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祝福の春が、やってきた!

2024年4月9日、DFM VALORANT部門がVCT Pacificリーグに選出されてから、初めて世界相手に勝利を収めた。実に682日ぶりの勝利であった。

682日ぶりの勝利と聞くと、正直何も知らない人は「え? そんな負け続けてたの?」「約2年かけてたったの一勝?」と思われるかもしれない。けれども、私たちは知っている。この勝利がかけがえのない、素晴らしい価値ある一勝ということを。

この一勝を掴み取るまでのDFM VALORANT部門の道のりは、途轍もない苦難の連続だった。インターナショナルリーグに選出され、世界の舞台で戦い始めた2023年、DFM VALORANT部門には才能あふれる実力派の選手が集まった。試合を見る限りチームの雰囲気は活気にあふれていて、あと一歩で勝利を収められそうな試合もあったが、VCT 2023 LOCK//INでは1回戦敗退、VCT PACIFIC 2023では最下位、VCT PACIFIC 2023 LCQでは初戦敗退と全大会最下位で終了。インターナショナルリーグ唯一の0勝のチームとなり、シーズン終了には多くの主力メンバーがチームを去った。多くの心無い声も寄せられた。

そして大幅なメンバー変更が行われるということで期待が寄せられた2024年シーズン。2023年11月28日に行われたDFM VALORANT部門のメンバー発表は、大きな話題を呼んだ。

DFM VALORANT部門に残ったSuggest選手、Anthem選手に加え、Crazy Raccoonで活躍したneth選手、Meiy選手、popogachi選手の3名、そしてNOTHEPTION、FENNELで2度の国内大会優勝経験を持つJoxJo選手、DFMのPUBG部門、VALORANT部門で活躍したSSeeS選手の計7名体制でパシフィックリーグに参戦することが発表された。

DFM VALORANT部門を運営する株式会社DetonatioNが、Crazy Raccoonを運営する株式会社Samurai工房とeスポーツ事業における業務提携契約を締結したことに加え、国内リーグで結果を残せなかったCrazy Raccoonの3名がまるで飛び級のようにインターナショナルリーグに参戦するように見えたこともあり、この時点でDFM VALORANT部門には温かい応援も寄せ在られる一方、意地の悪い冷たい目線が向けられていた。

そしてこの7人で迎えた初めてのイベント。2023年12月2日、3日にKアリーナ横浜で開催したオフラインイベント『Riot Games ONE 2023』では、DFM VALORANT部門はまたも一勝を挙げることができなかった。この結果や選手の戦いぶりを見て「どうせ今年も0勝でしょ」といった否定的な投稿が私の見ている範囲ですら目立った。しかし、この体制で活動し始めてから日が浅かったこともあり、まだ今年のDFM VALORANT部門には大きなのびしろがあると期待もされていた。だが、ここで事件が起こる。

圧倒的火力を有する主力選手であったSuggest選手、チームの絶対的なIGL(司令塔)であったJoXJo選手、そしてXrayNヘッドコーチの脱退が突然発表された。そしてCrazy Raccoon所属のMedusa選手、Astellコーチ、NorthernLightsコーチの加入も決まっていた。2月17日より開幕する『VCT Pacific Kickoff』の、僅か2週間前の急すぎる発表だった。

このロスター変更は、悪い意味で話題を呼んだ。ファンですら戸惑いを隠せなかった。今回のメンバー変更により、チームの3分の2が元Crazy Raccoon所属の選手、コーチとなり、実質Crazy RaccoonがDFM VALORANT部門を乗っ取ったようなものだと顰蹙を買った。選手に向けられた声は散々なものだった。

CR VALORANT部門時代からずっと応援していた私も、Crazy Raccoonの皆さんが世界の舞台で戦えることになった喜びよりも、困惑が勝った。そして、私はこの発表を機に、持病をこじらせて生命が危ない状態になったこともあり、DFM VALORANT部門から距離を置くことにした。

全力での応援をやめたとはいえ、それからずっとDFM VALORANT部門の皆さんのことを気にかけていた。一番彼らが辛く苦しい時に、どうしようもなかったとはいえ病気を理由に全力の応援ができなくなってしまった自分が、ずっと許せなかった。世界で戦う辛く厳しい道のりを選び歩み始めた彼らと対照的に、逃げるかのようにその場を去った自分が不甲斐なかった。

だから、昨日、DFM VALORANT部門が強豪T1相手に1マップをもぎ取り、TwitterのトレンドがDFM関連のワードで埋まっていた時、飛び上がるほど嬉しかった。そして、自分が情けなかった。あの日から試合すら見る勇気が無くなってしまった自分に。

けれども、持病で死にかけて療養のためにここを離れる決意をしたあの日から、大切にしまいこんだグッズも、心を鬼にして「興味がない」を選び続けたトレンドも、見ないようにしていた配信も何も意味がなかった。全てを飛び越えてDFMの勝利は、私の元に届いた。泣いた。涙があふれるほどの歓喜を知った。試練の冬を耐え忍び続けた彼らが世界の舞台でとびきりの笑顔を咲かせる心からずっと待ち望んだ瞬間を、私はこの目で確と目撃した。

VALORANT界のビッグブレインとして活躍したFNSさんからいぶし銀の素晴らしいプレイングでべた褒めされるほどの活躍を見せた弛まぬ努力を重ね続けたベテランのnethさん、血の滲むような凄絶な努力が最高の形で大きく花開いて世界の注目を一身に浴びて光り輝くステージでひときわ煌めいていた最強の努力家のMeiyさん、Crazy Raccoon時代からプレイ面でもそれ以外の面でもずっとチームを支え続けその確かな実力を遺憾なく発揮したMedusaさん、圧倒的な実力を持ちながらも勝利の機会に恵まれずそれでも戦うことを諦めずに見事DFM VALORANT部門の選手として勝利を収めたAnthemさん、縁故採用だのなんだのたくさん浴びせられた心無い言葉を結果と実力で跳ね返してみせたSSeeSさん、そしてきっと舞台裏で彼らの勝利を見守りここからさらに飛躍し成長していくであろうpopogachiさん、裏から皆をがっちり支えたAstellコーチ、NorthernLightsコーチ、Melofoviaコーチ、アナリストやスタッフの方々、皆さんおめでとうございます!

この勝利を機に、DFM VALORANT部門がもっともっと高く飛躍していけますように。ずっと、ずうっとCRWIN。DFMWIN。


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