見出し画像

くたびれたパンツ

まだ「選ぶこと」が出来なかった2歳の娘に私が選んだ、トレーニングパンツ。
花柄やキャラクターものの厚手のパンツは、見慣れたオムツ姿とは違っていて
「お姉さんになったね」
と嬉しさと少しの寂しさを感じながら娘を抱き締めたのはもう一年前のはなし。

3歳になった娘は、ほぼトイレトレーニングを完了した。

娘はとても頑張った。
出来ないことを出来るようにするにはたくさん失敗もあったね。
叱ってはいけないと解っていながらも、余裕がなくて叱ってしまったこともあった。
ごめんね。お母さん反省してる。
謝るといつもすぐに「いいよ」と許してくれる娘の優しさに助けられていた。

1日に何度も取り替えて洗濯したトレーニングパンツたちはもう色褪せてクタクタ。
娘が気に入ってはいていたピンクのねこちゃんパンツなんて一番年期が入ってる。
この下着たちは娘の頑張りそのものなのだね。

そしてもう、このトレーニングパンツたちは卒業。

娘と新しいお姉さんパンツを買いに行った。

「えらんじゃうなぁ!!」

ニコニコ顔で下着を手に取る娘。
ああ、もう自分の好きな下着を選べるようになったんだなあ。
可愛い下着ってどれも可愛くてわくわくするもんね。

娘が気に入った下着を受け取ると、今までのとは違い厚みのないパンツ。
心許ない…とは思うものの、きっと今後娘はこの薄手の下着を汚すことなくはきこなすのだろう。

会計を済ますと、自分で持つと張り切っている娘。
渡すとまた嬉しそうな顔をした。

その日の晩、風呂上がりに新しいパンツをウキウキとはいた。
その姿はもうすっかりお姉さん。
赤ちゃんの面影はなくなった。

そのとき、また感じた嬉しさと、少しの寂しさ。

「もっとお姉さんになったね」

そう言って抱き締めた娘は「うん!かわいい?」と嬉しそうな顔をしていた。

かわいいよ。
下着も、あなたも。

いつまで母親と一緒に下着を見に行ってくれるかな。
あなたが新しい下着を選ぶ場に、いつまで立ち会えるのかな。
成長するあなたをとても嬉しく、でもほんの少しだけ寂しく感じながら見守っているよ。

そして、くたびれたトレーニングパンツはきっと捨てられずにそっとしまっておくことを許してね。
思い出いっぱいで、あなたの頑張りそのものを母はまだ手放せそうにないの。

#下着でプチハッピー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?