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限界旅行のすゝめ ~公共交通機関を使い倒せ!~

旅をするには長距離の移動は必須。
公共交通機関で移動をすることも多いと思いますが、これを使いこなせればもっと効率的に、広範囲に旅行を楽しむことができます。
移動を制する者は旅を制する!公共交通機関を使い倒そう!


1.鉄道

陸路の長距離移動で一番お世話になるのはこれでしょう。
鉄道の最大の強みは、拠点間を「線」で繋いでいること。
途中の経由地で下車が可能なので多くのスポットを回るのに有利な上、移動中の旅程変更にも対応が比較的容易です。
それでは鉄道を使いこなすポイントを幾つか紹介していきましょう。

途中下車

途中下車が出来ることは鉄道の大きな特色です。
原則乗車区間の途中で改札を出られることを知らない人も多いのでは?
ただし一定の条件があるので、詳しくは鉄道会社のサイトなどでルールの確認を。

乗り放題切符

色んな場所で途中下車しながら旅をしたいときにはこれです。
乗り降りフリーなので、限界旅行との相性は抜群。
青春18きっぷが有名ですが、他にも鉄道会社ごとに色々な乗り放題切符が発売されているので、日程やエリアに合わせて使えそうなものがないか探してみましょう。
これに関しては数が多いので、また後日別の記事で紹介したいと思います。

2.バス

鉄道よりも小回りが利くのがバス。
ローカル移動から広域移動まで、バスを旅程に組み込めるようになると行動範囲が一気に広がります。

一般路線バス

最寄り駅から目的地までの二次交通として路線バスを使うのがよくある使い方ですね。
バス会社によって料金システムや乗り方が違うので初見での利用はハードルが高めですが、最近は交通系ICの普及でかなり使いやすくなった印象です。
車内でお得な1日フリー乗車券を買えるバス会社もあるので、事前に調べておくと良いでしょう。

他にも鉄道を補完するという使い方もあります。
過疎地の超ローカル線では、鉄道のみでの移動が困難な区間があります。
例えば、廃止が取り沙汰されている芸備線(JR西日本)の三次(広島県)―新見(岡山県)の区間。
この区間を通過利用可能な鉄道の時刻はこんな感じです。

三次→新見を通過利用可能な定期列車の時刻のみ抜粋(※令和6年1月現在のダイヤ)
途中折り返しの区間便や接続がない便、臨時列車は省いてある

ご覧のように、1日2便しか使える便がありません。
ところがこのエリアでは、備北バスにより備後庄原駅前16:25発→東城駅前17:01着の路線バスが運行されています。(※令和6年1月現在)
これを使えば、接続していない三次14:53発の列車と東城17:09発の列車を乗り継いで新見方面に抜けることができます。

また、鉄道のない区間を路線バスで補完する例もあります。
例えば、牟岐線(JR四国)の終点になっている阿波海南駅から阿佐海岸鉄道のDMV→高知東部交通の室戸-甲浦線→安芸―ジオパーク線と乗り継げば、土佐くろしお鉄道の奈半利駅に抜けられます。

室戸岬を経由するバス路線(地理院タイルより作成)

他にも裏技的に使える路線として、
・児島駅前→坂出駅前 (琴参バス瀬戸大橋線)
本来これは瀬戸大橋が経由している離島へのアクセス路線なんですが、並行しているJR瀬戸大橋線が強風で運休になった場合でもバスは動いていることがあるので、鉄道運休時の代替路線として使うことができます。
鉄道で上手く移動できないときにはバス路線がないか探してみましょう。

長距離バス

長距離バスは安価な移動手段というイメージがあるかと思いますが、ただ安く移動する以外にも色々使い道があります。
上述の路線バスと同様に鉄道路線の補完(神戸―徳島など)という使い方もありますし、特筆すべきは都市間の夜行便が充実していることでしょう。

鉄道の夜行列車が消滅寸前の今、貴重な夜行移動の手段です。
体力をゴッソリ削られますが、寝ている時間を移動に回せるいうのは他に代え難いメリットです。しかも宿代も浮かせることができるので一石二鳥。
特に北海道では都市間の距離が長く、長時間の移動を強いられるため、限られた時間で多くのスポットを回るのには極めてあり効です。
稚内、釧路、函館などの札幌からの移動に5~6時間を要する場所でも、乗って寝て起きれば到着です。眠れる保証はないけど。
北海道限定のサッポロクラシックでも飲んでバスに乗り込めば、翌朝にはフラフラになりながら観光を楽しめることでしょう。

3.船

船って離島に渡るためのものなんじゃないの?
いやいや、移動の幹線ルートを担う航路も多数あります。
天気が良いときには、甲板に上がって海原の眺めも楽しむのもまた一興。
今回は使い勝手が良さそうなものを幾つかご紹介しましょう。
(なお、情報は令和6年1月時点のものです)

短距離航路

短距離航路は主に生活圏内の足として使われている航路です。
運行頻度が高く、待たずに乗れて利便性が高いのが特徴。
もちろん観光目的での通過利用にも使えます。

鹿児島港―桜島港(桜島フェリー)
 大隅半島から鹿児島に抜ける最速ルート。
 鹿児島湾を迂回する陸路よりも早くて楽です。

桜島(大阪市此花区)―天保山(大阪市港区)
 USJのある桜島エリアと、海遊館のある天保山エリアを結ぶ渡船。
 歩道扱いなのでなんと無料。
 
両側とも限界旅行民が訪れそうなスポットではないのが玉に瑕。
 他にも大阪市内は多数の渡船が無料で運行されています。

その他にも島原(長崎)―天草(熊本県)を結ぶ航路や、瀬戸内海の離島と本州・四国を結ぶ航路など、旅程に組み込めそうな航路は結構あるので探してみましょう。

中距離航路

本州・九州・北海道・四国の各島間を結ぶ航路が中心です。
徒歩乗船での利用はもちろん、自家用車でも陸路だと遠回りになるところを休憩しながらショートカットできたりするので便利です。
夜行便を使えば宿泊を兼ねられるのもポイント。
時間効率の良い航路が多いので、積極的に活用していきたいところです。

特に四国周辺は使い勝手の良い航路が多い(地理院タイルより作成)

和歌山港―徳島港(南海フェリー)
 夜行便あり。
 
和歌山港で南海電鉄線に連絡。徳島駅との間は路線バスで。
 フェリー片道料金と同額で南海電鉄全駅まで行ける割引切符あり。

神戸港―高松港(ジャンボフェリー)
 夜行便あり。
 
三宮・高松両駅とバスで連絡。
 船内でうどんの提供あり。

八幡浜港―別府港(宇和島運輸フェリー)
 夜行便あり。
 八幡浜・別府の両駅との往来は路線バスで。
 
八幡浜駅との間は徒歩での連絡も可能(約2km)。
 夜行便は到着後も午前5時30分まで船内で休憩可能

広島・呉―松山(瀬戸内海汽船)
 旅客船用の高速船(スーパージェット)は所要時間70分とかなり速い。

青森―函館(青函フェリー)
 夜行便あり。言わずと知れた青函航路。新幹線より割安。

その他にも苫小牧(北海道)―八戸(青森県)、伊良湖岬(愛知県)―鳥羽(三重県)など、便利な航路があるので探してみましょう。

長距離航路

長距離航路は基本的に長時間の夜行便なので、所要時間では飛行機や新幹線には敵いませんが、何よりの利点は快適性。
設備も充実しており、さながら動くホテルといったところでしょうか。
国内の長距離航路については、日本長距離フェリー協会のサイトに一覧がまとめられています。

長距離フェリーがその威力を発揮するのは以下の2パターンでしょう。
・便利な時間帯の夜行便で効率よく移動する
 関西―九州便は日没後に出発して早朝に到着するので使いやすい。
 特に東九州発着の便は陸路よりも利便性が高くおススメ。
・自家用車を旅先に持ち込む
 長距離の運転を回避でき、体力を温存できるのは大きなメリットです。
 北海道に自家用車を持ち込む場合、事実上これが唯一の手段です。

なお、天候が荒れ模様のときは船に乗ったら早めに風呂を済ませましょう。
船が大きく揺れると、湯船の湯がこぼれてなくなる場合があります。

また、一部限界隈では長距離フェリー航路自体が旅の目的になることもあるようです。
特に新日本海フェリーはその快速(護衛艦並みの30ノット超)から「日本海の暴走族」の異名でも知られ、北海道にツーリングに向かうライダーや、大荒れの冬の日本海を楽しみたい酔狂な旅人の人気を集めています。
Let's Cruising Resort!

4.飛行機

飛行機の強みは何と言ってもその速さです。
しかし空港までのアクセスが悪かったり、保安検査のために早めに搭乗手続きをする必要があったりと、タイムロスが生じやすいので使いどころはちょっと難しいかもしれません。

飛行機が強みを発揮できるのは、タイムロスを補えるレベルの速達性が発揮される場合でしょう。
北海道と各地を結ぶ路線や、他の交通手段では直行便がない大阪と東北を結ぶ路線などでの活用が候補に入りそうです。

また飛行機の正規運賃は割高なので、急に休みが取れたから一晩で予定を立てて旅に出るとかいうスタイルとは相性が悪いです、
飛行機のご利用は計画的に、予約はお早めに。
…それが出来りゃは限界旅行なんてしねえよ!
※この項目だけ解像度が低いのはそういうことです

公共交通機関を補完せよ

公共交通機関だけでは目的地までダイレクトに辿り着けなかったり、丁度良い時間のバスがないというケースも多々あります。
そんなときには次のようなな選択肢も検討してみましょう。

レンタカー・タクシー

公共交通機関に乏しい地方や離島ではよくお世話になります。
観光地では有名なスポットを一通り連れて回ってくれるタクシーもあったりするので、探してみるのも良いかもしれません。
また大手レンタカー業者では別の営業所へのワンウェイ(乗り捨て)利用も可能なので、目的地から別の交通機関に乗り継ぐという使い方もできます。

レンタサイクル

観光案内所などで見かけるレンタサイクル。
半径3km圏内ぐらいの範囲に観光スポットが点在している場合には、かなり強力な手段になります。
宮城県の松島や、岩手県の平泉などでは観光地を巡るのにうってつけです。

徒歩

最後に頼れるのは自分の足。
2kmぐらいなら徒歩での移動が十分可能な距離と思っていいでしょう。
世の中には九頭竜湖駅(JR西・越美南線)と美濃白鳥駅(長良川鉄道)の間の鉄道未成区間約30kmを徒歩で乗り継いだ猛者も存在するとか…

ちなみに自分の歩行速度は事前に把握しておき、所要時間を計算できるようにしておくことを強く推奨します。
帰りの交通機関に間に合わなかった!という惨事は何としても回避しなければなりません。

泣くのがいやなら さあ歩け

『ああ人生に涙あり』(作詞:山上路夫)より

代表的な公共交通機関を列挙してみましたが、これらをいかに組み合わせるかが腕の見せ所。
限りある時間を効率よく使えるように交通手段を駆使して、極限まで多くのスポットを回る旅程を作り上げるべし!

次回は、「宿」にスポットを当てた記事を書いてみようと思います。
ホテルや旅館だけが宿じゃない!?宿泊の常識を打ち破れ!

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