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70年代のバイク乗りの週末・1
「 こんなはずじゃなかった…… 」 片岡義男かぶれ・79年のバイク乗り達
1
8字サーチ・・
隣のピンスポットとぶつかりそうなぐらい振り回し、
フィナーレ…
羽をいっぱいつけたダンサー達が上下に掃けていった・・
「おつかれ~」
調整室のなかで、いつものように、みんな手際よく電源をおとしていく。
オープンリールがカラカラと音をたてるころには、客電もついていた
ぼくは、アーミーグリーンのタンクバックをもって裏口から外に出た
ムッとする深夜の赤坂だ
目の前の外堀の濁った水がよけいにうっとうしい
いつものビルの横にFT がまっていた
ヘッドランプの小首をわずか傾け
待ちくたびれたといいそうに
赤いカラー舗装に毎日のように止めるのでサイドスタンドの先がわずかだが
くいこんでいる。そののうちまた警備員がきて止めるなと言い出すにちがいない
あたらしい所をさがしておかなくては。
弁慶橋をわたって赤坂見附の交差点をやりすごすと側道から246に入る
上りはじめにセカンドで6000まで引っ張りサードにそのままいれれば
合流してくる立体からくる車たちに、追いつかれる事はなく合流できるはずである
国会側から入ってくる車は、立体の登りの頂点で直角にきつくカーブしているので
たいていの車はそこで減速し惰性で合流するところまで滑りおりてくる。
しかし いるんだ 好きなやつが
また今夜も、シルバーメタリックのスタリオンが
まるで、待ち伏せしていたかのように立体から駆け下りてきて
ぼくが合流しようとしていた目の前を、嘲笑うかのようによこぎっていく。
えーい ・・と4速にそのまま入れてレッドゾーンギリギリまでいつたが、またあいつは
246のサーモンピンクのナトリュウム灯のかなたに消えて行ってしまった。
いくら、出足はバイクの方がいいといえ、
どうみても、足回りをいじった、下りで速度を増した4輪の逃げ足には
非力な250ccでは勝ち目はない…
ろくに暖めもしなかった空冷エンジンが雑音をだしている。
「すまなかったな~」とおもいながら、
青山1丁目を左折するとS字である、
だれもいない事を確認して、アウトインアウトでなめらかに走りぬける
右にはタクシーがずらーつとならんで仮眠をとっている。
六本木の喧燥が伝わってきている西麻布を抜け、もうすぐ天現寺交差点だ。
左にまがって、タイミングを覚えてしまっている信号を2,3パスすれば
自分のアパートのある、古川橋だ。
蒸し暑さがいけないのか、
スタリオンがいけないのか、
理由は考えない事にして、ぼくは直進した
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