目的があり、かつ不正使用行為の存在を知っていれば刑事罰の対象である。

適用除外
19条1項7号 営業秘密保有者が知ってから3年経過後、又は開始から20年経過後にその情報を使用して製造したものの譲渡等

損害の推定方法
5条1項 (譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益

十一~十六号 限定提供データ

十一 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(以下「限定提供データ不正取得行為」という。)又は限定提供データ不正取得行為により取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
十二 その限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
十三 その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正取得行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為
十四 限定提供データを保有する事業者(以下「限定提供データ保有者」という。)からその限定提供データを示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその限定提供データ保有者に損害を加える目的で、その限定提供データを使用する行為(その限定提供データの管理に係る任務に違反して行うものに限る。)又は開示する行為
十五 その限定提供データについて限定提供データ不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその限定提供データを開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知って限定提供データを取得し、又はその取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為
十六 その取得した後にその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為があったこと又はその限定提供データについて限定提供データ不正開示行為が介在したことを知ってその取得した限定提供データを開示する行為

刑事罰の対象ではない。

不正の手段の介在を知らなければ、重過失があっても不正競争ではない。

損害の推定方法
5条1項 (譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)

適用除外
19条1項8号(イ) 取得時善意で取引で取得しその権原範囲内で使用
19条1項8号(ロ) 無償で広く提供されているデータと同一

十七~十八号 技術的制限手段に対する不正行為


十七 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第八項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
十八 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

図利加害目的があれば刑事罰の対象である。

適用除外
19条1項9号 試験のための行為

損害の推定方法
5条2項 侵害者の利益

十九号 ドメイン名に係る不正行為

十九 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為

刑事罰の対象ではない。

損害の推定方法
5条1項 (譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)

二十号 誤認惹起行為

二十 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為

図利加害目的があれば刑事罰の対象である。

適用除外
19条1項1号 普通名称の使用(葡萄の原産地名除く)


二十一号 信用毀損行為

二十一 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為

刑事罰の対象ではない。

損害の推定方法
5条2項 侵害者の利益

二十二号 代理人等の商標冒用行為

二十二 パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為

刑事罰の対象ではない。

適用除外
19条1項1号 普通名称の使用(葡萄の原産地名除く)
19条1項2号 自己の氏名を不正目的なく使用(ただし混同防止請求できる)

損害の推定方法
5条1項 (譲渡数量-被侵害者が販売できない数量)×1単位あたりの被侵害者の利益、かつ被侵害者の能力の限度内
5条2項 侵害者の利益
5条3項 ライセンス料相当額(これが損害額の最低ラインである)



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