俺にはM-1が全てだった

一年に一度、客前で受けられる最も大きなオーディション。それがM-1グランプリだ。

この大会のために毎日ライブをハシゴして一年を捧ぐ芸人がたくさんいる。
彼らにはバラエティ番組でイジってもらいやすい短いギャグや、見た目や声に特徴がない。
漫才という話芸だけで人生をひっくり返すことにロマンをかけている。

自分はどうか?こんだけウケたら行っただろ!という手応えで負けた年が3回ある。(THE MANZAIの時期も含む)
この時、芸能界という門の前で「しっしっ」と、文字通り門前払いを喰らった絵が見えた。

それでも続けたくて、まだどうにかなると思って(90年代J POPの歌詞か!)
漫才を続けている。と同時に、M-1という基準にあてはめる自分の能力の限界も感じていたのか、毎日ライブに立つ以外の活動を始めた。

そして一年を捧ぐ不器用で崇高な芸人たちとは、「一線を引いた」ような面をした。
(一線は越えてない→今井絵理子→SPEED→90年代J POPの歌詞か!→ねづっちです。)

たまに勝手に脳内麻薬が暴れだすので無視推奨。俺の中のエリカ様。

去年の夏にラジオのコメンテーターで、いっちょまえに夕刊の見出しを発表した。
年越しはAV嬢たちの卑猥なゲームの司会をした。
今年の2月にニューハーフとリングで寝技で闘った。

M-1のために、M-1で評価されなかったら何にも残らない漫才に文字通り寿命を縮めてる周りの芸人、とは俺は違うよ。と強がってみせても、今はっきりと分かる。俺にはM-1が全てだった。

自分の気持ちに嘘はつけない。予選の開催される9月10月のスケジュール帳は真っ黒だ。見返すだけでノイローゼになりそうだ。

高校3年の時に第一回M-1グランプリが開催されて「これをやるんだ!」とはっきり思った。
今も昨日のように覚えてる。


M-1じゃない価値観でお笑いに取り組んだ時期も確かにあった。

以前行ったトーク番組のオーデイション。僕の隣には現NHK職員、自分の会社の社長を務める女芸人 たかまつなながいた。

順番にエピソードトークを披露する時間。僕は満を持して前説などでもスベり知らずの鉄板トークを披露した。乾いた笑い声が場内に響き、残り時間のほとんどは たかまつななへの質問に使われた。
悔しかった。俺がM-1の決勝にさえ出ていれば「面白い話」を聞いてくれるんじゃないか。と思ったとき、もう一度頑張ろうと素直に思えた。


今年で4年連続M-1三回戦落ち。コンビ歴は10年を越えた。噂では挑戦できる結成歴が15年から10年にいつ戻ってもおかしくないらしい。
もう挑戦できないかもしれないし、しても勝ち上がれない可能性が高い。

毎日配信するくらい時事ネタが好きだし、俺にとって漫才とは「世の中で起きてることをその人のフィルターを通して表現していいもの」だ。中学の時にそう思って虜になってしまったからこれ以外の方法論が思い浮かばない。

ということは一説に時事ネタで勝ち上がるのは難しいと言われている今のM-1は俺にとって全てではなかったのか?

みたいなことをずっとグルグル頭の中で考え続ける毎日です。

現時点で僕らにはこれしかない。
12/13に90分漫才やる単独ライブがあります。是非見に来てください。僕にとって漫才とはこんなこともグダグダ喋ったり脳内の疑問を提起したり、それに対するお客さんのリアクションでさらに何かをその場で考えたり、なんでもありなものです。

ライブのアンケートに「漫才じゃない」って書かれたこともあるけど僕にとっての漫才はそれです。

熱いこと書いて、良い話みたいになったと思ったら単独ライブの告知かよ!っていう青汁のCMに学んだやり方を僕は忘れない。


12/13(金)
エル・カブキ単独ライブ
「年刊実話~時事ネタ第3世代~」
19時~座・高円寺2
https://t.livepocket.jp/e/elkabuki_live2019

11/24(日)
エル・カブキがM-12016~2018まで三回戦落ちしたネタと新ネタ一本、その変遷についてトークするライブ
「世界一決定戦」
【時間】14:30開場/15:00開演/16:30~17時終演予定
【会場】秋葉原ZERO-G
【料金】2000円+1D(500円)
http://blog.livedoor.jp/uwfinter2012/archives/53941205.html

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