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パズルの展開について


これはペンシルパズル Advent Calendar 2021一日目の記事です。

お久しぶりです。utimeです。


0. 目次


3本立てです。特につながりはないので、好きな章だけ読んでください。


1. 追記

昨年の記事への補足


2. パズルの展開について

パズルやその他芸術の展開、盛り上がりについて考えたこと


3. おまけ

カックロです


1. 追記


昨年度のスケルトンの記事に対して枝豆さんよりコメントがありましたので、遅ればせながらここで紹介させていただきます。解法に関する内容のため、ネタバレなど気にする方、内容を忘れた方はリンク先をご確認ください。




1.1 前半

リストを2進数にするなりしないなりしたのち和が等しい12個の組2つに分ける操作を一瞬で行える場合がある、という主張を記事ではしていましたが、場合によらず組み分けを行える十分早い方法を紹介していただきました。

12個の組のうち、先頭位が0であるものと1であるものは6個ずつ存在するため、リストのうち先頭位が0である6つ組の和(全部で12C6組)と先頭位が1である6つ組の和を計算しておき、それらを突き合わせていけば、2×12C6-1回で和が等しい組をすべて見つけられる、というものです。例えば{0, 3, 4}と{6, 8, 9}から和が10になる組を見つけるには

(0, 9) (3, 9) (3, 8) (3, 6) (4, 6) という順で、和が10に近づくように数をずらしながらリストを突き合わせると見つけられます。


ああやってしまったといった感じ。というのも、完全に敗者の弁ではありますが、蟻本(競技プログラミングの本)はまあまあ見ていたので上の方法は思いついていたのですが、12C6≒10の6乗と思い込んでいて人力の範疇を超えていると思ってしまっていました。実際は924なので年1回ペースの計算でも2021年で十分終えられます。スターリングの近似に従うので最後には指数ペースを超えていきますが、14×14までならなんとかなりそう。


1.2 後半

組み分け後の操作も機械的に行えるとのことでした。縦向きに入るワードのリストに関しては、(i, j)にi桁目もj桁目も0であるような縦向きのワードの個数を書き込んだ12×12の表、横向きに入るワードのリストに関しては、リストのワードに1, ... , 12と名前をつけ、(i, j)に、ワードiとワードjのうち一致する桁の個数を書き込んだ12×12の表をつくり、比較すれば解けます。


これは全く考えていませんでした。教えていただきありがとうございました。


1.3

結局このサイズの場合はすべての工程を機械的に解ききることができそうです。解くアルゴリズムを示したらこのパズルを解けたとみなしてもよさそうな気はしますが、枝豆さんはちゃんと解いてくださったようです。ハバネロ全3問正解、また別解まで紹介していただき、誠にありがとうございました。



2. パズルの展開について


タイトルにもなっているのですが、ここからはネタ枠なので、あることないことを気楽に書きます。気楽に読んでください。


最近こういったことを考える機会が増えたのですが、世の中にあるいい感じのものは、すべて同じ展開がなされていると思うのです。序破急、サビ、三幕構成、etc...。ニュアンスは違えど、必ず最後に盛り上がりが来ます。ざっと確認してみましょう。

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すぐ思いつくだけでもこんな感じです。やはり後半に盛り上がりがくると後味がよく、序盤中盤もそれを立てるためにも使えるので、満足感が出やすい王道の型といわんばかりに、娯楽を中心に愛用されているように思われます。このあたりについてガチクリエイター(特に謎系について)の話を聞いてみたさはあるかといわれたらめっちゃある。

ただ、しかし、世の中にはこの型に当てはまらない逸品も多数存在します。

例えば俳句は、わずか十七音にきっちり情報を収めきるといい感じになり、ずっと盛り上がってるといった感じです。

一方で、最初に盛り上がりがくる型はなかなか苦戦を強いられます。例えば、ジェットコースターはその構造上初っ端に最大落差が訪れます。その後は回したりひねったりしてはみるものの、最初の刺激にはなかなか勝らない。

ステーキなんかも最初の一口こそ味覚嗅覚触覚すべてが新鮮ですが、後半はそうもいかない。

そこで生まれたのがコース料理です(違います)。

一品だけでは展開が少ないところを、前菜から順に提供し徐々に盛り上げていくことで、メインディッシュが映えに映えまくるのです。

この構造は最初盛り上がり型の特権でもなんでもなく、例えばポケモンではレベル上げ→ジム戦という盛り上がりを幾度となく繰り返しつつ、全体としてみても伝説戦、ストーリーのクライマックス、四天王チャンピオン戦といった山場を最後に用意しています。

さて、パズルについて思いめぐらせてはみたものの、後半の盛り上げにくさたるや否や。謎解き公演における大謎のような、表出すべての情報を回収するような構造はというと実は存在していて、大局手筋として盛り上がりチャンスにはなるものの、未確定部分が多くなければ成立しない都合上序中盤に消化されてしまう。

というわけでパズルにも王道の後半盛り上がり型をあてはめられれば王道の満足感をだせそうな予感がしますが、あまりいい案は思いつかず。このあたりがパズルに関する最近の私のテーマですが、あんまり進展はしてないです。多分インプットが少なすぎる。

その数少ないインプットの中で見つけた後半盛り上がり型っぽいパズルがPBRのぬりかべと、PBR2外伝のスリリンだったり。前者は記事があるのでそちらにまかせるとして、後者は控えめに言ってやばい。いい案が思いつかないと先述しましたが、このスリリンがほぼ答えになっており、思いつく案がすべてスリリンの下位互換になってしまうのが主な原因です。

多分共通して言えることは、後半に盛り上がりを作るには、後半に非自明な要素を残せるほどの盤面の広さが必要、ということかと思います。

さて、10×10程度のいわゆる通常サイズのパズルについて考えてみると、多分上述の理由よりおそらく後半盛り上がりは難しいと考えられます。あれだけのサイズがあるからこそn段構えの構成にできるわけなのですが、裏を返すと、通常サイズのいい感じのパズルの良さは実は、1つの要素がきっちり盛り込まれていることなのかもしれません。わずかなサイズの盤面に情報がきっちり収まっているからこそ、俳句のようなしまりの良い気持ちよさがあるのかもしれません。

とかわかっている風を出してはみましたが、いい感じのパズルを公開した経験がほぼなくフィードバックが皆無なので、いいパズルの良さって何なのか全くわかっていません、誰か教えてください。一方で、結局好きな負荷であればどんなパズルでも楽しめる味音痴のままでいた方がパズルを楽しめそうな気もするし、うーん。

話を戻して、パズルで後半盛り上がり型特有の満足感をだそうという話でしたが、まだ手はあります。

そうです、ポケモンです。

とはいえこれはパズルを複数問並べるという話なので、すでに各所で行われている試みかと思います。1問では出せなかった印象や展開を、複数問を並べたからこそ出せることはあるのではないでしょうか。例えば、序盤は手を付けやすく、中盤は飽きが来ないように、そして、最後はいい感じに締まるように。



3. おまけ


カックロ(サムクロス, 足し算クロス)です。中盤で、世間話→パズルの話、というお膳立てをしておいたので、ただのカックロでもいい感じの盛り上がりに感じられるはず。

ぱずぷれで解く (短縮URL)

スクリーンショット 2021-12-01 020815


それではよいクリスマスを。

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