一次創作脳に火がついた

随分長いこと、一次創作がうまくできないのが悩みだった。だがその悩みの種は今や土の中に潜り、新しい芽を出すことで殻を破りつつある。


先日、創作BLを一本書き上げた。

この話を書いた当初は、今後さらに話を膨らませようとかそういう考えは全く無く、ただなんとなく

「昭和の作家同士のBLを書いてみたい」

という思いつきだけで書いてみたものだった。

長らく一次創作に手をつけられずにいた私だったが、これは案外するすると書けた。キャラクターの名前すら作中に登場しない、簡素で悲劇的な短編小説。さっくり書けたのは、「攻め受けどちらかが死ぬ(またはどちらも死ぬ)」という私の性癖を正直に暴露して書いたからかもしれない。


さて、昨日、noteに何を書こう、と考えた時に、また創作BLを書きたいという気持ちが湧いてきた。

なるほど。それはいいかもしれない。しかし今度はどういった話を書こう?あんまり長い話は書けないぞ。

私は腕を組んで、ふんふん唸りながら色々とアイデアを絞り出した。

前は昭和の作家同士の恋愛だったから、次は昭和の作家と編集者の恋愛とか?いや、もっと完全に離れて、現代を舞台にしたBLでもいいかもしれない……。

なんて考えてるうちに、最初に書いた小説「煙草の君」の内容を思い出した。

あれの主人公ーーもといヒロイン?の、自殺を選んだ小説家、彼の友人関係を広げてみるというのはどうだろうか?

「煙草の君」の登場人物二人には、それぞれ大雑把にモデルとした実在の小説家がいる。分かりづらくなるようにだいぶボカしてはいるが。史実になぞらえると、自殺した小説家には同じ地域に同時期住んでいた友人たちがいたはずだ。その友人たちを書いてみてはどうだろう?

実際に書いてみたのがこちら。新キャラクターの二人を出しつつ、ここでようやく「煙草の君」のキャラクター二人に正式に名前がついたわけだ。


少し説明をさせてほしい。「煙草の君」の登場人物は、作中の語り手であり悲劇のどん底に落ちる中堅作家・公賀隆志(くがたかし)と、公賀の恋人であり自ら死を選んだ売れっ子作家・龍田紫苑(たつたしえん)の二人だ。

公賀は、紫苑が死ぬ前に買い置きしていた煙草を吸い、煙草に火が灯っている間だけ、死んだ恋人の姿を幻視する。公賀は紫苑を喪ったショックから、小説が書けなくなってしまっていた。失意の中、紫苑が残していった煙草の香りだけが恋人の面影を連れてきてくれる……と、全くもって救いの無い終わり方をさせたのが、「煙草の君」だ。

その次の話、「紫苑の死」に登場した新キャラクターは、二人とも紫苑と同い年で交流のあった若い作家である。作中の語り手で詩人の菅原凛之介(すがわらりんのすけ)、そんな凛之介と幼馴染で恋人の作家・桐生晴臣(きりゅうはるおみ)。

凛之介と晴臣は新聞で盟友・紫苑の死を知る。今までは世間体を気にして一緒に住むことができずにいた二人が、紫苑の訃報をキッカケに同棲へと踏み出す、というのが「紫苑の死」のストーリー。


……。

私は気づいた。


「これ、話を膨らませていって、色々な喪失と幸せの獲得を描いていくことで、最終的に失意の公賀を救うことができるのではないか?」


ここから一気に私の創作意欲に火がついた。


そうとなりゃ話は早い!!シリーズ化決定だ!!

次に出るキャラクターは誰にしよう、どういう関係性にしよう、公賀のお師匠さんを出す必要もあるし、凛之介と晴臣の師匠も出しておきたい、紫苑に憧れて作家を志した若人も欲しいし、凛之介と晴臣以上に紫苑と近しい友人も欲しいところだ、紫苑たちとは離れた場所にいる作家たちの交流も描きたいし……。

こんな具合に次々とアイデアが思い浮かんでくる。私はそれが楽しくてしょうがない!!

いつからか完全にストップしてしまっていた一次創作脳が叩き起こされ、急激に動き出したのを感じた。

私の目標はただ一つ。一つの世界観の中で様々なBLを描き、それらが全てどこかしらで必ず繋がっていて、そしてその全てが公賀の心を救う糸口になる物語を書くこと。最後に訪れるのは、公賀と紫苑のハッピーエンド!!

こんなにワクワクすることはない。


今後も度々、noteに創作BLを投下していくかもしれないが、それは私の創作意欲がしっかり働いている証拠なので、暖かく見守ってやって欲しい。

書き甲斐のある作品は、生き甲斐をもたらしてくれる。

ありがとうございます!生きる励みになります。