中席中日

末廣亭中日。あと5日間。
今日も昨日同様、13時15分に上がった時点で、ほぼ1階は満席。
しかし昨日と違うところは、お客さんがかなり静か。噺家は私が上がる前までほぼ撃沈状態。ウケたのは漫才の陽昇さんだけ。
うーん、盆休みだけに寄席の常連さんというより一見さん多し、かな、と。
陽昇さんのあとに上がったので、できるだけアマいネタを披露したのだが、やはり最後まで重かった…。申し訳ありません、力不足で。
あとに上がる春風亭柳好アニさんが、高座脇で客席の反応を伺ってたのか、肩を落とし高座を下りてきた私とすれ違いざま、
「覚悟を決めました」
救命道具を身に付けず、大しけの海に飛び込むかの如く、決意を秘めた表情で高座に上がっていった。そんなアニさんの後ろ姿をぼんやり眺めながら、汗をぬぐう。
なぎもあればしけもある。同じ日など1日もない。だから寄席は面白い。
いや、今日は面白くなかったけれど。

まあ、しかし消沈することばかりでもない。
楽屋にいた後輩二つ目の春風亭昇羊くんが、
「町田康さんが、雑誌で師匠の高座の印象を語ってましたよ」
さっきの高座が高座だけに、
「滅茶苦茶けなしてたんじゃないの」
「いえいえ、とんでもない」
そう言われ、帰りに書店で購入しようと思ったが、あいにくどこも在庫なし。結局、行きつけの図書館で拝読。
雑誌コーナーに置いてあったのに、昇羊くんが教えてくれないと気づかなかった。感謝。
あの町田康氏が10年以上も前に、池袋演芸場で偶然観た高座とその日演った演目までも覚えていてくれて感激したが、その記憶力にも驚愕。
さすが、としかいいようがない。
記憶に残った演者は、私と桂文治師匠とコントD51さんらしいが、きっとこの文治師匠は先代の十代目だと思う。という事は、10年どころか、私が二つ目の頃ではないだろうか。
きっと今より尖っていて(笑)、私にパンク的なものをお感じになられたのでは、と思う。
なんにせよ、嬉しいし励みとなる。
高座も頑張れるし、苦しい執筆業も継続していけるというもの。

最後に本日、
こうして自由に活動させてもらえている
平和な日常に心から感謝。黙祷を捧げます。

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