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日々に遅れて

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詩・散文詩の倉庫03
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2022年10月の記事一覧

遠目には黒い紐に見えた。近寄ってみると蛇の子どもだった。体長は二十センチちょっと。JR新幹線駅の東口を出てすぐの、駅前広場のフロアタイルの上に横たわっている。尻尾の後方の、コンクリートの柱と床との接合部に、蛇が出入り出来そうな亀裂が開いている。その奥に巣があるのだろう。小さな頭を僅かに床からもたげているが、なにしろ全身が真っ黒なので、どこが眼なのか皮膚から判別するのが難しい。駅前広場のずっと向こうを眺めているような姿のまま、ピクリとも動かない。その眼にはどんな世界が映っている