My Universe ー Coldplay×BTS コネクトするそれぞれの宇宙

たった今夜空に光っている星って、数年〜何億年も前の光が到着したものなんですよね。それを知ると宇宙の時間は地球の時間よりも進み方が圧倒的に遅いと感じるのですが、それは相対的にそう感じるだけで、時間自体には早いも遅いもなく、星の側からしてみればただそこに存在して光っているような気もします。
とは言え、地球で社会生活を営む私たちは夜空の星を見ながら体で実感するのです。「私もみんなもひとつの同じ時間軸の世界に生きている。だから私が見ているものとみんなが見ているものは同じだ」と。本当にそうでしょうか。

前置きめちゃ長くなりましたが、「My Universe」出ましたね。ループするリズムが呼吸しているみたいで心地よくて、すぐに買いました。

私はあなたであなたは私

ユニバース、つまり宇宙。これって実はロケットが飛んでいく空の上や天体ってだけではなくて、自分の中にもあるんですよね。己が内包している宇宙、世界。
全体の歌詞を見ても「私はあなたであり、あなたは私である」「あなたは私の星(月・太陽・光)」ということを一貫して言っています。そして、暗闇は光があるから暗闇でいられて、光は暗闇があるから光でいられる。もともとは違う世界のものだけど、今この音楽が流れている瞬間は一緒にいる。お互いがお互いを理解してその一部を交換したら、私の一部があなたの中に入ってあなたの一部が私の中に入っている。それを大切に抱えながら、また全てが輪廻していく。そんな世界観だと受け取りました。

armyとBTSの独特な関係

周りの人間と物理的に離れている時間が増え、それがあたりまえになってきました。そしてそれと同時に、精神的にさえ近ければ、外国や遠くに住んでいる人たちのことを身近に感じるようにもなりました。それゆえもしかしたら想像力が豊かになりすぎた気もします。
少なくとも私は、家で過ごす膨大な時間の中で都合のいい形で文化や娯楽を消費して過ごしています。BTSで言えばsoopでチキンをあげる姿を見て笑ったりmemoriesでリハーサルする懸命な姿にグッときたりvliveで癒やされたり。でもそういう幸せが、私の中の宇宙に輝きを与えてくれています。まぎれもなく、実際に体感しているのです。
そして、もっと見たい、もっとこうして欲しい、こうあるはずだ、こうあるべき、とどんどん欲求が増していきます。私はBTSを好きになってから時々、サービス精神にあふれる彼らをひたすら消費する日々でいいのか?と振り返っては葛藤していました。

ウリバンタンとMy Universeの中にある私だけのBTS

私が内包している宇宙。つまり今までの経験や努力、好きなもの、悩み、後悔、、いろいろなものが混ざって自分だけの宇宙=My universeができています。そこにはもちろんBTSも入っています。私の宇宙の中にあるBTS。でもそれは私というフィルターを通したBTSであって、たぶん、armyそれぞれ違うBTSやバンタンが心にいるのだと思います。ウリバンタンという概念もありながら、自分だけのBTSがいる。そしてメンバーにもきっとそれぞれの心の中に아미やarmyを抱えてて。それを信じていいし大事にしてていいんだよっていうアンサーソングに感じました。

ジンの「you make my heart light up inside」

そしてもうひとつ、書いておきたいことがあります。ジンのパートについてです。
armyの目線から言うと、Coldplayという第三者が入ったことでarmyとBTSだけの世界ではなくなりました。英語と韓国語が混ざり、さらに「My Universe」の中の地面から響いてくるようなテヒョンの低い声が現実を感じさせ、ジミンのシャーマンのような声で「私たちはもともと違う人間だった」と気づかされます。
それでも、ジンの「(あなたが)私の心の中を明るく照らす」のパートで一気に私たちは無限につながれる気がしてしまうのです。これは「moon」を歌うジンだからこそ歌える部分です。最初から”もともと違う”を認識していたジンだからこそ、ものすごい説得力があるのです。もともと違う世界や人間たちをつないでいく、そのために音楽が存在しているのかもしれないとさえ。
このジンの一瞬の歌声を聞いただけで、やっぱり私が一番好きなのは音楽そのものなのだと思わせてくれました。

音楽という星がひとりひとりをつなぐ

私たちは、いつも自分の一部と他人の一部とを交換しながら生きています。時には飲み込まれそうになる時もあるけれど、心の中のコンセントはいつでも誰かの宇宙とコネクトできるようにしておきたいです🔌

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