胸の真ん中に突き刺さる、この感覚を僕は青春ダーツと呼ぶ

売れない芸人が売れないままに書いた自伝。しかもそれが面白いなんてことが有り得るなんて。

著者が初めてM-1に挑戦した時を振り返る。

「もうスベるとかの次元じゃなかった。意味不明すぎる。いや、それコントやから。今なら、冷静に引き止め、漫才の根本から説いて二人を諭すことができる。あの時の僕達は、世界変えるぞ、センセーションを巻き起こせと息巻いていた。」

僕の同期やライブで一緒になった人たちに「天才」はいた。明らかに努力なんて言葉では近づけなそうな「才能」。

何年かぶりに一緒になって、楽しみに見るとそのほぼ全員は、小手先に走りいつかセンセーションを巻き起こしてやるという初心を自らゴミ箱に捨てたかのようで別人に見え、なぜか見ているこっちがダメージを喰らった。

著者の坂田光が組むサンシャインは違う。昔の自分達は「青かった」と振り返ってはいるけれど、今も瑞々しく青い。照れるとすぐに顔が赤くなる坂田氏同様、とれたてのリンゴのようだ。

一番大事なものを持ち続けているサンシャインのネタにこれからも注目せざるを得ないし、そう思わせた時点でこの本を出した意味がある。

変に文才に自信があって、国語の成績も良かったから、いつか本でも書けたらいいと思ってたけどもう辞めた。(何かを書きためてたりしたわけでもないのに)

この本と、同期のMC.Kj a.k.a.こりゃめでてーな大江の『圧倒的続行』っていうCDがあればこのジャンルはもう充分だ。

坂田光の文才に影響受けて、初めて「瑞々しく青い」なんて書いたこのブログ。いつか見返してそっと書き直してるかも。

(一部 この高鳴りを僕は青春と呼ぶ 坂田光著 より引用)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?