見出し画像

約束

あの日から2ヶ月経ったけど元気にしてるのかな。
チャンピオンになってもうすぐ1ヶ月が経つそうです。
まだ試合は全部見れてない。
でも、リングに立ってる姿を見てすごく感動した。それだけは伝わってて欲しい。

過去のことを話します。
私が1番印象に残った試合はやっぱり最後の試合だった。
興行2週間前に扁桃炎で熱出した時、最後まで止められた。

それでも最後の練習にフラフラになりながら行って、全力で練習付き合ってくれた。
ただ、その時も本気で出られないかもって思ってたからベルト持ってきてた。
隣にいたあなたに返上する!ってベルトを渡したんだけど、衝撃的なことをされた。

ベルトを投げ捨て、こんなベルトいらないって言われてさ。

思わず下を向いてしまった。
今までやってきたことって全部無駄だったのかな、あの辛い時間は無駄だったのかなって思ったら、涙が止まらなくなった。
何も言い返せず、ただ俯くことしかできなかった。
今思えば練習中に泣くなんて本当にありえない。

泣いてることに気づいたあなたは外に連れ出してくれた。
色んな辛いことを話してたくさん涙を流した。
それでも最後まで話を聞いてくれた。

試合当日もアップの時点で体調悪くなってギリギリまで試合するか悩んだ。
でも私はチャンピオンだったから絶対に試合しなきゃって思った。
気づいたら試合終わってて、あのマイクが始まった。

お互いが何を言ったかは覚えてない。
ただ顔を背けて涙を流した。
突然いなくなったアイツの存在を思い出したのもある。
どうして戦い続けなきゃいけないのかわからなくなった。

控え室に戻ったあとも涙が止まらなかった。
もう限界だったんだろうな…
配信のコメント欄を見て壊れてしまった。
どうにもならない容姿批判、試合の評価…
気にするなと言われてもトドメを刺されたような感覚でわかっているけど無理だった。
自分の存在を否定されてるようだった。

私は必要ない。消えたい。

次の日も興行があって実家に戻った。
笑顔で話すのが本当に辛かった。
お風呂に入りながらふとこんな事を考えてしまった。

このまま海に沈んでしまいたい。

両親に会えたし思い残すことはなかった。
お酒を飲みながら父に本当のことを話した。
そしたら生きろって言われて。
生きるにはどうしたらいいのか?
この場所から離れる必要があると思ったんだ。
あなたには先に連絡しておかなきゃなって思った。
でも素っ気ないし、海に沈みたいって言ったらちょっと面白いって言われるし、もういいやってなった。

だから次の日の17時半、私は何も言わず抜けた。それにもちゃんと理由がある。
両親とお別れする時、死ぬなって言われて、うんって言えなかった。
電車で1人。とある連絡が来た瞬間また涙が止まらなくなった。
でもちゃんと決断した。

もう遅いかもしれないけどまだ伝えてないことがある。
私が退団した最後の理由。
あの時、誰かに相談していれば私は確実に残っていた。
それほど団体が好きでみんなが大好きだったから。
でもそれは辛い日々の繰り返しであり、結局身を削ることには変わりはなかった。
だからいつか終わらせなきゃいけなかった。

本当は最後まで一緒にいたかった。
もっとたくさん笑いあっていたかった。
あの時間が大好きだった。
なのに最後の最後であんな身勝手なことをして本当にごめんなさい。

離れてからちゃんと話し合って仲直りして飲みに行った。
それからしっかり前を向いて自分と向き合えている。
プロレスはまだトラウマだけど、少しずつ見始めている。

でも約束は果たさなきゃいけない。
私のワガママだけどあなたと戦いたい。
もう一度リングに戻りたい。
この団体に合ってないと言われても、お客さん誰1人望んでなくても自分のために戦いたい。

いつか叶えばいいな…
夢物語か…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?