馬鹿と鋏は使い用

再三にわたって

日本に存在する大企業30%が事業の枠組みとして採用している日本型雇用

アメリカ、ヨーロッパが採用しているジョブ型雇用

について説明してきましたがこれを読んでくれている皆様に是非ともご理解いただきたい事は 物事や論理などは全て一長一短である。という事なのです。

日本型雇用が決して悪い訳では無く、不確実性が高いとジョブ型雇用の方が有用
不確実性が低いときは日本型雇用が有用

というだけの話なのです。

頑固な経営者よりも柔軟な経営者の方が一見優れている様に感じますが進んでいる道が合っているなら頑固な経営者の方が早く目標に辿り着くことが出来ます。

不確実性とは、世の中のニーズや、人のニーズや不満点がどれだけ予測可能か?の部分です。

例えば、

目の前にたわわに実ったうま味が見えてて一番最初にそのうま味にたどり着いたものが総取りのゲームだったら 日本型雇用のが強く

真っ暗な中、どこに果実があるか?そもそもうま味があるのかさえ疑わしい様な状態が不確実性が高い(強い)社会でありそういった社会の場合ジョブ型雇用の方が強い

ってだけの話で、要は使い分けです。問題はそうそう社会や国家、企業マインドだったり人々に染み付いた習慣ってのは変えられないので、使い分けが出来ないと等しいくらい難しいって所です。

そうそう簡単に文化や社会、企業マインドや人々のマインドや習慣、価値観は変わりません。

さて、日本の高度経済成長期だったら、人々のニーズは明確でした。白物三種の神器と言われた、冷蔵庫、洗濯機、エアコン だったり、車だったり、 ラジオやテレビ、庭付き一軒家やゴルフの会員権の様に、人々のニーズやウォンツ(欲求)が強く、作れば確実に売れる。だけど需要が過剰にありすぎて、供給が間に合わない様な状態を

不確実性が低いと言います。

こういった産業発展過渡期では、兎に角、早く商品を供給したり、先に流通網を敷いたり、ブランドを植え付けた企業が総取りします。

ではなぜそういった不確実性が低い社会や環境だと日本型雇用が強いのでしょうか?まず雇用条件として兎に角人外戦術した方がいいので、たくさん雇用が欲しいです。

そういった中、従業員の雇用が守られていたり、解雇するのが厳しい、社員側に既得権が強い方が働く企業を選び放題なので、不況になったらクビ切りますのジョブ型企業よりも、最後までしっかりあなたの面倒を見ますの日本型雇用の方が魅力的です。

次に、兎に角流通網を他者に先駆けて作らなければなりません。時間との戦いです。当然地域によって人材の偏りが発生します。そういった中転勤を使って、例えば人材が過剰にあふれている都会の人材を人材が不足している地方に効率的に回せる日本型雇用の方がより合理的ですし早く流通網を作れます。

ジョブ型雇用だと、人材が満足に確保できない地方だと人材の取り合いが起こり、必要以上の条件だったり、給料を支払う事になりますからね。

とにかく誰よりも早く、多く作ってどれだけシェアを大きくできるか?が不確実性の低い、人々の需要が過剰に高い時は大事です。

また、日本型雇用の場合、ほぼ全員の合意を持って前に進みます。だから、関係者の根回しがとても大事になりますし。ほうれんそう(報告、連絡、相談)が社訓です。

そうすると、何度もいろんな人が色々な角度から問題をあぶり出すので、製品やサービスに欠陥やミスが少なくて済みます。

また、何か致命的な不具合が起きても誰も責任を取らないで済みます。みんなの責任ですからね。こういったメリットが日本型雇用にはあります。

そういった早い者勝ちの時代では、例えば労働組合が強く給料のアップを要求してきたり、企業年金の充実をストライキを盾に要求してきたとしても、その要求を飲んだ方が合理的なのです。なぜならストなんかされて、作れば売れるのに、作れなくなってしまう損失の方が大きいですから。フォードは人々の車の需要が加熱している時に、合理性を追求して、労働者の賃金を上げたり、企業年金を充実を約束しました。

しかし、問題は人々の需要はいずれ企業努力によって終息するという事です。

いずれ、人々の生活必需品は全ての人々に行き渡り、もはや趣味の領域に突入します。要するに買っても買わなくても別に生活するのに問題ない。性格必需品や必要最低限が満たされている状態ですね。

これが不確実性が高い時代です。

補足なのですが、経済学ではこの需要がない状態を想定して作られていません。もともと、100年くらい前にできた比較的新しい学問ですし、経済学の答え合わせには50年とかかったりします。なので仕方ない事なのですが…

こうなると、兎に角、意思決定を早くして、売れない事業があったらさっさと雇用整理できる環境、早く撤退できるシステムが必要になります。

また、不確実性が低い時に社員に約束した賃金や企業年金が企業の経営に大きく重い影を落とします。こうった不確実性が高い時代は、兎に角色々な方向に素早く意思決定して、可能性を探らなければなりませんから。

そうするとどうしてもお金がかかるのです。その時に毎月、他社よりも多くの賃金を払う事を約束し、企業年金を払う事を約束していると可能性を探るためのお金を捻出することができません。

そうやってフォードは不確実性が低い時代に社員に約束した毎月の支出が以上に膨らんでしまってチャプター11(お倒産)してしまいましたとさ。

ジョブ型雇用の場合往往にして、意思決定が早いです。何故なら関係者が少数で、少数の中に意思決定できる権限の人間がいるからです。何か交渉している時に、一旦持ち帰って、社長に報告相談なんかしなくていいのです。

その場で意思決定出来ますし、関係者が少ないということはいちいち根回しする必要も、社内政治する必要も日本型雇用に比べて低いわけです。

それは、行動が日本型雇用に比べて早いですし、うまくいかなかった時の転身も素早く出来ます。

その分、失敗の共有が難しいですし隣で何をしているのかわかりにくい。責任の所在がハッキリしてしまう。
という欠点がありますが。

と、人々が何買うかわからない。消費がもはや個々人の趣味のような状況になった社会においてはジョブ型雇用の方が効率的って話です。

ということで、ジョブ型雇用も日本型雇用も使い分けですね。

補足
ジョブ型雇用も日本型雇用もシステムのように感じるですが、とりわけ日本型雇用はシステムではなく、日本人の存在理由、宗教みたいなもの、なので、イスラム教徒がキリスト教徒に変わるくらい難しいです。

日本型雇用とは日本人の心のあり様みたいなもの、習慣なので、習慣はやらないと気持ち悪いですよね。

少しでも気に入ったり参考になれば幸いです。 いただいたお金で本を買いより有益な情報をお伝え出来れはと思います。