bitFlyerの現引・現渡でどうなる?

bitFlyerにおける、現引・現渡とはFXでのポジションを現物で決済できる制度です。

今回はこの現引・現渡について、焦点を当ててみました。

これまでの経緯と注意点

これまで現引・現渡は20%という手数料の高さから、誰も使えないただの飾りでした。

ところが、2017年の12月頃、恐らく運営も想定外の「現物とFXの乖離率20%越え」が起こりました。

これによって、現引・現渡で利益が発生するという自体になり、注目を浴びました。


BTC-FXは、原資産であるBTCとの関係が非常に薄く、

「実質的に使えない現引・現渡」と「BTCと関係があるという皆の思い込みと信頼」

によってのみBTCとの連動が支えられていました。

この関係の薄さから、「FX内の需給のバランス」が「現物の需給バランス」と

容易に乖離できてしまい、この様な大幅な乖離を引き起こしたと考えられます。


これを受けて運営は、乖離対策のアナウンスを数回したのち、

SFDを導入しました。

SFDでは既に複数のユーザーからも声が上がっているように、乖離対策になっていません。

実際に、SFDの最初の発動から数日で早くも乖離率20%へと達しました。


ここでまた現引・現渡が脚光を浴びる可能性が僅かに出てきたわけです。

SFDの乖離率の計算は、

価格乖離 (%) = (Lightning FX 取引価格 ÷ Lightning 現物 (BTC/JPY)最終取引価格 − 1)× 100

で現物がベースです。

ところが、現引・現渡の手数料は、

Lightning FX板の加重平均約定価格 x 建玉数量 x 20%

であり、FXがベースです。


例:FX100万・現物80万で1枚現渡しの場合

SFDの価格乖離:25%

現渡の手数料(変動0と仮定):20万円

現物買付費用(手数料無視):80万円


意外と勘違いしている人が多いですが、価格のベースが違うので

例の様に、SFDの価格乖離が20%を超えて、現渡リスクを無視したとしても

まだ利益は出ないということになりますので、注意が必要です。

現引・現渡のリスク

以下の2つは運営の説明です。

Lightning FX の現物決済に係る手数料

利用者より注文を受けた翌営業日の当社任意時点の Lightning FX 板の加重平均約定価格 x 建玉数量 x 20%で算出した日本円金額引用:https://bitflyer.jp/commission


Lightning FXで現引・現渡による決済はできますか?

現引・現渡による決済は1回につき1BTC以上100BTC以下に限りお受けしております。
現引・現渡による決済は1週間に1度までとさせていただきます。
ご要望はお問い合わせフォームよりお知らせください。
手数料は当社より手順等詳細のご案内をお送りした日の翌営業日に決まります。
計算日における当社任意時点のLightning FX板の加重平均約定価格 x 建玉数量 x 20%で算出した日本円の金額となります。
なお、現引・現渡申し込み後のキャンセルは承っておりません。引用:https://bitflyer.jp/ja-jp/faq/7-17

手数料確定日と変動リスク

BTC-FXはボラティリティが高いので、手数料以上に乖離率があっても、

手数料確定日には変動し損失となる可能性があります。


よって、確定日はかなり重要ですが、運営の2つの説明は「利用者より注文を受けた翌営業日」と

「手数料は当社より手順等詳細のご案内をお送りした日の翌営業日」で異なり、

後者であるとすれば確定日が不確実です。

ただし、「利用者より注文を受けた翌営業日に、当社より手順等詳細のご案内をお送りする」

だとすれば、両方が成り立ちます。

計算期間の不確実さ

「計算日における当社任意時点のLightning FX板の加重平均約定価格」が計算に使われます。

当社任意時点ですから、うがった見方をすれば、不利な価格に操作され得るわけです。

もちろん、完全に信頼できるなら問題ありません。

現渡しが殺到すると…

2017年12月頃の高乖離状態は長く続かなかったため、

現渡しが殺到する事態にはならなかったと思われます。

では、もし殺到した場合にはどうなるのでしょうか。


bitFlyerのFXは(現物と独立した)取引所形式なので、誰かの買い注文が成立した場合、

必ず誰かの売り注文が成立しています。すると、増える時も減る時も同数量が動くので、

買い建玉の総量と売り建玉の総量は同じになるわけです。


ここに現渡しが殺到すると、売り建玉が解消(決済)されているにもかかわらず、

買い建玉が解消されないので、買い建玉>売り建玉に偏っていきます。


建玉の偏りは、現引き(現渡しの反対)が殺到しないかぎり、永続的に残り続けます。

これにより、買い建玉の決済(売り)の相手である、買い手が不足していくので、

売り圧力が強まり、結果として乖離はある程度解消され、現渡しの殺到は収まると考えられます。


現渡しによって売り建玉が「無くなる」前提でしたが、

システム的に、建玉の解消は反対売買が成立しなければ、できない可能性があります。

すると必然的に運営が大量の買い建玉を保有することになります。

その場合に、運営がそれらの建玉を決済で市場に流そうと流さまいと

建玉の偏りは変わらないので、同じ結果になります。

おわりに

憶測的な部分もあり、大した考察はできませんでしたが、

今後FXベースで乖離率20%を大きく超えて、十分に安定して乖離するなら、

やってみる価値はあるのではないでしょうか。

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