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小字「ダバ」について。


「ダバ」と呼ばれる地形を表す地名がある。

漢字にすると、その多くが「駄場」であり、まれに「駄馬」とある。


今回はこの地名に関する考察を少し書きます。


Q.1「だば」とはそもそもどんな意味があるのか?

四国地方にはダバ(駄場、駄馬)の地名があり、ことに高知、愛媛県境に多く分布し、足摺半島などでは海岸沿いにも見られる。 
「民俗地名語彙辞典」378pより引用

土佐弁の大全と言っても過言ではない
高知県方言辞典」にも、岡の上の平地だとある。
ほかにも、これまた県西部の幡多郡の幡多弁に「だばい」という傾斜がゆるやかな様を現す言葉があるという。

検索エンジンで駄場と検索すればまず出てくるのが、土佐清水市の唐人駄場遺跡だ。

縄文時代から弥生時代にかけての遺跡で現代では公園が整備されてキャンプなどもできる。


グーグルアースより引用


多少整備されているとは言え、山上のなだらかな地としては十分にダバの条件を満たしている。

土佐清水市観光協会

次に有名なのが四国カルストにある「源氏ヶ駄場」で、これはカルスト台地に無数に転がる石灰岩を源氏の追手と間違えた平氏の落人が狼狽えたという説がある。これは高知と愛媛の県境である。

グーグルアースより引用

これも立派な駄場だ。唐人駄場よりは多少複雑な地形なようにも感じる。

四国西予ジオパーク

※初めて見た例としては高知県方言辞典のダバの項に山の水溜りであるとも書かれているが、いわゆるイノシシの沼田場(ぬたば)を指すことらしい。
これはぬたばが変じて、たば→だば になったのではないか。


また津野町の布施が坂の登り口ともいうべきあたりに駄場という地名がある。
ここには公園があるが、そのまま「駄場みどりのひろば」という名がつけられている。

公園の東向きに坂を登っていくと茶畑が広がる集落にたどり着く。
衛星写真で見てみるとよくわかるが、前述した
ダバの定義がぴったりあてはまる地である。


グーグルアースより引用
丸をしてある所が駄場みどりの広場


ひらき(開墾)をするに、ダバじゃったら仕事が早いが…
高知県方言辞典より

傾斜が緩く、開墾がしやすい土地としてダバは有難がられたに違いない。
そのためか、ダバには開墾したであろう人物の名前やかつてその地にあった物の名がついている。
津野町の隣の梼原町にも駄場という地名があちこちに見られる。

例としては井高という地区には小屋ヶ駄場、馬之駄場という二つのダバがある。

小屋があったということを想起させるには十分であるし、馬を飼っていた、もしくは馬の干草を作っていた等、馬に関する地名であることに違いない。

また久保谷地区には駄場ノ越という地名があるが、越(こえ)は峠を意味し、峠にあたる地でなだらかである様を表している。

以上が小字ダバについての考察でしたが、まだ四万十町や幡多地方の駄場についてなどまだまだ知らない事が多いので引き続き調べていきたい。

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