LSE/ロンドン留学記(Week 5)

明日から学校はReading Week。中間課題を提出しなければならない。
日常生活は大きく変わりないけど、来週からイングランドは4週間のロックダウンに入る。
でもフィールドワークが難しくなりそうな雰囲気だ。

食事は日本食を続けており、納豆や冷凍からあげなど、日本とあまり変わらない食生活を送っている。生卵だって食べられる。
こちらで調理をしていて一番の学びは、お米はちゃんと水に浸けてから炊かないとダメだという事。

たらこスパゲティーをはじめて作ってみたが、こちらは日本の味には遠く及ばず。

気分転換にTommy Flanaganを聞いたらあまりにカッコよすぎて集中できない。
やはり勉強には無音が一番いいようだ(エビデンスもあるらしい)

画像1

母親が15年近く前から近所の小学校で本の読み聞かせを行っている。
10年以上前に本の読み聞かせをした生徒が本通りの魚屋さんで働いていて、買い物中に声をかけられたそうだ。

読み聞かせというのは、教育を自分たちの手に取り戻すための重要な活動ではないかと思う。
公共サービスとして教育を放り投げてしまうのではなく、自らの手で地域の教育を担おうとする活動は非常に主体的で民主的な市民活動ではないだろうか。
河川の清掃活動やゴミ収集所の町内会による管理も、そういった意味で公共空間を自分たちの手に取り戻す重要な活動なのではないだろうか。


<Research Studio>
中間報告という形でグループでプレゼンを行った。
グループで短時間でプレゼン資料を作る過程に加わるのが難しかっただけでなく、フィードバックで指摘された事が難解で頭を抱えてしまった。
でも他のメンバーにとっても難しかったようなので、言語の壁を抜きにしても難しかったようで安心した。
なかなか対面でグループでディスカッションをする機会は少ないが、少しずつチームワークは高まってきた印象。
チームワークを高めたいなら自ら一歩前に出て人以上にチームに貢献する。
今までは無意識でやってきたけど、これは有効だと思う。

研究テーマは、なぜ市場の再開発が問題か、という問い。

広島の愛友市場の立ち退きなど、なぜ日本の再開発では問題にあまりならないのにロンドンでは大きな問題になるのか、を考えてみた時に一番の違いと思われたのは、やはり人種問題ではないかと思った。
そういう市場が、ただの市場というだけでなく、人種的マイノリティーにとって重要な場所だからではないか。
マイノリティーでない人たちは、どこでも暮らせるのかもしれないが、彼らは集まってでないと暮らせないのではないだろうか。
ロンドンに移住してきた人たちの中で、ポーランドやイタリアからの移住者たちは、比較的分散して暮らしているらしい。
それは言語や人種差別の壁が少なく、建設業や事務職などの一般企業に就職できて、土地に縛られない暮らしができるからではないかと考えられている。
一方で、企業に就職できない、アフリカや南アジアからの移民は、個人事業者として生計を立てるしかなく、そういった個人事業者のスタートアップのプラットフォームになっているのが市場ではないかと考えられる。

彼らにとって、そこはお金を稼ぐ場であり、生活の場であり、他の人種の人達みたいに簡単に離れられないのではないだろうか。
彼らの生活を守るために大事なのは、小規模店舗を守る事と、適正な価格の家を確保することではないか。

日本でも部落と関係している場所の再開発は色々と問題が発生しているらしい。
つまり、再開発が難航するかどうかは、日本かどうか、という事ではなく、そこに社会的格差問題が絡んでいるかどうかではないだろうか。
こうした移民や部落の人々の生活を改善するための方法はもちろん再開発ではない。
かといって差別を無くせと口で言ってもそれも難しい。
同化政策を取ればウイグルのような極端な形にだってなりうる。
異なる文化が共存する、という事は今までの人類の歴史を振り返っても容易でない事は間違いない。

画像2


<質的研究>Ethnography
エスノグラフィーとは、対象とするフィールドに浸かって研究するアプローチ全体。
その中に写真を撮ったり、観察したり、フィールド内の人と話したり、様々な方法が含まれる。
現実世界の環境そのものに飛び込んで記述する、というのがポイント。

一方で、狭義のインタビューは、実際にテーマとしている事象が起きているのとは別の場所で時間、場所などの環境を恣意的に設定して行い、質問もインタビュアーが設定した質問に答えるという通常の日常生活とは異なった会話を通して行われる。
エスノグラフィーの中のインタビューはその現実環境の中で起こる自然な対話の中でやる、という意味で異なる。

そうは言ってもエスノグラフィーも研究フィールドに外から入るわけで、観察者自身がその環境に影響を及ぼす点に関しては十分省察的に検討しなければならない。

エスノグラフィーではフィールドノートが欠かせないが、それを作る上で大事なのは、とにかくすぐに書く事。現場でメモを書けるなら書く。
1時間フィールドにいたら1時間はノート作りにかかると思って計画を立てなければならない。
そして最も難しいのが、自分の頭に持ち上がってくるコメントや気付きを1回目のノートの時点では一切挟まないこと。
とにかく匂いや音、温度など、あらゆる情報をできる限り詳細に、書き記す。
その時点では要不要の判断はせず、思い出せる情報をすべて絞り出す。
自分の気付きやアイデアは1回このノートを書ききった後で考える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?