内閣不信任案に賛成したら与党と交渉も協議もできない?検証しました

「不信任案への賛成は政権への全否定なので、不信任案に賛成した以上は交渉や協議もできない」

このような指摘がSNS上で見受けられますが、事実と異なります。

一例として、2023年の通常国会において、立憲民主党等が内閣不信任案を提出しました。

https://www.jimin.jp/news/information/206106.html

しかしその後においても、自民・立憲を含む協議は必要に応じて行われています。例えば、旧統一教会の被害者救済法案は、不信任案を提出した立憲民主党を含む与野党にて協議が行われました。

法案の賛否に関しても、2023年の通常国会にて不信任案を提出・賛成した政党も、その後の臨時国会で閣法に賛成を投じています。一例として、不信任案を提出した立憲民主党も、閣法賛成率71.4%、条約賛成率100%となっています。

なお、同党のこの賛成率は同年の通常国会とほぼ同水準であり、不信任案提出をもって閣法への姿勢が変わったわけではないことが読み取れます。

加えて、内閣不信任案を提出された側の岸田文雄総理大臣も、その後の同年臨時国会にて、内閣不信任案を提出・賛成した野党各党も含め、各党各会派に対し、議論や協議を呼び掛ける答弁を行っています。

以下に一例を示します。

民主主義のコストをどのように負担していくかという観点から、各党各会派において十分御議論いただくべきものであると考えております。

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121215254X01020231211/29

○岸田内閣総理大臣 国民の皆さんの前で各党、各議員が政策あるいは考え方の違いを明らかにしていく、こうした議論を堂々と展開していく、こうしたことはもちろん重要なことであると思います。そういった機会を大事にしていくこと、これは重要なことだと考えます。

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121205261X00820231208/161

また、野党各党からの政策提言についても、「大変貴重なものだと思っている」との認識を示す答弁を行っています。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 経済対策取りまとめるということを申し上げてから、国会において様々な御意見を承りました。また、直接、御党を始め各党からも経済対策について御提言をいただきました。国会が開会してからも、様々な形でこの与野党から御提言をいただいてきております。こういった議論は大変貴重な、御提言、議論は大変貴重なものだと思っております。

https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121215261X00220231101/187

従って、ネット上で散見される「不信任案への賛成は政権への全否定なので、不信任案に賛成した以上は交渉や協議もできない」という指摘は、これまでの事実と異なります。

内閣不信任案を提出・賛成した政党も、与党を含む超党派の政策協議を行っており、内閣提出法案(閣法)への賛成も行っています。

また、内閣不信任案の提出を受けた側である内閣も、内閣不信任案を提出・賛成した政党を含む各党からの提言を「大変貴重なもの」と認識を示しており、実際に議論を呼びかける答弁も行っています。

ChatGPTによる分析

命令文:野党より内閣不信任案が国会に提出され、与党の多数により否決されました。しかしその後も内閣不信任案を提出した野党は、必要に応じて与党と政策協議を行ったり、与党法案に賛成したりしています。これに対して、「不信任案への賛成は政権への全否定なので、不信任案に賛成した以上は交渉や協議もできない」という指摘があります。この指摘について分析して下さい。

この指摘について、民主主義の原則から考えるといくつかのポイントがあります。

1. 民主主義の柔軟性

民主主義は多様な意見や立場を尊重し、対話と協議を通じて最良の解決策を見つけることを目指す制度です。不信任案に賛成することは、必ずしも全ての政策や行動を否定するものではありません。

2. 政策協議の重要性

議会制民主主義において、政党間の政策協議は不可欠です。どの政党であっても、国民の利益を最優先に考え、必要に応じて協力することが求められます。内閣不信任案に賛成した野党がその後も与党と協議を行い、法案に賛成することは、国益にかなう政策を支持するための柔軟な対応であり、責任ある行動と言えます。

3. 議会の役割

議会は単なる対立の場ではなく、建設的な対話と協力の場でもあります。内閣不信任案は内閣の問題に対する強い異議を示す手段ですが、その後の政策協議や法案への賛成は、他の問題や政策についての前向きなアプローチを示すものです。

4. 国民の代表としての責務

野党も与党も国民の代表として選ばれており、国民の多様な意見を反映する責務があります。不信任案への賛成は、その時点での内閣の問題に対する姿勢を示すものであり、その後の政策協議や法案への賛成は、国民の利益を考慮した上での判断です。

結論

「不信任案に賛成した以上は交渉や協議もできない」という指摘は、民主主義の柔軟性と対話の重要性を無視した考え方です。民主主義の原則から考えると、政策ごとに異なる立場を取り、国民の利益に基づいて柔軟に対応することが重要です。これは、健全な民主主義において必要なバランスを保つための行動です。


検証結果


・「不信任案に賛成したら交渉や協議もできない」といった指摘は、これまでの事実と異なります。

「不信任案に賛成したら交渉や協議もできない」といった指摘は、民主主義の柔軟性と対話の重要性を無視しています。