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ドイツ歌曲の楽しみ Freude am Lied⑧

生のコンサートでは“今まさにここで生まれる音楽”を共有していただける喜びがあります。その時間を1曲1曲切り取って“今まさに”のひとかけらでもお届けできたら!とお送りするドイツ歌曲の楽しみ Freude am Lied…

8曲目もヴォルフのイタリア歌曲集の中から♪ …ひとかけら、届くかな?

ヴォルフ Wolf:緑色と緑をまとう者に幸いあれ!
               Gesegnet sei das Grün und wer es trägt!
               ソプラノ 川田亜希子 ピアノ 松井 理恵

緑色と緑をまとう者に幸いあれ!
緑色の洋服を作りたいわ
春の草原だって緑色をまとっている
私のお気に入りたちはみんな緑色をしている
緑の装束に身を包むのは狩人の習わし
私の恋人も緑色の服を着ているもの
緑色は何にだって似合う色
どの果実も緑色から熟していくわ

前回のドイツ歌曲の楽しみFreude am Lied⑦と同じく、詩はドイツの詩人パウル・ハイゼ Paul Heyse(1830-1914)独訳のイタリアの世俗詩。

 「緑色に幸せあれ!」という強い願望にふさわしく、潔い和音の連続で始まるピアノパート。歌も仰々しく“Geseeeeeegnet”と言葉の延ばしで始まります。「春の草原の緑」のくだりではピアノパートの右手が春風をはためかせて緑色への憧れをあおっています。そして「狩人の恋人」を自慢げに歌う場面ではホルンが勇ましく響き、「果実は最初はみんな緑」の場面では再び憧れのモチーフが現れ、蔦がからむように変化し、満足げに曲は結ばれます。ピアノパートが雄弁なのはヴォルフの特徴の一つ。歌のメロディも半音階を多用したユニークなもので、ヴォルフ音階と名付けてもよいくらい独特な印象をもたらします。
 皆さんのお気に入りの色は何色ですか?緑色のお洋服 持っていますか?
ピアニストの松井理恵さんがTwitterで「緑ってオシャレ上級者の色って感じがする。でも何にでも合うって言われたら、確かに周りの自然を見ると何色の花でも緑と合うもんね。緑の服欲しくなってきた」とつぶやいていました。そして私は緑色のニットワンピースを着て歌ってみました。

 


















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