屋上の星条旗、カフェ・ラテ、漁。 (短編集 “90sNewYorkFairyTale”より)
晴れている屋上。金融街の高層ビル群が見わたせる。今日は風が強い。ここにはジェインしかいない。
ジェインは端に腰掛け、特大のスターバックスのカップを手に持っている。もうひとくちカフェラテを飲む。白の丸襟のブラウスの襟もとにウェリントンスタイルの眼鏡をひっかけ、爪先だけでヒールを両足ぶらぶら遊ばせながら。長いけれどもてあます金色の髪を、ところどころボロの出たトラッカーキャップで押し込めている。だから「眩しくはないの」。
大昔に買ってもらった星条旗のワッペンがついたトラッカーキ