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日々に遅れて

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詩・散文詩の倉庫03
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2022年12月の記事一覧

しゅりけん

十二月の 日暮れ時の公園で きみが見せてくれたもの これは十字架? ううん 風ぐるま? ううん 何かの飾り? ううん じゃあいったい何? あのね しゅりけん チラシを細く丸めた棒を二つ 十字形に組み合わせて セロテープをぐるぐる巻いて しっかりと固定している 大げさに叫んで逃げる ぼくの背中を狙って えいっ! きみは思いっ切り 自作のしゅりけんを投げ付ける ピューッと高く飛び上がると あんまり回転せずに ひいらり ひらり とんでもない方向に落ちて行った ぼ

ケヤキ

ケヤキは自身が「逆立ちした竹箒」であることにほとほと嫌気が差している。そんなケヤキのもとに、天空から救世主として飛来するのがムクドリの群れである。ショッピングモールの入り口近くの、落下した糞で焦げ茶色に染まったガラス張りのルーフと、駐車スペースにまで達する糞でベトベトの地面は、それぞれムクドリ達が仕掛けたケヤキのメタモルフォーゼへの優れた起爆装置なのである。加えて鳴き声というNoiseの大合唱も忘れてはならない。これらが惹起する情動の激しい波立ちに襲われて、ヒトは慌ててケヤキ