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文章と短歌:BTS J-Hopeさんのセンイルにあてて


徒歩通勤をはじめてからというもの、この辺りに暮らしはじめた時のことを思い出す。風景に目をやることが増えたからだろうか。あの頃は街路樹のひとつが、咲きそびれない花が、いつもそこにある鴨川が、やけに目について立ち止まることが多かった。朝が待ち遠しくて、寝ている同居人の額が清潔な朝陽をとどめていることも嬉しかった。電話口で、生きがいの無さを泣くことは一度も無かった。

家と職場の間にはいくつか歩道橋があって、その階段を上るときが一日でもっとも気怠い。でもこの間久しぶりに見た夕陽はとても綺麗で、空はいつもより深い青に見えた。水の中にいるみたいだった。

水中に潜る、そんなサウンドからはじまる曲がある。そのあとのメロディの明るさに胸の膨らむ思いがする。そして私は、心の深いところからとても健全な自分が浮かび上がってくるのを見ている。

즐겨해욕과속된말But내음악에선안해「Hope World」

濡れそぼる夜の空気だ 一日の作業を終えたあとのこの部屋

水深は知らなくていいどの海も自分の指で確かめるから

さびしいとさびしくないは同じこと 指で象るハートつたない

私は、あなたが今のあなたではなかったらという仮定についてあまり関心がないかもしれない。冷たいかもしれないけれど。ただ、あなた自身がそれを幾度となく考えて、ときに今の自分に安堵したり、ときに存在しない「もしも」の自分を恋しく思ったりしただろうということは想像できる。

포기를선택한삶으로날놓아본다고「Outro:EGO」

ぐっすりと眠っただろう(春雷だ)なお諦念に守られながら

退屈でたまらないこと 鳴き砂がどこかの浜で鳴いていること

見てみたい 氷砂糖をゆっくりと胸にとかして踊る自分を

あやとりに絡めた細い指先の、そして生まれるやわらかい火の

パンドラの箱に残っていたという希望があなたの名前の由来だと知った。それからずっと、馬鹿馬鹿しいけれどずっと、たったひとつ残された希望がもし心をもっていたなら、ということを考える。

でも春の日差しはいずれやってきて小さい希望を抱きしめたんだ

夕焼けが齧りつくこの橋がいまもっともきれい 行こう 行こうよ

思い残すことはないと思う「BREAK THE SILENCE:DOCU-SERIES」

どこへなら飛べる? どこでも。 そのために携えている強い色彩

風、どうかゆっくり撫でて。後悔がその鬣を焼かないように

あなたは大口を開けて笑う姿が印象的だけれど、誰かに褒められた時はときどきうつむき加減でほほ笑んでいる。突然受けとった花束に戸惑っているような表情もまた、あなたの内面をわかりやすく表している気がする。私はうんとたくさんの花を贈りたくなる。

深い悲しみや絶望がないといいな「BREAK THE SILENCE:THE MOVIE」

まなじりに魚の尾ひれ ゆれるだろう 多分あなたが泣きだすときは

踊るとき生まれる風がどうしても日向くさくて笑ってしまう

水深がわからないなかで、それゆえに自ら決めた水底を踏みしめて歩く人たちがあなたに希望を見いだす。同様に、その人たちが遠く遠く隔てられながらたしかに光るあなたの星であってほしい。

(J-Hopeさんお誕生日おめでとうございます。)

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